電話でのご予約 047-351-2288

10:00~12:30/14:00~19:00 ※休診日:第2水曜日

キービジュアル

親知らずの生え方とお手入れ方法

2025年2月8日

永久歯の一番奥に生えてくる歯「親知らず」。

生えてきた場合は、抜く方も多くいらっしゃいます。しかし、必ずしも抜かないといけないわけではありません。

一般的に17~21歳頃に生えてきますが、個人差があり、生えてこない人もいます。また、生え方によっては、お口のトラブルの原因になることが多い歯であるため抜くことも多いのです。生え方によっては抜かなくてもいいこともあります。

今回は親知らずの生え方と生え方による抜歯の必要性、お手入れの方法と注意点についてもご説明していきます。

 

 

【親知らずの生え方】

親知らずは第三大臼歯とも呼ばれる歯であり、 前から数えて8番目の歯です。

親の手を離れた頃、物ごとの分別がつくようになった頃に生えてくることから「親知らず」や「智歯(ちし)」と呼ばれます。

 

①正常な生え方

親知らずが7番目までの歯のように真っ直ぐに問題なく生えてきた場合、とくにトラブルがない限り抜歯の必要はありません。歯みがきをしてきれいに保ちましょう。

 

②傾斜して生えている、水平に生えている

親知らずが生えるスペースが不足していると、真っ直ぐに生えることができずに斜めや横向きに生えてきてしまいます。そうすると、前にある第二大臼歯を圧迫するようなかたちになります。

その場合、きちんと生えるスペースがないことで歯ブラシなどでも汚れをうまくとることが難しくなります。つまし、歯みがきが困難になり、親知らずだけでなく隣の歯にもむし歯が発生しやすくなります。
このような場合は、抜歯になる可能性が高くなります。

 

③顎の中で水平に生えている

専門的には「水平埋伏」という状態です。

顎の中で横向きになったまま生えてこないので、ご本人は気づくことができず、レントゲン写真などで確認することができます。顎の中にあるので問題はないだろうと思われるかもしれませんが、隣の歯の根を刺激して、歯の根やまわりの骨を溶かしてしまうことがあります。
このような場合は抜歯になる可能性が高くなります。

 

【親知らずを丁寧にお手入れしないといけない理由】

親知らずはきちんと生えるスペースがあり、問題なく生えてくればいいのですが、多くの場合は斜めに傾斜して生えてきたり水平に生えてきたりすることでトラブルが起こりやすくなります。ただでさえ一番奥に生えるため、歯ブラシの毛先が届きにいのでお手入れが難しいのですが、それに加えて斜めに生えたりしているときれいにプラーク(歯垢)を除去することはかなり難しいといえます。そのため、むし歯や歯周病のリスクが非常に高くなります。

また、斜めに生えてきた場合、歯と歯ぐきの間にすき間ができます。ここにプラークや食べかすがたまると歯肉に炎症が起こり、腫れや痛みが生じます。このような状態を「智歯周囲炎」といいます。炎症がひどくなるとほっぺたが腫れて口が開けにくくなったり、飲み込むときに痛みをともなったりします。

 

【親知らずはどうやってお手入れするの?】

親知らずをみがくときは、通常使用している歯ブラシの他にやタフトブラシなどの細かいところまでみがくことができる器具をしようするのがおすすめです。毛先をしっかりと親知らずに当てることを意識してみがくといいでしょう。

 

①歯ブラシでのお手入れ

親知らずを歯ブラシでみがくときは、7番目までの歯と同じようにしてもきちんとブラシが当たらないことがあります。そのため、歯ブラシを斜め横から入れ、親知らずに毛先をきちんと当てるようにしていきましょう。そのときに大きな口を開けてしまうとほっぺたが引っ張られるため歯ブラシが入れにくいことがあります。

横から歯ブラシを入れるときは、小さめに口を開けて斜め横から歯ブラシを当てるようにましょう。
また、歯ブラシを大きく動かすのではなく小さく小刻みに動かしてしっかり汚れをとりましょう。親知らずをみがくことを意識していると、その手前の歯の後ろ側をみがき残しがちです。忘れずにしっかりみがきましょう。

 

②タフトブラシでのお手入れ

上記のように歯ブラシでみがいていても十分にみがききれない場合は、タフトブラシを使うとよいでしょう。タフトブラシは鉛筆のように持つこと(ペングリップ)で操作がしやすくなります。

鏡を見ながらタフトブラシの毛先を親知らずに当て、軽い力で小刻みに動かしてみがきましょう。

みがけているかのご自分でのチェックポイントとしては、歯ブラシでみがいた後にみがき残しがないかを鏡で確認したり、舌で親知らずを触った感触がザラザラとしていないかなどでチェックしていくのがいいでしょう。
頑張ってみがくあまり、歯ぐきを傷付けたりしないように力の入れすぎやブラシの動かし方はに気をつけましょう。タフトブラシのより詳しい使用法などを知りたい場合は、歯科医院のスタッフにご相談ください。

 

③毎日のお手入れを欠かさない

親知らずは生え方によってブラッシングの難易度がとても高くなります。

正常に生えている場合も斜めや横向きに生えている場合も、注意深く毎日丁寧なお手入れが欠かせません。

特に、隣の歯を圧迫しているような生え方をしている場合は、現時点で何も問題がなくても、近い将来に歯ぐきに炎症が起きたり、むし歯になったりとトラブルが起こることもあります。
汚れが残らないよう丁寧にみがくことで、トラブルを防いでいきましょう。

 

【親知らずが痛くなったときはどうすればいい?】

毎日丁寧なお手入れをしていても、親知らずが腫れて痛みが起こることもあります。そのようなときは、我慢せずになるべく早めに歯科医院を受診しましょう。

炎症で腫れている部分の周囲を洗浄してきれいにしたり、腫れや痛みがひどい場合は抗生物質や消炎剤により炎症を抑えていきます。一時的に症状が治っても腫れや痛みが続いたり、周囲の歯や骨に悪影響を与える場合は、抜歯が必要になることもあります。炎症がひどくて腫れや痛みがある場合には抜歯などの積極的な処置をすることはなく、症状がおさまってから行います。

 

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

親知らずは1番奥に生えてくる歯であり、抜歯や治療も他の歯に比べて困難とされます。

日頃のケアも難しいため、ご自分でのお手入れは特に注意して行う必要があります。

まだ親知らずが見えていなくても違和感があったり、ご自分で自覚していなくても生えてきていることもありますので、気になる方は歯科医院でチェックしていきましょう。

保険診療と自由診療はなにが違うの?

2025年1月14日

歯科診療には保険を適用できる「保険診療」と保険がきかない「自由診療(自費診療)」があります。歯科治療を進めていくなかで、銀歯やセラミックなど、保険と自費のどちらにするか迷われる方もいるのではないでしょうか。「自費治療はなぜ保険の治療の比べて値段が高いの?」「保険と自費では治療の何が違うの?」など、治療内容や費用について疑問をお持ちの方も多いかもしれません。保険診療と自由診療は、簡単にいうと見た目の美しさ、フィット感やかみ心地の良さなどの機能面、また最新の技術や機器などを使用するという面で大きな違いがあります。

その違いの理由も含めて、今回は「保険診療と自由診療の違い」についてご説明していきます。

 

【保険診療について】

保険診療は、保険を適用して診察や治療を受けることを意味します。

保険がきくので、診療費の一部(3割負担の方は3割、1割負担の方は1割)が自己負担額となり、

患者様ご自身の負担額としては比較的安価です。保険診療であれば、全国一律に診療費(診療報酬)が定められており、基本的にはどの歯科医院で保険診療を受けても診察や治療の内容が同じであれば診療費は同じ金額となります。
比較的安く歯科診療を受けられるのが保険診療のメリットですが、デメリットもあります。保険診療のデメリットは、受けられる診療が国によって定められた必要最低限のもののみだという点です。これについて、詳しくご説明していきます。

保険診療はむし歯で欠けたところや歯ぐきなどの歯周組織の見た目と機能性を最低限、回復するための診療となります。もしも、審美性の高い治療、最近の技術や器具を使用する治療をお望みであっても、保険治療の範囲では受けることができません。

また、機能面に関しても、かめるようにはもちろんなるのですが、治療に使用する材料やかけられる診療時間にも限りがあります。

 

【自由診療(保険外の診療・自費診療)について】

自由診療とは、保険がきかない保険外の診療のことです。

診療にかかる費用がすべて患者様の自己負担となるため、治療費用が比較的高額になることが多いのが特徴です。

保険診療と違い、自由診療には国によって定められた診療費の決まりはありません。つまり、クリニックごとに自由に診療費を設定することができます。そのため、同じ治療内容でも、クリニックごとに診療費が異なることがあります。

自由診療にかかる費用は高くなる傾向にはありますが、審美性や機能性、使用する器具などの面からも優れた診療方法ということができます。使用する材料も保険診療に比べると幅広いバリエーションがあり、ご自分のお好みのものを選択することができます。美しさやかみ心地など、

保険診療よりも高度なものを追求することが可能になります。診療時間に関しても、じっくりと時間をかけて行うことができます。

 

【保険診療と自由診療の違い】

それぞれ、項目に分けて違いをご説明していきましょう。

①使用する材料

保険診療:レジン、コンポジットレジン、硬質レジン、金銀パラジウム合金(銀歯)、銀合金など

自費診療:セラミック、ハイブリッドセラミック、金合金(ゴールド)、白金加金(プラチナ)、チタン、メタルボンドなど

②見た目(審美性)

保険診療:自費診療に比べて治療箇所が目立ちやすい

自費診療:自然な白さの歯の再現が可能

③機能性

保険診療:詰め物やかぶせ物の下から再度むし歯になりやすい

入れ歯のフィット感があまり良くないことがある

自費治療:歯との接着が良い材料であるので、再度むし歯になりにくい

歯と同じようなかみ心地なので、違和感がない

フィット感が優れている

④最新の技術・器具

保険診療:最新の技術や器具を使用した診療は受けられない

自由診療:最新の技術や器具を使用した診療が受けられる

⑤診療にかかる費用

保険診療:保険がきくため比較的安価

自由診療:保険がきかず全額自己負担なので高額になりやすい

 

 

【医療費控除について】

自由診療は高額な診療にはなりますが、もしも1年間にかかる医療費が10万円を超える場合は医療費控除が適用可能です。「医療費控除」は国の税金還付制度であり、ご家族の分も含めて、1年間に支払った医療費が基準額を超えるとき、税務署に確定申告することにより、その超過支払い分の医療費が課税対象の所得から控除され、税金の一部が還付される制度です。

手続き方法など詳しくは、最寄りの税務署へお問い合わせください。

■“将来の歯の健康”を考えた診療方法を選ぶことが大切です

◎保険診療はデメリットが少なくありません

保険診療は自由診療と比べて診療費が安く済みます。ただし、保険診療は歯の機能と見た目を最低限回復させる診療しか行えません。使える素材と診療にかける時間も限られます。

保険診療を受けたものの、治療した歯が再びむし歯になってしまったり、フィット感にとぼしい入れ歯になってしまうこともあります(※)。保険で使う銀歯などの金属素材は金属アレルギーをひきおこす原因にもなります。

 

【保険診療はダメなの?】
保険診療がダメなのかというと、そうではありません。

保険診療では比較的安価に歯の機能を回復することができますし、丈夫な材料(銀歯)を使えるなどのメリットもあります。また、保険診療で治療したら必ず再度むし歯になったり、入れ歯のかみ心地が悪くなるというわけではありません。

ただし、保険診療は使える素材や診療時間に限りがあるため、自由診療と比べるとどうしても審美性や機能性の面では劣ってしまいます。「歯を一生使用していく」という点からすると、自由診療の方が安心ということはできるでしょう。

自費診療は審美性や機能性には優れています。そのため、歯の寿命を長くするという観点からも期待ができます。費用が大きくなりますが、さまざまなメリットがあります。

 

【保険診療と自費診療、どうやってえらぶのがいいの?】

歯科治療を受けるにあたって「価格が安いから」「今をしのげればいい」という考えでだけで、診療方法を選ぶのはおすすめしません。一生涯使用する歯のことですので、長い目で考える必要があります。

口の中は自分で見ることが難しく、歯科治療に関しては専門的な知識が必要となるので、診療方法をご自分ではなかなか決めきれないこともあるでしょう。保険診療・自費診療、それぞれのメリット・デメリットについて詳しくお伝えした上で治療を進めていきます。患者様それぞれに最適な治療をご提案させていただきます。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯科診療で行う治療や使用する材料はいろんなものがあるため、詳しく内容を理解しないと診療方法をどのように決めていいのか難しいことも多くあります。治療それぞれで使用する材料も異なりますので、ご不明なときはお気軽にご相談ください。

フッ化物配合歯みがき粉の推奨濃度が変わりました!

2024年12月15日

むし歯予防にフッ化物が有効なのは皆さんご存知でしょう。

歯ブラシにつける歯みがき粉について、身体への安全性を考慮した上での新指針が発表されたので、今回はどのように変わったのかについて詳しくご説明していきます。

 

【フッ化物配合歯磨剤の推奨利用法】

2023年3月3日に 一般社団法人 日本口腔衛生学会、一般社団法人 日本老年歯科医学会、公益社団法人 日本小児歯科学会、特定非営利活動法人 日本歯科保存学会の4つの学会が合同で「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」について声明を出しました。

その背景として、日本の子どもの虫歯は経年的に減少傾向にあるのですが、その罹患率は他の疾患と比較してもいまだ高いこと、また成人では約3 人に1人が未処置のむし歯があること、高齢者ではう蝕経験者は増加していることなどが挙げられます。

むし歯予防として、フッ化物を使用することは 75 年以上の歴史で安全性と有効性が繰り返し確認されていて、特にフッ化物が配合された歯みがき粉(歯磨剤)は日本でも広く普及しています。

多くの方が今使用している歯みがき粉にもフッ化物が配合されているものを使っているのではないでしょうか?

今回の改訂は、フッ化物使用についての研究のアップデートや、市販の歯みがき粉のフッ化物濃度の変更、国際的な推奨の更新を受けて、日本のむし歯予防および治療を専門とする上記の4学会が合同で、現在の日本における推奨されるフッ化物配合歯磨剤の利用方法をまとめられたものになります。

【変更点】

具体的には、変更前よりも各年齢で使用できるフッ化物の濃度が変更になっています。

年齢ごとに見てみましょう。

 

①歯が生えてから2歳まで

(フッ化物配合歯磨剤の使用料)

米粒程度(1~2ミリ程度)

(フッ化物濃度)

変更後:1000ppmF(日本の製品を踏まえ900~1000ppmF)

変更前:500ppmF

(使用方法)

・就寝前を含めて1日2回の歯みがきを行う

・1000ppmFの歯磨剤をごく少量使用する

※歯みがきの後にティッシュなどで歯磨剤を軽く拭き取っても良い

・歯磨剤は子どもの手の届かないところに必ず保管する

※大量に飲み込まないようにするのを防止します

・歯みがきについて専門家のアドバイスを受ける

 

②3~5歳

(フッ化物配合歯磨剤の使用料)

グリーンピース程度(5ミリ程度)

(フッ化物濃度)

変更後:1000ppmF(日本の製品を踏まえ900~1000ppmF)

変更前:500ppmF

(使用方法)

・就寝前を含めて1日2回の歯みがきを行う

・歯みがきの後は、歯磨剤を軽くはき出す

※うがいをする場合は少量の水で1回のみとする

・子どもが歯ブラシに適切な量をつけられない場合は保護者が歯磨剤を出しましょう

 

②6歳~成人・高齢者

(フッ化物配合歯磨剤の使用料)

歯ブラシ全体(1.5~2センチ程度)

(フッ化物濃度)

変更後:1500ppmF(日本の製品を踏まえ1400~1500ppmF)

変更前:6~14歳は500~1000ppmF

15歳以上は1000~1500ppmF

(使用方法)

・就寝前を含めて1日2回の歯みがきを行う

・歯みがきの後は、歯磨剤を軽くはき出す

※うがいをする場合は少量の水で1回のみとする

・チタン製歯科材料が使用されていても、歯がある場合はフッ化物配合歯磨剤を使用する

以上のように使用するフッ化物配合歯磨剤の濃度は各年齢によって異なります。

今回の改訂に伴って、使用できる濃度がより高いものになりました。

次回、ご自分で選ばれる際には参考にされてみてもいいでしょう。

 

【その他の注意点】

乳歯が生え始めるのが分かったら、いきなり歯ブラシでゴシゴシみがくのではなく、ガーゼやコットンを使用してお口の中を触れるのに慣れることから始めましょう。水に湿らせたガーゼやコットンでやさしくお口の中をケアしていきましょう。

それに慣れたら、次に歯ブラシをお口に入れることに慣れさせていきましょう。はじめはびっくりした反応を示すかもしれませんが、⻭ブラシに慣れてきたら、⻭ブラシを用いた保護者による⻭みがきを開始できます。

また、フッカ物配合の歯みがき粉は効果が十分に示されている反面、子どもが誤ってチューブごと食べるなど大量に飲み込まないように注意することも重要です。安全が示されているフッ化物ですが、使用料をきちんと守らなくてはなりません。水でも塩でも砂糖でも、適量を守れば何も問題がなくても、大量に飲み込むと害が出ますよね。それと全く一緒です。フッ化物自体は悪いものではないので、使用量をきちんと守って使用していきましょう。

また、諸外国の中では水道水の中にフッ化物を配合してむし歯予防をするフッ化物フロリデーションなど全身応用を利用している国もあります。しかし、日本ではそのようなことはおこなわれていないので、フッ化物が配合された⻭みがき粉に加えフッ化物洗口や塗布の組合せも有効とされています。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

むし歯予防は、歯ブラシやおやつなどの砂糖の制限だけでは十分ではありません。

普段、歯みがきを頑張っていても完璧にみがくことは難しく、積極的にフッ化物の配合された歯磨き粉を用いるのも重要です。

フッ化物配合歯磨剤の使用についての改訂は、メリットとデメリットの両方が考慮され、双方を考慮し、国際歯科連盟(FDI)や世界保健機関(WHO)が作成したフッ化物配合歯磨剤の推奨を参考として、さらに日本の状況を考慮して今回の推奨は作成されたものです。

使用濃度と使用料を守り、むし歯予防に役立てていきましょう。

どういうときに歯の神経をとらないといけないの?

2024年11月16日

歯科医院で「虫歯が大きくなってしまっているので神経をとらないといけないかもしれません」と言われたことがある方もいるのはないでしょうか。

歯には神経があることは知っているかもしれませんが、それがどこのことなのか、どういう役割を果たしているかについて詳しく分からない方も多いかもしれません。

今回は歯の神経について、どうしてとらないといけないのか、炎症の状態も含めてご説明していきます。

 

 

【歯の神経をとらないといけないとき】

歯の神経に細菌が感染してしまったり、歯の神経が生活力を失ってしまて、そのまま放っておくことで歯の根っこの先に炎症を波及させてしまう恐れがあると判断されたときには、歯の神経をとらないといけません。

では、そもそも歯の神経とはなんでしょう。

正式には歯髄と呼ばれる組織のことです。

歯は外側から何層にも異なる組織が重なるようにしてできているのですが、その1番内部にある空間を満たしている部分のことです。「歯の神経」とは一般には言われていますが、実は血管も含まれている組織であって、その血管を通して歯の水分や栄養の補給などもしています。

では、実際にこの神経にはどのような役割があるのでしょうか。
神経というとおり、痛みなどを感じる神経組織が存在しています。この神経があることで、外部からの刺激に対して防御反応などを示すことが可能になります。歯の神経はとても重要な組織であって、いくら神経の治療をして代わりの薬を入れたとしても、残念ながら本来の歯の神経に代わるほど良いものではありません。

このように歯にとってとても重要な働きをする神経をとらないといけないときというのは、どういうときなのでしょうか。

一般的には、以下のような場合は神経をとらなくてはならないことがあります。

 

①むし歯や外傷などで歯の神経に細菌が感染した

この場合、軽度であれば神経をとらなくて済む場合もあります。

しかしながら、感染の程度がひどく、後戻りのできないほどの炎症があったりズキズキと痛みが持続する場合などには神経をとらないといけないことが多くあります。

 

②むし歯や外傷などで歯がかけた状態やぶつけたままで放置していた

むし歯や外傷などで歯に何らかの問題が生じた場合、大丈夫だろうと自己判断で放置してしまうと「いつの間にか痛みや症状がなくなった」と思いきや、実は歯の神経が腐敗してしまっているケースも少なくありません。

実は気づいていないだけで歯の中では炎症反応が起こっていることもあります。

自己判断せずに、思い当たる節があればすぐに歯科医院での確認が必要です。

 

③炎症などの症状がないけれど、便宜的に神経を取る必要がある

かぶせものなどを作る場合には、炎症や症状がないけれど、便宜的に神経をとる必要があることもあります。頻繁にあるわけではありませんが、そのような場合は詳しくどういう理由で神経を取る必要があるのか、治療計画も含めてご説明してから神経をとっていきます。

 

【炎症ってどんな状態?】

上記の神経をとらないといけない場合の③以外は、炎症があるときです。

からだは何らかの害となる刺激を受けた時に、免疫応答が働きます。その免疫反応によって体に出現した症状のことが炎症です。

風邪などを引いたときに炎症症状として喉が腫れたりするのをイメージするといいかもしれません。

炎症を詳しくご説明すると、以下の5つの兆候を総じて炎症といわれてます。

1.発赤(赤くなる)
2.腫脹(腫れる)
3.発熱(熱がでる)
4.痛み(言葉が示す通り、痛み)
5.機能障害(動かなくなる、機能しなくなる)

例えば、転んで膝などを打った場合を考えてみましょう。打ったところに傷ができ、その傷の周りは赤く腫れます。痛みも伴うことでしょう。そして、いつもより動かしにくくなることも考えられます。このように、私たちのからだの表面に現れる炎症はイメージが簡単にできるのではないでしょうか。

この転んだ傷などによる炎症は、原因となる刺激が除去されれば自然治癒を期待できます。

しかし、歯の場合は話は別なのです。

 

 

【歯の神経に炎症が起きたら】

歯は、根っこの先にある非常に細い穴と歯の内部が交通しています。もしも、歯の内部に炎症が波及すると、血管自体がダメージを受けてしまうため、修復が不可能な状態になります。

つまり、炎症を起こした神経(歯髄)そのものが炎症の原因となるため、歯の神経をとる必要が出てくるのです。歯の内部で炎症を起こした場合、歯の内部の血流も失われます。そのため、化膿止め(抗生剤)を飲んだとしても、膝の傷のようには歯の炎症は治まりません。

ただ、歯髄充血といわれる後戻りできる程度の炎症であれば、条件を揃えて炎症を起こしている原因を除去することで炎症は治まる場合もあります。

では、神経をとる場合ととらなくても大丈夫な場合、つまり、後戻りできない程度の炎症と後戻りできる程度の炎症をどのように見極ていくのかをご説明していきます。

1番簡単なのは、炎症の程度が分かるように歯の中の血流量などを目で見たり、正確に測ることでしょう。しかし、残念ながら歯の場合はそうやって目で見て確認したり、測ることはできません。歯の神経は何層もの硬い組織に覆われているので、この炎症の度合いが大変分かりにくいのです。最新の器具を用いても、この炎症の程度を治療前に完璧には調べることは難しいとされています。

ただ、実際に測定はできなくても、さまざまな情報から総合的に診断して、処置をしていくことはできます。そのためには事前に十分な問診を行って、その症状がいつからどのようになっているかを知ることが必要です。できるだけ的確な診断を行うために、必要とされる診査を行います。

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯の内部というものは、皆さんがイメージしているよりも非常に複雑な構造になっています。

特に神経は複雑であり、歯の神経を残すにしても取り除くとしても治療の成功率は100%でありません。また、歯の神経を取ったつもりでも取りきれない神経も存在することがわかっています。そのため、非常に専門性の高い治療の一つであるともいうことができます。

歯の寿命を長持ちさせるためにも神経があるというのはとても重要なことですので、こまめにメンテナンスを受けて口の中の環境を整え、神経をとらなくていいようにしていきましょう。

「よくかめる」にはワケがある

2024年11月8日

みなさん、普段の食事でよくかめているでしょうか?

「なんとなくかみにくい」という方や「かみ合わせが悪くてしっかりかめていない気がする」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

よくかめるには、かみ合わせが大きく関係してきます。今回はよい歯並びとかみ合わせについてご説明していきます。

 

【よい歯並びとかみ合わせ】

歯並びがよく、かみ合わせもよければ食事の際に効率よくかむことができるというのは、ほとんどの方がイメージできるのではないでしょうか。
では、一体どのような歯並び・咬み合わせであれば、食べものをしっかりかむことができるのでしょうか?
その特徴をまずはご説明していきます。

特徴としては、次の5つです。

①おおらかなU字型の歯並び

日本人はアジア人の中でも歯が比較的大きいのです。その大きな歯に適した歯列がU字型なのです。

上顎や下顎を口の中から見たときにV字のように尖っているのではなく、きれいなU字を描いているのがよい歯列です。U字の場合は、前歯や奥歯が飛び出したり倒れこみなどはありません。

 

②上下の歯並びの真ん中が一致している

鏡を見ると上下それぞれの前歯の真ん中が分かるでしょうか。その真ん中が上下でほぼ一直線になっていることと、その歯の真ん中と顔の真ん中が一致していることが大切です。

 

③前歯でうどんやそうめん、サンドイッチが無理なくかみ切れる

前歯の噛み合わせが良くないと、うどんやそうめんなどの麺類、サンドイッチなどがうまくかみ切れません。ものをかみ切るのは前歯の役割です。その役割をきちんと果たすには、歯を普通にかみ合わせたときに、上の前歯が下の前歯に、水平・垂直方向で約2ミリずつかぶさっているのが理想的です。

これが前歯を普通にかみ合わせても空間が空いていたり、逆に下の前歯が全然見えないくらい上の前歯が被っていたりすると良いかみ合わせとは言えません。

 

④上の1本の歯が下の2本の歯の間にかみ込む

歯並びを横から見てみると、理想的な歯並びというのは左右両側の犬歯から奥の臼歯までの歯が、上あごの歯1本に対して、下あごの歯2本の割合でバランスよくかみ合っている状態になっています。これは「一歯対二歯(いっし・たい・にし)の咬み合わせ」といいます。

上の1本の歯が下の2本の歯の間にかみ込む(下の1本の歯が上の2本の歯の間にかみ込む)という状態です。上下左右の奥歯が隙間なくしっかり咬み合っていることもポイントです。

奥歯のかみあわせは鏡などで見てもご自分ではよく分からないこともあるでしょう。ご家族同士で相互に見てみると分かりやすいかもしれません。

 

⑤厚みのある肉も左右の奥歯でしっかりとかめる

奥歯には、食べ物をすりつぶすという役割があります。左右の奥歯でものがかめると、厚みのある肉もしっかりかんですり潰すことが可能になります。左右どちらでも変わりなくかめることも重要です。左右のどちらか片方でだけかんでいる場合、かむことによる自浄作用がなくなりますので、むし歯や歯周病のリスクが高くなります。

【よくない歯並びはどんな感じ?】

上記の5つの特徴を持った歯並びは理想的なかみ合わせと言えます。

では、次によくない歯並びについても知っておきましょう。専門的にいうと、よくない歯並びは「不正咬合(ふせいこうごう)」といいます。

不正咬合になる原因としては、顎や歯の大きさといった遺伝的なものと、悪い習慣などによって後天的になってしまったものとに分けられます。

よくない状態をそのままにしておくと、何が問題かというとまずはうまくかめないなどと機能面での問題が起こりやすいのはもちろんですが、歯並びが悪いということでうまく笑えなかったり、笑顔に自信がもてなかったりする方もいらっしゃるかもしれません。歯並びコンプレックスがあると、うまく笑えなかったり、話すときに気になってしまうことから人間関係なども消極的になりがちです。また、話すときの発音が聞き取りにくかったり、不明瞭になりやすい可能性もあります。また、歯をしっかり食いしばることができないために、自分が持っている力を発揮できず、運動能力の低下にもつながるとされています。

なお、不正咬合の状態や程度は人それぞれです。少しのガタつきから出っ歯だったり、歯がデコボコしているなど、複数の問題を抱えていることも少なくありません。

以下に、その代表的な不正咬合をご紹介していきます。

①前後的な問題
・でこぼこ(叢生)

みなさんのイメージ通り、歯がでこぼこに生えたりしてガタついている状態です。

歯の大きさに対して並ぶ隙間が足りない場合、歯はでこぼこ(捻れるか、重なる)、あるいは前に突出する形となります。特に前歯のでこぼこは、一般的にも気がつきやすい歯並びではないでしょうか。八重歯もその一種であり、犬歯が飛び出したような状態です。

・受け口(下顎前突)

通常のかみ合わせは、奥歯でしっかりとかみ合わせた時に、上の前歯が下の前歯を覆っているようになっています。もしも、下の前歯が上の前歯より、連続して3本以上前側にある咬み合わせであれば受け口になっているといえます。下の歯は、上の歯のかぶさりがないため先端から根もとまですべて見えている状態です。

・出っ歯(上顎前突)
上の前歯が出ているかみ合わせです。上の前歯や上顎そのものが前方に出ていたり、下顎が後退している状態など原因は様々です。顎の骨に問題がある場合と、歯だけが前に出ている場合とがあります。

 

②左右的な問題
・交叉咬合
通常、上の歯は下の歯を覆っています。それが逆になっている咬み合わせのことです。

奥歯に交叉咬合があると、歯の真ん中も一緒にずれていることがあります。

・すきっ歯(空隙歯列)
歯と歯の間がつまっておらず、隙間があるような状態です。原因としては、歯そのものが小さい場合もありますし、歯と顎の大きさのバランスが合っておらず、歯に対して顎が大きいことなどによっても起こります。

他にも、歯が顎の骨の中に埋まって出てこない「埋伏歯(まいふくし)」や、もともと歯の本数が足りない「先天性欠如歯」があることが原因で起こる場合もあります。

 

③上下的な問題
・過蓋咬合(かがいこうごう)
上の前歯が下の前歯に深くかぶさっている咬み合わせのことです。

下の前歯が上の前歯に隠れてしまって少ししか見えていない場合や、全然見えていないこともあります。

・開咬(かいこう)

奥歯をしっかり咬み合わせても、上下の前歯が咬み合っておらず、隙間ができてしまう状態のことです。開咬であると、前歯で食べ物をかみ切ることができません。見た目にもすぐに気づいたり、食事の面でも支障があるためすぐに気づく方も多いかみ合わせのひとつです。

かみ合う歯が少ないため、顎関節症が発生しやすくなります。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

以上にご説明したように、歯並びとかみ合わせについてはよいものと悪いものが明確に分かれています。よい歯並び、かみ合わせであれば効率的に食べ物を咀嚼することができますし、むし歯や歯周病、顎関節への負担も軽減します。しかし、悪い歯並び、かみ合わせであると、効率的にかむこともできませんし、様々な不具合が出てきます。ガタガタの歯並びであればブラッシングがしにくいため、むし歯、歯周病にもなりやすいですし、その他の不正咬合でも顎関節などにも支障をきたします。

歯並びのよい・悪いを見極めるポイントさえ分かれば、自分でも鏡を見ながらある程度の確認は可能になります。ご自分や家族の歯並びをチェックしてみるのもいいでしょう。もしも悪い歯並び・かみ合わせに当てはまったり、気になる箇所があるようならお気軽にご相談ください。

歯肉炎の治し方

2024年10月31日

「歯肉炎」という言葉は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

皆さんにとっても聞き馴染みのある歯肉炎でしょうが、今回は、歯肉炎の症状や治し方について詳しくご説明していきましょう。

 

【歯肉炎ってどんなもの?】

歯肉炎は「歯ぐき(歯肉)に起きる病気」のことです。歯と歯ぐきの間にはとても小さな隙間(歯肉溝)があり、その隙間に汚れがたまることが主な原因とされています。

歯肉炎になると歯ぐきが赤く腫れた状態になります。そのまま炎症が強くなると歯みがきなどのちょっとした刺激で歯ぐきから出血しやすくなったり、膿が出たりするようになります。このように歯肉炎が進行してしまうと、炎症が歯槽骨(歯を支えている骨)にまで及んでしまいます。そうすると、歯ぐきの下にある骨が溶け、最終的には歯が抜け落ちる“歯周炎”の可能性があるため注意が必要です。単に歯茎が腫れているだけだと思って歯肉炎を放置してしまうと骨が溶けてしまう歯周炎になるため、注意してケアしていく必要がありますね。

歯肉炎で歯ぐきが腫れている状態の場合、丁寧なブラッシングなどで口の中を清潔に保つことにより症状は改善します。しかし、初期の段階では痛みなどの症状が少ないため炎症が起きていることに気付かないことも少なくありません。その結果、自覚症状がないまま歯周炎に進行してしまうことも多いとされています。ですから、日頃からケアを適切に行い、口の中を清潔にしていくことが重要なのです。

【歯肉炎の原因】

歯肉炎の主な原因は、歯みがきなどの口のケアが不足することなどによって歯肉溝に歯垢(プラーク)や歯石などの汚れがたまることです。しかし、歯肉炎は口の中が不潔になったりすることのほかにも、薬の副作用や病気が要因となって引き起こされることがあります。

具体的な薬の例としては、抗てんかん薬、免疫抑制剤、カルシウム拮抗薬、経口避妊薬(ピル)などです。これらの薬には本来の効果にプラスして、副作用として歯ぐきの組織を増殖させる作用があります。その結果、歯肉ポケットにたまった汚れが取れにくくなり、歯肉炎を引き起こしたり、悪化させたりすることが知られています。

また、歯肉炎は白血病や糖尿病など免疫力の低下を引き起こす病気や、妊娠などによってホルモンが変化した場合、また全身的にビタミンが不足していたり、歯が生えかけている状態で歯肉が生えかけの歯に被ってしまっている埋伏している歯(半埋伏歯など)によって引き起こされることもあります。

さらに歯肉炎は、ヘルペスウイルスやカンジダ感染が原因で発症することもあります。汚れによる歯肉炎とは治療法が異なり、注意していかなければなりません。

 

【歯肉炎の種類】

歯肉炎にも種類があります。

①プラーク性歯肉炎

ひとつめは、プラーク性歯肉炎で、一般的な歯肉炎として知られているものです。

お口のケアが不足することで歯ぐきのまわりに汚れ(プラーク)がたまります。そうすると、口の中の細菌によって歯肉の炎症が発生します。歯ぐきが赤く腫れて、出血や痛みなどがみられるのが特徴です。

この状態ではレントゲン写真を撮ってみてみても、歯を支持する組織には喪失は認められません。

 

②非プラーク性歯肉炎

上記の細菌性プラーク以外の原因によって生じる歯肉炎のことです。

ウイルスや真菌など、プラークや細菌以外の感染による歯肉炎やアレルギー性歯肉病変などが含まれます。歯ぐきを外傷などで傷つけてしまった時の炎症もこちらです。

 

 

【歯肉炎と歯周病って何が違うの?】

歯肉炎とは、歯ぐきに限局する炎症のことです。

一夫で、歯周病となると歯ぐきだけでなく、歯の周囲組織まで炎症が波及している状態のことを意味します。

歯肉炎だと歯ぐきだけが炎症を起こしている状態であるので歯がグラグラ揺れることはありません。しかし、歯周病にまで進行してしまうと、歯を支える骨(歯槽骨)も溶けてしまうため、歯周病がひどくなるに従って歯がグラグラ揺れてきます。

パッとみただけでは、ご自分では歯肉炎なのか歯周病なのか判断がつきません。どちらも歯ぐきからの出血が認められたりして、とても似ている状態を示します。詳しく調べるためには、歯科医院での専門的な歯周病の検査やレントゲン写真での検査が必要となります。

 

【歯肉炎の治療法】

①プラーク性歯肉炎の治し方

歯肉炎の原因の一つに、プラークが溜まっていることがあげられます。プラークをしっかりと除去するために、ブラッシングを丁寧に行うことが重要です。

ゴシゴシと力を入れてみがくのではなく、歯ブラシの先端を歯ぐきに垂直に当てて、やさしくゆっくりと動かしてプラークを除去します。また、デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、歯と歯の間も清掃していきましょう。

 

②非プラーク性歯肉炎の治し方

こちらの歯肉炎の場合、プラークの蓄積による炎症ではないため、それぞれの原因への対処をしていかなければなりません。ウイルス、真菌などに感染して起こってしまった場合は、全身状態の改善が求められます。外傷などによるものであれば、傷口の治癒と共に治っていくでしょう。

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯肉炎を治すためには、正しいブラッシングを行い、お口の中を清潔に保つことが重要です。

歯肉炎と歯周病では歯ぐきから出血するなど似ている症状があるため、ご自分での判断が難しく、歯科医院での詳しい検査が必要となりますので、少しでも不安のある方は早めにご相談ください。

歯科医院でのクリーニングでは、専門的な口腔内清掃に加え、歯石を除去し、歯肉の炎症状態を改善することもできます。3ヶ月に一度、お口のお手入れをしていくことでお口の中を清潔に保ち、歯肉炎から歯周病に進行するのを防いでいきましょう。

もしも子どもが歯を誤って飲み込んでしまったら?

2024年10月25日

小さなかわいい乳歯から立派な永久歯へと生え変わる時期は、グラグラしてよくかめなかったり、食べにくいなどと言われるお子さんも多いです。歯は抜ける場合、多くは一気に抜けるのではなく、徐々にグラグラと動揺してから抜けていきます。抜けそうな歯が気になって、舌でいじくったり、ずっと手で触っていることもあるでしょう。そのようななかで 抜けた歯を誤って飲み込んだりすることもあるかと思います。今回はそんな時の対処法をわかりやすく解説していきます。

【乳歯を飲み込んでも大丈夫なの?】

グラグラした歯があるままでお食事をしていたり、飲み物を飲んでいて気づいたら歯が抜けてしまっていたということもあるかもしれません。そんなときは心配になりますよね。

基本的には、通常の発育の過程で永久歯への交換のために自然に抜け落ちた乳歯の場合、誤って飲みこんでしまってもそれほど問題にはなりません。極端に歯の先端が尖っていたり、お子さんの気道を塞いでしまうような巨大な歯であったりしなければ、誤って飲みこんでも特別な処置をする必要はありません。しばらくすると、自然と体外へと排出されることでしょう。もちろん、誤飲してしまった後に胃が痛いなどの何らかの症状が現れている場合は、すぐに歯科医院を受診して診てもらうのがいいでしょう。

 

【詰め物や被せ物が装着されている場合】

抜けた歯が歯科医院でのむし歯の処置などをされて、既製冠などの被せ物が装着されていた場合、その後の経過をしっかり観察していく必要があります。基本的には普通の何の治療もしていない歯と同様に、被せ物も数日以内に便として排泄されます。

しかし、歯を飲み込んだ後に胃のむかつきや腹痛なごが認められたのなら、早めに歯科を受診しましょう。状況によってはレントゲン撮影を行って、歯や被せ物の状態を把握することもあるかもしれません。また、場合によっては、積極的な治療などが必要となることもあります。

ほとんどが問題はない場合が多いですが、不安なときは歯科医院を受診するのがいいでしょう。

 

【むせる、激しくせき込む】

歯を誤飲した直後に、激しくむせたりせき込む場合は、抜けた歯が気道に入り込んでいる可能性が高いです。極めて危険な状態といえますので、一刻も早く医科を受診してきちんと診察してもらいましょう。気道に入り込んだ異物に関しては、歯科医院ではなく医科の先生に対応してもらうことになります。状況によっては取り除かないといけないこともあるでしょう。

急に咳き込んだりむせる場合には抜けた歯に限らずに何かしらが気道に入った状況も考えられますので、注意しておきましょう。

 

【抜けそうな歯があったらどうするのがいいの?】

乳歯がグラグラしてる場合、基本的には自然に抜けるのを待つのがいいでしょう。

舌で触るだけでもグラグラ揺れ動くようになったら、もうすぐ抜ける頃です。しかし、何だかグラグラしてお食事の時に違和感があるくらいであれば、様子を見ていてもいいでしょう。

気になって早く抜きたい、状態を見て欲しい場合は歯科医院を受診するのがいいでしょう。

何かしらの異常がなければ保護者の方が抜いてしまっても良いのですが、どれくらい動揺しているかはよくわからないこともあるでしょう。もしかしたらまだまだ抜け落ちる時期ではない可能性もあります。心配なときは一度ご相談ください。

乳歯が抜ける時期というのは、ある程度決まっていますが個人差もあります。同じ年齢でも、お子さんによってはもう抜けてしまっていたり、まだ全然グラグラしていなかったりと大きな幅があります。場合によっては数ヶ月から1年ズレることもあるため、なかなか乳歯が抜け落ちないからといって慌てる必要はありません。不安な場合は、レントゲン写真によって乳歯や永久歯の状態を調べることもできます。

 

【乳歯が残っているのに永久歯が生えてきている】

乳歯がグラグラしているけれどまだ残っていいて、その横や後ろから永久歯が生えてきてしまうこともあります。そのときは乳歯が動揺していてもなかなか抜けないことも多くあります。

永久歯は通常、乳歯が抜け落ちてから生えてくるものです。乳歯と永久歯が同時に存在しているということは、生え替わりの段階で何らかの異常が生じている可能性もあります。

歯科医院でどのようにな状況かを診てもらうのもいいでしょう。必要であれば、乳歯を抜歯することもあります。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

乳歯が抜け落ちそうな時は、基本的には自然に脱落を待ちましょう。

ただし、変なところから歯が生えてくることもあり、状況によっては早く乳歯を抜いた方がいい場合もあります。

また、お子さんが誤って歯や被せ物を飲み込んでしまったら、慌てずにその後の症状に注意していきましょう。多くの場合、事前に排出されるため何も問題ないことが大半ですが、念のため経過をみていきましょう。歯に限らず、小さなおもちゃも飲み込んでしまうこともあります。何らかのものを飲み込んで、様子がおかしい場合は対応を急がないといけない場合もあるため、注意して様子を見ることが必要です。

 

 

 

 

インプラント周囲炎にならないために

2024年10月18日

インプラント治療は入れ歯などと違って自分の歯のようにかむことができたり、見た目も自然であることなどから多くの方に選択されています。ブリッジなどとは異なり、自分の健全な歯を削ることもありませんし、利点の大きな治療法のひとつです。

ただ、インプラント治療を受ける前に、皆様に知っておいていただきたいことがあります。それは、インプラント治療にはメンテナンスがとても重要だということです。インプラントはメンテナンスを怠ってしまうと、「インプラント歯周炎」とよばれる炎症を引き起こすことがあります。歯周病を放置してしまうと歯を失う原因になることはご存知だと思いますが、インプラントも正しくメンテナンスを行わないとせっかく治療したのに脱落してしまう可能性があります。

今回はインプラント周囲炎について、詳しく解説していきます。

【インプラント周囲炎ってどんなもの?】

インプラント周囲炎とは、文字の通り、インプラントの周りに起こる炎症のことです。

具体的には、インプラントの周辺の組織に細菌(プラーク)が溜まることにより、歯ぐきや骨に炎症が起きてしまうことを意味します。

では、インプラント周囲炎が起こるとどうなるのでしょうか。

「インプラント」だとよく分からないかもしれませんが、ご自分の天然の歯をイメージしてください。歯周病が進むとどうなるでしょう。まず、歯ぐきが炎症を起こしますね。そしてだんだんと歯ぐきが下がり、歯がグラグラしてくるのを想像できるでしょうか。

インプラントでも、炎症が起きる機序というものは基本的に同じです。

インプラント治療後にその周辺のメンテナンスを怠ってしまうとインプラント周囲に炎症が生じます。インプラント周囲炎になってしまうと、インプラントがグラグラと揺れて不安定な状態になったり、インプラントの周りの歯肉が腫れるなどの症状が起きてしまいます。

もしも炎症をそのまま放置してしまうと、インプラントの周辺の骨が溶けだし、最悪の場合はインプラントが抜け落ちてしまうこともあり得ます。
インプラント周囲炎は、皆さんが想像されるよりも早いスピードで進行します。ご自分の歯と違って、インプラントは人工物であるため、細菌の侵入を防いでくれるバリア機能がありません。天然の歯には歯根膜というバリアがありますが、そのバリアがないため、骨まで細菌が到達しやすく、進行速度が早まると考えられています。

 

【インプラント治療後には歯科医院でのメンテナンスが重要】

インプラント歯周炎を予防するためには、インプラント周囲を清潔に保っていかなければなりません。具体的には、炎症を起こす原因である細菌(プラーク)を除去することが有効です。

また、インプラント治療した部分以外の歯もきれいに磨き、細菌を除去することで口の中全体として細菌が減ることにつながります。そうすることで、新たに細菌が蓄積することを防ぐこともできます。
インプラント治療後も細菌を取り除くため、ご家庭での日々のセルフメンテナンスももちろん必要ですが、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることも重要です。ご自分の癖だったり、磨けていないところにも気づくことができますし、何より専門的なケアを継続して受けることでインプラントの状態も確認できますし、清潔に保つことができます。

歯科医院での専門的なケアを継続することで、インプラント歯周炎の予防効果も高く保つことが可能になります。もしもインプラント治療をご検討の方は、このメンテナンスの大切さを知っていただければと思います。

 

【インプラント治療後に違和感を感じてしまった場合】

もしも、以前にインプラント治療を受けていて、インプラント治療をした箇所の周辺に違和感を感じてしまった場合には、早めに歯科医院で相談されることをおすすめします。他医院で治療した箇所でも、どのような状態であるかを判断し、ケアをしていくことは可能です。

来院された際に、すでにインプラント歯周炎にかかってしまっている場合は細菌を除去すべく歯科医院でのクリーニングを行います。状態に応じて、麻酔をしてからの清掃が必要になることもあります。せっかくインプラント治療をしたのに「炎症が起きてインプラントの寿命が短くなってしまった」なんてことにならないためにも、違和感を感じたら歯科医院での早めのご相談がおすすめです。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

インプラント治療後は、ご自身が毎日ご家庭で行うケアも大切になってきます。丁寧なブラッシングとフロスなどを使ったプラークの除去、タバコを吸う習慣があるなら辞めるなど、さまざまなケアを続けていくことでインプラント歯周炎の予防にもつながります。

もちろんこれらのことは、インプラント治療をしている、していないに関わらず大事なことです。

もしも、ご家庭で行うケア方法に不安があれば、歯科医院でご相談ください。

スタッフがそれぞれのお口の中にとって最適なケア方法をお教えします。最適な方法で丁寧なケアを継続することでインプラントはもちろん、口の中の環境を状態よく保つことができます。

インプラント周囲炎にかかってしまった場合でも、そのまま放置することなく早めに対応をしていきましょう。ご家庭でのケアと歯科医院での専門家によるメンテナンスを継続することによって、治療した部分の健康を守り、長く噛むことを楽しめる生活につながります。

皆様のインプラントが、長い間持続できるように、インプラント治療後のメンテンナンスの大切さを知っていきましょう。

お子さんとの食器の共用とむし歯の予防について

2024年10月11日

小さなお子さんにご自分の使っているスプーンやお箸などでそのまま食べさせることについて、どのように考えていくべきか悩まれている方も多いのではないでしょうか?

令和5年8月31日に日本口腔衛生学会から「乳幼児期における親との食器共有について」の新しい声明が発表されました。今回は、この声明をもとに、実際にどのようにご家庭で食器の共用について考えていけばいいのかを解説していきます。

【日本口腔衛生学会から発表された内容】

以下の「」内は、口腔衛生学会の声明より引用したものです。

(☞に続く文章は当院による解説です)

 

①食器の共有は必ずしもダメなものではない?

「以前から、親から子どもへのう蝕原因菌の感染を予防するために、親とスプーンやコップなどの食器の共有を避けるようにとの情報が広がっています。しかし、食器の共有をしないことでう蝕予防できるということの科学的根拠は必ずしも強いものではありません。最近、親のだ液に接触することが子どものアレルギーを予防する可能性を示す研究内容が報道されました。それに付随し、親の唾液からう蝕の原因になるミュータンスレンサ球菌が子どもに感染するリスクを高めると報道で触れられていますので、情報発信をいたします。」

☞お子さんとの食器の共有についてですが、むし歯の予防ができるという根拠は必ずしも強いものではなく、親のだ液にお子さんが接触することでアレルギー予防の可能性があるという研究結果が報道されています。しかしながら、親のだ液にはむし歯の原因となる細菌(ミュータンスレンサ球菌)が含まれているため、むし歯になるリスクは上がることが知られています。

 

②親からの口腔細菌感染は食器の共有の前から起こっている

「最近の研究で、生後4か月に母親の口腔細菌が子どもに伝播していることが確認されています。食器の共有は離乳食開始時期の生後5~6か月頃から始まりますが、それ以前から親から子どもに口腔細菌は感染しているのです。日々の親子のスキンシップを通して子どもは親の唾液に接触しますので、食器の共有を避けるなどの方法で口腔細菌の感染を防ぐことを気にしすぎる必要はありません。」

☞今まで、むし歯予防の観点から食器を分けることが良いとされてきましたが、研究が進んで、必ずしもそれがお子さんへのむし歯の細菌感染を防ぐわけではないことがわかってきたんですね。離乳食開始前にはもうすでに、日々のお子さんとの関わりの中で親の口の中の細菌に感染してしまっているのです。ですので、神経質になりすぎず、無理のない範囲で食事のスタイルを確立していくのがいいでしょう。

 

③むし歯の原因菌は、ミュータンスレンサ球菌だけではない

「親のミュータンスレンサ球菌が子どもに感染することは複数の研究で確認されています。しかし口腔内には数百種以上の細菌が存在し、ミュータンスレンサ球菌だけでなく多くの口腔細菌が酸を産生し、う蝕の原因となりますので、ミュータンス連鎖球菌だけがう蝕の原因菌ではありません。」

☞親の口の中にいるむし歯菌であるミュータンスレンサ球菌がお子さんに感染することは確かですが、それだけがむし歯の原因というわけではないということです。口の中にはむし歯菌であるミュータンスレンサ球菌以外にも多くの細菌がいて、それぞれのお口の中では異なる細菌の構成がなされていて、むし歯の原因となるのです。

 

④食器の共有に気を付けていても、子どものう蝕に差はなかった

「う蝕は砂糖摂取や歯みがきなど様々な要因で起こるため、食器の共有と子どものう蝕の関連を調べる際にはそうした要因を考慮する必要があります。う蝕に関連する複数の要因を調べた日本の研究では、3歳児において親との食器共有とう蝕との関連性は認められていません。」

☞食器の共用に気をつけていても、お子さんにできるむし歯には差がないというのは意外な研究結果ですね。お子さんのむし歯予防のためには、食べ物の中に含まれる砂糖や日々の歯みがきなど、大人の方の虫歯予防と同様なことをやはり気をつけなければなりません。

 

⑤子どものむし歯予防のために

「親から子どもに口腔細菌が伝播したとしても、砂糖の摂取を控え、親が毎日仕上げみがきを行って歯垢を除去し、またフッ化物を利用することでう蝕を予防することができます。特に、フッ化物の利用は多くの論文でう蝕予防効果が確認されている方法です。」

☞親の口の中にいるむし歯菌のミュータンスレンサ球菌がお子さんに感染することは確かです。ですが、お子さんに与える食事やおやつに気をつけ、日々の歯みがき、フッ素入り歯みがき粉の使用などにより、お子さんのむし歯予防をすることはできます。皆さんもご存知のように、フッ素は虫歯予防に効果的ですので、日々のお口のケアに積極的に取り入れていきたいものです。

 

【むし歯予防にとって大事なこと】

むし歯は生活習慣や食べ物など、さまざまな要因が絡み合って発生します。そのため、これだけしておけば安心!大丈夫!ということはありません。

お子さんのむし歯を予防しようとした場合、1番大事になってくるのが日々の生活習慣でしょう。

まずは、

  • 日々の歯みがきを適切に行うこと
  • フッ化物配合歯磨剤を使用すること
  • お菓子などの砂糖が含まれているものをダラダラ食べない
  • 砂糖が含まれる甘い飲み物をダラダラと与えない
  • 寝る前の夜食などの見直し

などのことを気をつけてみましょう。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

自分では気をつけているつもりでも、気がつかないうちに実はむし歯を作ってしまう習慣をしてしまっていることもあります。お子さんの機嫌を直すためだったり、大人しくしておいてくれるからと、ついつい飴やジュースなどを与えがちになることもあるかもしれません。

たまにならいいのですが、それが習慣になると簡単にむし歯を作ってしまいます。

過度に神経質になる必要はありませんが、食器の共有に限らず、日々のむし歯予防にも気をつけていきましょう。何かご不明点があればお気軽にご相談ください。

歯科医院での定期検診もうまく利用して、むし歯の予防をしていきましょう。

大人になるとなりやすいむし歯?!根面う蝕ってどんなもの?

2024年9月24日

昔に比べて、みなさんがお口の健康に注意されるようになって子どものむし歯は減少傾向にあります。しかし、その一方で高齢者の間で「大人のむし歯」が注目されているのをご存知でしょうか?
「8020運動」というの80歳で歯が20本以上残っている状態を目指そうという活動が盛んに行われてきて、歯が残っている割合というのは高くなっています。しかし、残っている歯がむし歯になっている方も少なくありません。特に、大人のむし歯ともいわれる「根面う蝕」に関しては、増えているという調査結果もあります。大人はむし歯というよりも、歯周病などの対策をきちんとしなければと思われる方も多いと思いますが、年齢が上がるにつれて、歯周病リスクと同様にむし歯のリスクもどんどん高まっていきます。今回は、特に中高年の方が注意していくべき大人のむし歯である「根面う蝕」についてご説明していただきます。

【根面う蝕ってどんなもの?】

う蝕とは、むし歯のことです。ですので、根面う蝕とは歯の根っこの面にできたむし歯のことを意味します。本来ならば、歯の根っこは歯ぐきに埋もれていて見えることはありません。しかしながら、加齢や歯周病などにより歯の根っこが露出してきて、その部分にむし歯ができてしまうのです。

むし歯のできるメカニズムというのは、大人も子供も一緒です。

通常、歯の頭の部分は硬いエナメル質と呼ばれる組織で覆われています。このエナメル質は酸に溶けにくく、とても硬いものであり、その下にある象牙質という組織を包んでいます。象牙質はエナメル質に比べて酸に弱いため、むし歯になりやすいので、一度むし歯になってしまった場合の進行も早い傾向があります。

歯の根っこにはエナメル質はないため、表面は象牙質で覆われています。本来ならば歯ぐきで覆われているため直接象牙質が刺激をうけることはないのですが、中高年の方は歯ぐきのラインが下がってきているため、歯ぐきで覆われていた象牙質が食べ物や飲み物などの酸にさらされます。つまり、歯の根っこの表面が溶かされて根面う蝕ができてしまうのです。歯ぐきがしっかりしているということは、歯の根っこのガードをしてくれているということにもなるんですね。

 

【根面う蝕になりやすい人の特徴】

①歯周病が進行している

根面う蝕は歯の根っこのむし歯ですので、歯周病が進行して、歯ぐきが下がっている人は根面う蝕になりやすくなります。

歯周病が進行すると、歯周病の細菌によって歯ぐきが腫れるだけでなく、顎の骨が溶けて、最終的には歯ぐきも下がってしまいます。結果として、歯がグラついたりかみしめると違和感がある感じがするんですね。歯周病の進行は痛みを伴わないため、気づいた時には歯周病が重症化していることも多く見られます。

 

②間違ったブラッシング

ゴシゴシと力強く歯ブラシをしている方は、ブラシの圧が強すぎたりして歯ぐきを傷つけている可能性があります。歯ぐきは思っている以上にデリケートな組織ですので、力を入れすぎたブラッシングによって歯ぐきを傷つけてしまい、それが原因となって歯ぐきが下がってしまうこともあります。その結果、歯の根っこが露出してしまい根面う蝕になることがあります。
一般的には、歯ブラシの適正なブラッシング圧は100g~200g程度です。分かりやすいのは、歯ブラシの毛先を歯に当てたときに毛先が広がらないくらいの力加減です。実際にブラッシングの際にどのくらいの圧なのか、力加減をみてみるのもいいでしょう。思った以上に力が入っている方も多いのではないでしょうか。
最近では、お口のケアを頑張りすぎて、このように歯を磨きすぎている方も少なくありません。間違った磨き方は習慣になっているため、ご自分ではなかなか気づかないものです。頑張って磨いているのに歯ぐきが下がった気がする方や、思い当たる症状のある方は、歯科医院でご自身のブラッシング方法について、一度指導を受けてみるのもいいでしょう。

 

③歯ぎしりや食いしばる癖がある

歯ぎしりや食いしばりの力というは、実はとても大きな力がかかっています。強い方になると、70kgを超えるような力がかかることもあり、気づかないうちに歯や歯を支える骨にダメージを与えている可能性があります。

もしも日頃から歯ぎしりや食いしばりをしていると自覚がある場合は、歯槽骨(歯を支える骨)の吸収や、歯肉退縮(歯茎が下がる現象)を起こす原因になりますので、歯科医院でチェックを受けるのをおすすめします。骨や歯ぐきは一度下がってしまうと、なかなか元には戻りません。歯ぎしりをよくする方は、寝るときにマウスピースを装着するなどして歯を保護することで歯肉退縮を防ぐことができますのでご相談ください。

 

④加齢変化で歯ぐきが下がってきた

歯周病も進行しておらず、特に歯ぐきに異常がなくても、年齢を重ねることで徐々に歯を支えている歯槽骨が痩せていきます。加齢変化の一種です。歯を支える骨が痩せてしまうと、それに伴い歯肉も衰えて下がってきてしまいます。
歯周病などの病気が原因で歯肉が退縮することを「病的歯肉退縮」と呼びますが、一方で加齢による歯肉退縮は「生理的退縮」と呼ばれ、一般的には10年で2ミリ程度、歯肉が退縮すると言われています。加齢変化はどうしようもないものですが、その変化を最低限に抑えるためには定期的な歯科医院での検診やメンテナンスも重要とされています。

 

⑤口の中が乾燥している(ドライマウス)

口の中は通常、唾液によって潤いが保たれています。唾液の分泌が低下して、お口の中が口が乾いている症状のことを「ドライマウス(口腔乾燥症)」といいますが、高齢になるほどその症状が強くなる方も多くなります。実際に年々、口の中の潤いが減少していると感じている方もいらっしゃるかもしれません。

唾液は加齢によっても唾液を分泌する機能が低下することはありますが、薬の副作用やストレス、緊張によっても唾液の量や質は変化します。ドキドキしたときは口の中が乾燥しますよね。これは交感神経が刺激されているので起こります。

また、全身の病気でいうと、糖尿病や甲状腺機能障害、シェーグレン症候群などが影響している場合もあります。口の乾燥状態は、単一の原因があることもありますが、加齢や全身の病気、服用薬剤が複合的に唾液分泌に影響すると考えられています。
お口の中のが乾燥するとむし歯にはもちろんなりやすくなりますが、歯周病も進行しやすくなりますし、細菌が増加しやすいので口臭の原因にもなります。

 

【根面う蝕を防ぐにはどうしたらいいの?】

根面う蝕は歯の根っこのむし歯です。ですので、まず第一には歯の根っこを露出させないことが重要です。つまり、歯ぐきが下がらないようにしていくことが大事になってきます。
歯周病の症状がある場合には、これ以上進行しないために歯周病の治療が必要ですし、ブラッシングの圧が強い人は歯科医院で適切なブラッシング圧を身につけることもいいでしょう。

歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、その癖に気づいてできるためやめるように努めたり、マウピースを装着してみるのもいいでしょう。加齢変化や全身疾患によるお口の変化は定期的な歯科医院での検診で早期に発見もできますし、対応が可能な場合も多くあります。

歯の根っこが出るのを防ぐためには、早めに歯科医院を受診して、自分の口の状態を把握し、適切な処置を受けるのも重要です。

 

また、むし歯に有効な成分として皆さんもご存知のフッ素がありますが、ドラックストアなどでも高濃度のフッ素(1,000~1,500ppm)が配合された歯磨き剤が置いてあります。そのような商品をうまく活用するのも一つの手です。

 

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯ぐきが下がって歯が長くなってきたなと思う方も少なくないでしょう。今回は、そのような方がなりやすい歯の根っこのむし歯についてご説明しました。

実際にご自分では見ても分からないことも多いと思います。少しでも心当たりがあったり、不安に思われることがありましたらお気軽にご相談ください。

初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。

047-351-2288
  • 診療時間
    10:00~12:30 14:00~19:00
  • 休診日:第2水曜日
OCEAN歯科クリニック URAYASU
このページの先頭へ戻る