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保険の白い詰め物「コンポジットレジン」について

2025年10月30日

今回は、むし歯治療で広く使われている白い詰め物「コンポジットレジン」について、詳しくお話しします。コンポジットレジンは、見た目が自然で、治療回数も少なく、保険適用でコストを抑えられるため、多くの方にとって非常に魅力的な治療法です。コンポジットレジンの特徴や利点、デメリット、どのようなむし歯に適しているのかについて解説していきます。

 

【昔のむし歯治療と今の違い】

以前のむし歯治療では、詰め物の選択肢が限られており、金属を使った治療が一般的でした。小さなむし歯であっても、金属で埋めることが一般的だったため、多くの方が銀歯を入れていた時代がありました。特に高齢の方の場合、前歯でさえ金属で治療されていることも珍しくありませんでした。

しかし、歯科材料は年々進歩しており、現在ではより自然な仕上がりを目指した治療が可能となっています。特に、小さなむし歯に対しては、「コンポジットレジン」という白いプラスチックが多く使用されるようになり、見た目の自然さが大きなポイントとなっています。前歯だけでなく、奥歯の治療にもコンポジットレジンが使われる機会が増えてきました。

 

【コンポジットレジンとは?】

コンポジットレジンとは、歯科用に開発されたプラスチックで、初めは柔らかく、形を自由に調整することができます。専用の光を当てることで硬化し、しっかりとした詰め物として機能します。昔のコンポジットレジンは、硬度が低く、すぐに取れたり、割れたりすることがあり、治療に使える範囲が限られていました。しかし、現在では材料が大幅に改善され、強度が向上しています。そのため、力がかかる奥歯の治療にも安心して使用できるようになりました。

また、コンポジットレジンは白いため、むし歯治療以外にも審美的な治療に活用されます。例えば、すきっ歯を埋める場合や、形の気になる部分を修正する際にも使われることがあります。

【コンポジットレジンのメリット】

1. 治療が1回で完了する

コンポジットレジンを使った治療は、むし歯を取り除いたその場で詰め物をして完了します。そのため、通常1回の来院で治療が終わります。これに対し、金属の詰め物(インレー)の場合は、型取りをして詰め物ができるまで待ち、次の来院時に装着するというプロセスが必要なため、2~3回の通院が必要です。

 

2. 見た目が自然

コンポジットレジンは白いプラスチックでできているため、詰めた部分が元の歯とほとんど見分けがつきません。また、コンポジットレジンにはさまざまな色が用意されており、個々の患者さんの歯の色に合わせて自然な仕上がりにすることができます。特に、前歯の治療ではこの審美性が大きなメリットとなります。

 

3. 保険適用でコストを抑えられる

コンポジットレジンは、基本的に保険治療の範囲内で行われるため、1本あたり1,000円程度で治療が受けられます。一方、変色しにくく、さらに強度の高い保険外のコンポジットレジンも存在しますが、その場合は3万円前後の費用がかかります。保険内治療であっても十分な品質を持つため、コストパフォーマンスが高い選択肢です。

 

4. 歯を削る量が少ない

むし歯を削って取り除き、その空いた部分にコンポジットレジンを詰めるため、削る量が最小限で済みます。これに対して、インレーなどの詰め物を使う場合、詰め物がしっかりとはまるように歯を大きく削る必要があるため、健康な部分の歯も削らなければならないことがあります。コンポジットレジンなら、歯をできるだけ残す治療が可能です。

 

5. 金属アレルギーの心配がない

コンポジットレジンは金属を含んでいないため、金属アレルギーの心配がありません。銀歯を使うと、稀にアレルギー反応を引き起こすことがありますが、コンポジットレジンならそのリスクがなく、安心して治療を受けられます。

 

6. 再治療が比較的容易

コンポジットレジンを使った治療は、再治療がしやすい点もメリットの一つです。例えば、銀歯の周りにむし歯が再発した場合、銀歯を一度削り取ってから新しい銀歯を装着しなければなりません。しかし、コンポジットレジンの場合は、状況にはよりますが、むし歯になった部分のみを削り、そこに再びコンポジットレジンを詰めることでの治療も可能です。これにより、再治療の負担が軽減されます。

 

【コンポジットレジンのデメリット】

1. 時間の経過で変色することがある

治療直後は、コンポジットレジンを磨いて仕上げるため、表面は滑らかで非常にきれいな状態です。しかし、経年で表面が少しずつ溶けてざらついてくることがあり、その結果、飲食物やタバコなどの色素が付きやすくなります。特に、紅茶やコーヒー、タバコを常用する方は、変色が目立つことがあります。

セラミックの詰め物の場合、表面が非常に硬いため、時間が経っても変色や摩耗が起こりにくいという特徴があります。長期的な見た目の安定を求める場合は、セラミックの方が優れていますが、コスト面ではコンポジットレジンが優位です。

 

2. 摩耗しやすい

コンポジットレジンはプラスチックであるため、天然の歯や銀歯、セラミックと比較すると硬さが劣ります。日々の食事や歯ぎしりなどの影響で、コンポジットレジンの表面が少しずつすり減ってしまうことがあります。摩耗が進むと、噛みにくくなったり、詰め物の表面がざらついて着色しやすくなります。

また、歯と歯の間にコンポジットレジンを詰めた場合、摩耗によって隙間が広がり、食べ物が挟まりやすくなることもあります。このような場合は、強度のある金属やセラミックを使った治療が適している場合もあります。

 

3. 割れたり取れたりすることがある

コンポジットレジンは、銀歯やセラミックと比べて強度が劣るため、力がかかる場所では割れたり取れたりすることがあります。特に奥歯のかみ合わせが強い部分では、頻繁に力がかかるため、定期的に点検を受けて状態を確認することが大切です。もし、コンポジットレジンが頻繁に割れたり取れたりする場合は、より強度の高い材質に変更することを検討することが推奨されます。

 

【コンポジットレジンが適応できるむし歯とは?】

コンポジットレジンは、小さなむし歯や力のかかりにくい部分の治療に適しています。前歯は比較的力がかかりにくいため、コンポジットレジンで治療することが多いです。ただし、むし歯が大きくなりすぎると、コンポジットレジンでは強度が足りず、被せ物を使用することがあります。

奥歯の場合も、表面の浅いむし歯にはコンポジットレジンが適していますが、歯と歯の間にできたむし歯は少し難しくなります。むし歯の範囲が小さければコンポジットレジンで治療できますが、力がかかるとすり減ってしまい、食べ物が挟まりやすくなることもあるため、慎重に判断する必要があります。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

コンポジットレジンは、見た目が自然で治療回数が少なく済み、歯を削る量も少ないため、むし歯治療において非常に有効な選択肢です。しかし、変色や摩耗、力がかかる場所での破損などのリスクもあります。特に、むし歯が小さいうちであれば、コンポジットレジンでの治療が有効ですので、定期検診を受けてむし歯を早期発見することが重要です。

歯ぐきが下がる原因と対策 〜20代でも要注意!〜

2025年10月10日

最近、鏡を見て歯が長くなったように感じたことはありませんか?その原因は、歯ぐきが下がって歯の根元が露出しているからかもしれません。歯ぐきが下がる原因には様々なものがありますが、ここではその主な原因と対策について詳しく解説します。

【歯ぐきが下がる原因】

①歯周病

歯ぐきが下がる最も一般的な原因は「歯周病」です。歯周病は、プラーク(歯垢)に潜む歯周病菌が歯ぐきに炎症を引き起こし、最終的には歯を支える顎の骨が溶けてしまう病気です。顎の骨が溶けると、それを覆っている歯ぐきも徐々に退縮していきます。そのため、歯周病が進行するにつれて歯ぐきが痩せ、歯が長く見えるようになります。

[歯周病の予防方法]

・定期的な歯科検診:半年に一度は歯科医院でチェックを受けましょう。

・正しいブラッシング:力を入れすぎず、優しく丁寧にみがくことが大切です。

・フロスやデンタルリンスの使用:ブラッシングだけでは取りきれない歯垢を除去できます。

 

②間違ったブラッシング

毎日のブラッシングで強くみがきすぎると、歯ぐきが傷つき「擦過傷(さっかしょう)」という状態を引き起こすことがあります。歯ぐきに傷ができことが続くと、歯ぐきが退縮してきて歯の根元が露出してしまいます。これにより、歯が長く見えるだけでなく、知覚過敏などのトラブルも引き起こす可能性があります。

[正しいブラッシングのテクニック]

・ブラシの選び方:柔らかめの歯ブラシを選びましょう。

・力の入れ方:軽い力で磨くことを心がけましょう。

・ブラッシングの角度:歯と歯ぐきの境目を45度の角度で磨くと効果的です。

 

③乱れたかみ合わせ・食いしばり

一部の歯だけが強くかみ合わさっている場合、その部分の歯ぐきに過剰な力が加わり、徐々に歯ぐきが痩せていくことがあります。

[乱れたかみ合わせへの対応]

状態によりますが、改善のためには矯正治療などが必要なこともあります。

[食いしばりの改善策]

・ストレス管理:リラックスする時間を作りましょう。

・ナイトガードの使用:夜間の食いしばりを防ぐことができます。

 

④根尖病巣

重症のむし歯が歯の根っこまで進行すると、「根尖病巣」という状態になります。これは、過去のむし歯治療で歯の神経が死んでいる場合にも発生し、根の先に膿が溜まることが特徴です。膿が毒素を分泌し、歯ぐきに炎症を引き起こして痩せさせてしまいます。

[根尖病巣の治療方法]

・根管治療:歯の根っこの治療を行い、感染した部分を取り除いて消毒して封鎖します。

・抜歯:重度の場合、歯を抜かなければならないこともあります。

 

⑤その他の原因

加齢も歯ぐきが下がる一因です。年齢と共に顎の骨が痩せるため、それを覆う歯ぐきの位置も下がってしまいます。また、歯が少ない状態だとかむ力が顎の骨に伝わりにくく、結果的に歯ぐきが退縮してしまうことがあります。

[加齢による対策]

・歯の定期検診:どのご年齢でも。お口の中の状態に応じたケアを受けることが重要です。

・適切な義歯の使用:適合の良くない義歯(入れ歯)を使用しているのもよくありません。

かむ力を均等に伝えるためには適切な義歯を使用するのが重要です。

 

【歯ぐきが下がるとどうなる?】

歯ぐきが下がると、見た目が老けて見えるだけでなく、歯と歯の間に隙間ができやすくなります。これにより食べ物が挟まりやすくなり、歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。さらに、放置すると歯周病が進行し、最終的には顎の骨が溶けて歯が抜け落ちることもあります。歯が抜けると、見た目や日常生活に大きな支障をきたします。

 

【歯ぐきが下がったらどうすればいい?】

歯ぐきが下がっていることに気づいたら、早めに歯科医院を受診しましょう。歯周病が原因であれば、専門的な治療が必要です。歯みがきの方法を見直すことも大切です。歯ぐきを傷つけないよう、優しくブラッシングすることを心がけましょう。

[具体的な治療方法]

・ケーリングとルートプレーニング:歯科医院で炎症などの原因となっている歯周ポケット内の歯石やプラークを除去することも重要です。

・歯周外科手術:重度の歯周病には外科的な処置が必要となることもあります。

・歯ぐきの移植手術:退縮した歯ぐきを元に戻すために必要であれば行う手術です。

 

【若年層でも要注意】

20代や30代の若い人でも、口腔内環境が悪ければ歯周病に感染し、歯ぐきが下がることがあります。特に、歯ぐきからの出血や腫れが見られる場合は、早急に対処が必要です。

予防策として、毎日の口腔ケアを見直して正しいブラッシングとフロスの習慣をつけましょう。また、早期発見のためにも定期検診をうけることも大切です。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯ぐきが下がった状態を放置すると、どんどん歯ぐきが下がり、見た目が悪くなるだけでなく、歯ぐきと歯の間に隙間ができ、食べ物が挟まりやすくなります。さらに、歯周病が進行すると、最終的には歯が抜け落ちることもあります。歯が抜けてしまうと、見た目や日常生活にも大きな支障をきたすことでしょう。

歯ぐきが下がる原因はさまざまですが、もっとも多いのは歯周病です。そのため、歯ぐきが下がってきたら、まずは歯周病を疑いましょう。早期発見・早期治療が歯の健康を守る鍵となります。

歯ぐきが下がっていると感じたら、早めに歯科医院を受診して適切な治療を受けることが大切です。

歯の破折とは?原因と対策を知って健康な歯を保ちましょう!

2025年9月30日

みなさんは「歯の破折」についてご存知でしょうか?これは、文字通り歯が割れたり亀裂が入ることを意味します。歯の破折には大きく分けて「歯冠破折」と「歯根破折」の2種類があります。今回は、それぞれの破折について詳しく説明し、その原因や対策についても解説していきます。

 

【歯冠破折とは?】

まず、歯冠破折について説明しましょう。歯冠とは、歯の頭の部分、つまり口の中で見える部分のことを指します。歯冠破折は、硬い物をかんだ時や強い衝撃を受けた時に、この歯冠部分が欠けたり割れたりすることを意味します。

 

①歯冠破折の原因

歯冠破折の主な原因は、硬い食べ物をかんだ時や強い外力が加わった時です。例えば、ナッツや氷、キャンディなどの食べ物をかんだ時に歯が欠けることがあります。また、スポーツや事故で顔に衝撃を受けた場合にも歯冠破折が起こることがあります。

さらに、むし歯や歯の治療によって歯の構造が弱くなっている場合も、歯冠破折のリスクが高まります。特に、詰め物や被せ物が大きい場合、その周りの歯質が薄くなっているため、破折しやすくなります。

 

②歯冠破折の症状

歯冠破折が起こると、欠けた部分が尖っていたり、触ると痛みを感じることがあります。また、破折が深く進行すると、歯の神経にまで影響を及ぼし、強い痛みを伴うことがあります。この場合、歯の根っこの治療が必要となることがあります。

 

③歯冠破折の治療方法

歯冠破折の治療は、破折の程度によって異なります。小さな欠けであれば、詰め物や被せ物で修復することが可能です。しかし、破折が大きく神経に達している場合は、歯の根っこの治療を行った後にクラウン(被せ物)を装着することになります。

【歯根破折とは?】

次に、歯根破折について説明します。歯根とは、歯の根っこの部分で、骨の中に埋まっている部分を指します。歯根破折は、この歯根部分に縦の亀裂が入る、または割れることを意味します。

 

①歯根破折の原因

歯根破折の主な原因は、過度な力が歯に加わることです。

以下のような状況が考えられます。

・かみ合わせの状態が不均等である: 歯並びが悪く、一部の歯に過剰な負担がかかる場合

・歯ぎしりや食いしばりがある: 無意識に力強くかみしめる癖がある場合

・歯にメタルコアやポストが入っている: 歯を治療した時に金属の土台が大きく深く入っており、歯質が薄くなっている場合

・神経を取っている歯や加齢による劣化、むし歯などで歯が弱っている場合

・ブリッジ治療をしていて歯に負担がある: 3本の歯を2本で補っている場合、土台となる歯が耐えきれなくなることがあります。

・欠損歯の放置(歯がなくなったまま放置している): 欠損した歯を長期間放置していると、残った歯に過度な負担がかかります。

 

②歯根破折の症状

歯根破折が起こると、初期には症状が現れないことも多いですが、次第に以下のような症状が現れます。

・歯の動揺

・歯が浮いたような感じ

・かむと痛みがある

・歯ぐきの腫れがあったり、膿が出る

放置すると、破折部分から細菌が入り込み、根の先で膿を溜め始めます。膿が溜まると、強い痛みを感じるようになり、骨を溶かしてしまうこともあります。上顎の場合、膿が上顎洞まで到達し、蓄膿症のような症状や顔の腫れを引き起こすこともあります。

 

③歯根破折の治療方法

歯根破折が発生した場合、抜歯を余儀なくされることも多いです。もしも抜歯になった場合は、次のような方法で治療が行われます。

・インプラント:抜歯した箇所に人工の歯根を埋め込み、歯を再建する方法です。インプラントは天然の歯に近い見た目と機能を持ち、長期間使用できます。

・ブリッジ: 両隣の歯を土台にして、欠損部分を補う方法です。ブリッジは短期間で治療が完了しますが、隣接する健康な歯を削る必要があります。

・部分入れ歯: 欠損部分を補うための入れ歯を作る方法です。部分入れ歯は取り外しが可能で、清掃がしやすいですが、慣れるまでに時間がかかることがあります。

・親知らずを移植する: 親知らずを欠損部分に移植する方法です。親知らずが適切な位置にあり、健康である場合に限られます。

 

④歯根破折を予防する方法

歯根破折を防ぐためには、以下の方法があります。

・マウスピースの使用: 歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合、就寝時にマウスピースを使用して歯にかかる負担を軽減します。マウスピースは、歯科医院で自分に合ったものを作ることができます。

・歯列矯正:不正咬合によって一部の歯に過度な負担がかかっている場合、歯列矯正を行うことで均等にかむことができ、破折のリスクを減少させます。歯列矯正は見た目の改善だけでなく、かみ合わせの改善にも役立ちます。

・定期検診::定期的に歯科医院でチェックを受け、過度な力がかかっている部分がないかを確認してもらいましょう。早期発見と適切な処置が、歯の健康を保つためには非常に重要です。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯の破折は、痛みや治療の手間を伴う厄介な問題ですが、適切なケアと予防策を講じることで、リスクを大幅に軽減することができます。硬い食べ物を避ける、歯ぎしりや食いしばりの癖を治す、定期的に歯科検診を受けるなど、日常生活でできることから始めましょう。

歯科医院での定期検診を怠らず、健康な歯を維持するために日常のケアを心がけることで、歯の破折を予防し、快適な生活を送ることができます。歯の健康は全身の健康にも大きく影響しますので、しっかりとケアしていきましょう。

癌を見逃さないための症状と間違えやすい病気

2025年9月10日

口の中に何か変化が現れた時、癌の兆候を心配される方も多いのではないでしょうか。

実際には、癌ではないことが多いものの、早期に気づくことで治療の可能性が広がることもあります。

今回は、口の中に現れる癌になりやすい病変や、癌と間違えやすい病気について、詳しく解説します。

自分の健康を守るために、どんな症状に注意すべきかを知っておくことが大切です。

 

【癌になる前に知っておくべき症状】
癌に進行する可能性のある病変には、早期に気づくことで予防が可能なものも多いです。特に「前癌病変」という状態は、癌になるリスクが高いものの、早期発見することで治療を行うことができます。まずは、この「前癌病変」について理解しておきましょう。

 

【前癌病変とは?】
「前癌病変」という言葉は、耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にどのような状態を指すのかは、なかなか理解しにくいこともあります。簡単に言うと、「癌になりやすい状態ではあるけれど、現時点では癌ではない」という状態を指します。
WHO(世界保健機関)では、前癌病変を「正常な組織と比較して、癌の発生しやすい形態的な変化を伴った病変」と定義しています。言い換えれば、癌に変わる可能性がある段階ではあるが、今すぐに癌ではないということです。
この段階での発見が非常に重要です。早期に発見し、経過観察や必要に応じた治療を行うことで、癌を未然に防ぐことができる可能性が高くなります。

 

【癌になりやすい病変の種類】
癌になりやすい病変にはいくつかの種類があります。その中でも特に注意が必要なものを、詳しくご紹介します。

①白板症(はくばんしょう)
白板症は、口内の粘膜に白い斑点や板状の病変が現れる症状です。この病変は、将来的に癌に発展する可能性があります。日本では、白板症の5~10%が癌に進行するとされています。

・原因: 喫煙や義歯などによる慢性的な刺激が主な原因とされていますが、具体的な原因が不明な場合もあります。
・現れる場所: 舌のふち、頬の内側、歯ぐき、舌の下などに現れることが多いです。
・年齢・性別: 40~60代の男性に多く、特に喫煙者に多く見られます。
・特徴: 自覚症状はほとんどなく、白い部分はガーゼやティッシュで拭いても取れません。
・見た目: 白い部分の周りの境目ははっきりとしており、表面は凸凹があったり平坦だったり、ザラザラした感じが見られます。また、一部に赤い斑点が現れることがあります。この場合、癌に進行する可能性が高くなります。

②紅板症(こうばんしょう)
紅板症は、口内に現れる赤い斑点や板状の病変です。日本では、紅板症の約40%が癌に進行するとされています。

・原因: 喫煙やアルコールの摂取が関係しているとされていますが、はっきりとした原因は分かっていません。
・現れる場所: 舌、歯ぐき、頬の内側、口蓋などに見られます。
・年齢・性別: 40~60代の男性に多く見られます。
・特徴: 通常は自覚症状がないことが多いですが、触れると痛みを感じることがあり、違和感を覚えることもあります。すでに上皮内に癌が進行している場合もあるので注意が必要です。
・見た目: 病変部分は周囲の組織と境目がはっきりと分かれており、赤みが鮮やかです。

 

【癌と間違えやすい病気】
癌と間違えやすい病気もいくつかあります。これらの症状は癌ではない場合が多いですが、無理に自己判断をせず、専門家に相談することが大切です。以下に代表的なものをご紹介します。

①口内炎(こうないえん)
口内炎は、口の中にできる小さな潰瘍のことです。通常、2週間以内に治癒しますが、もし2週間経っても治らない場合は、他の病気が隠れている可能性もあります。

・原因: ストレスや栄養不足、免疫力の低下などが原因とされています。さらに、口内が不潔だったり、義歯や矯正器具で粘膜が傷ついたりすると発症することがあります。
・現れる場所: 舌、頬の内側、歯ぐき、唇など、口の中のさまざまな場所に現れます。
・症状: 赤く円形の腫れが現れ、その中心がえぐれていることがあります。複数個集まってできることもあり、食事の際にしみたり、触れると痛みを感じます。
・治療: 通常は1~2週間で自然に治癒しますが、2週間以上続く場合は一度歯科医院で診てもらうことをおすすめします。

②扁平苔癬(へんぺいたいせん)
扁平苔癬は、口内の粘膜に慢性的な炎症が起き、白い斑点が現れる病気です。まれに癌に進行することもありますが、そのリスクは低いため、経過観察が大切です。

・原因: 主に自己免疫疾患が原因とされていますが、銀歯や入れ歯の金属に対するアレルギー反応やホルモンの影響も関係していると考えられています。
・現れる場所: 多くの場合、頬の内側に両側性で現れますが、舌や歯肉、唇にも見られることがあります。
・年齢・性別: 30~60代に多く、特に50代以降の女性に多く見られます。
・症状: 通常は自覚症状がないことが多いですが、痛みや違和感を感じることもあります。
・見た目: 網目状、またはレース模様の白い斑点が数多く現れるのが特徴です。また、水ぶくれができたり、ただれたり、深くえぐれたりすることもあります。

 

【その他の注意すべき病気や形態】
①重度歯周病
歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶け、歯が動揺します。歯ぐきからの出血や膿が出ることがあり、かんだときに痛みを感じることもあります。

・原因: 歯周病菌による感染が主な原因です。
・症状: 歯ぐきの出血、膿、歯の動揺などが見られます。

②口蓋隆起(こうがいりゅうき)、下顎隆起(かがくりゅうき)
これらは遺伝や歯ぎしり、食いしばりによって引き起こされることがあります。通常、無症状ですが、入れ歯が作れない場合などに切除が行われることもあります。

 

【定期的なチェックで口腔癌を予防する方法】
口腔癌を早期に発見するためには、定期的に口腔内をチェックすることが重要です。自分でできる簡単なチェック方法と、歯科医師による専門的な検診を組み合わせることが、癌の早期発見に繋がります。

①自宅でできるチェック方法
自分でできる口腔内チェックは、毎日のお手入れの一環として行うことができます。以下のポイントに注意してみましょう。
・鏡で口の中を確認する:明るい場所で鏡を使って、舌の表面や裏側、頬の内側、歯茎、口蓋の状態を確認しましょう。異常な色や形の変化がないか、赤や白の斑点、しこり、腫れなどがないかをチェックします。
・痛みや違和感を感じたら注意:口の中に痛みや違和感を感じる場合は、その部位を触ってみて、どのような変化があるのかを確認します。特に、痛みが続く場合や、長期間治らない潰瘍がある場合は要注意です。
・歯ぐきの状態を確認する:歯茎からの出血や腫れが続く場合は、炎症や歯周病だけでなく、口内癌の可能性も考慮する必要があります。

②歯科医院でのチェック
歯科医師による定期的な口腔内チェックは、癌の早期発見に欠かせません。歯科医院では、口腔内を専門的に検査し、セルフチェックでは見逃しやすい病変も発見することができます。
口腔癌を予防するためには、定期的な口腔内チェックと健康的な生活習慣が不可欠です。異常を感じた際には早期に専門家に相談することで、癌を未然に防ぐことができます。自分の健康を守るために、定期的な検診と生活習慣の見直しを実践し、口腔癌を予防しましょう。

災害時における口腔ケアの重要性と具体的な対策

2025年8月30日

災害時には、食料や水の確保、避難生活の整備が優先されがちで、口腔ケアが疎かになりやすいです。しかし、適切な口腔ケアは、命を守るうえで非常に重要な役割を果たします。特に、高齢者や持病を持つ方は、口腔内が不潔な状態が続くことで、肺炎や全身疾患のリスクが高まるため、日常的なケアが求められます。今回は、災害時における口腔ケアがどんな効果をもたらすか、実際の対応策についてもご説明していきます。

 

 

① 肺炎予防のための口腔ケア

災害時に最も気をつけたいのが、肺炎の予防です。口の中が不潔になるのと肺炎とどのような関係があるのかと不思議に思われる方もいるかもしれませんが、お口の中が清潔でないと、細菌が増殖し、これが肺炎の原因となります。特に高齢者は、免疫力が低下しているため、細菌が気管に入り込みやすく、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高くなります。避難生活が長引くほど、そのリスクはさらに増大します。したがって、災害時でも歯みがきを欠かさないことが、全身の健康を守るために非常に重要です。

 

②入れ歯のケア

入れ歯を使っている方は、入れ歯のケアも忘れてはいけません。実際の災害現場ではなかなか難しいところもあるかもしれませんが、食後には必ず入れ歯を取り外し、流水で洗浄する習慣を持つことを忘れないようにしましょう。また、夜寝るときには入れ歯を外し、清潔な状態で保管することで、口腔内の菌の繁殖を防ぐことができます。災害時には水が不足することも考えられるため、ガーゼで食べ物の残りや汚れを拭き取ることも有効でしょう。これにより、口腔内を清潔に保ち、肺炎やその他の疾患のリスクを軽減できます。

 

③歯ブラシがない場合の対応

災害時には、歯ブラシが手元にない場合も想定されます。その場合でも、食後に少量の水やお茶でうがいをすることで、口内の汚れをある程度除去することが可能です。また、ハンカチやティッシュを使って歯垢(プラーク)を拭き取る方法も効果的です。これにより、細菌の増殖を抑え、むし歯や歯周病の進行を防ぐことができます。可能であれば、避難袋の中に簡易的な口腔ケア用品を常備しておくと、安心でしょう。

 

④だ液の分泌を促す工夫

だ液は、口腔内の健康を保つために欠かせない役割を果たしています。だ液には、細菌を洗い流す働きがあるため、だ液の分泌を促すことが重要です。災害時のストレスや脱水症状によって、だ液の分泌が減少することがありますが、耳の下、ほお、あごの下を手でもんだり、温めたりすることで、だ液の分泌を促進できます。これにより、自然な方法でお口の中の細菌を減らし、口腔内の健康を保つことができます。

 

⑤水が少ない場合の歯みがき方法

水の供給が限られる災害時でも、少量の水で効果的に歯みがきを行う方法を知っておくと便利です。まず、約30mlの水を用意し、歯ブラシを軽く濡らしてから歯みがきを行います。歯みがき中にティッシュで歯ブラシの汚れを拭き取りながら進めると、より効率的です。最後に、少量の水を2~3回に分けて口に含み、すすぎます。また、液体歯みがきや洗口液がある場合は、それらを使用することで水を節約しながら口腔内を清潔に保つことができます。うがい薬もお口の中を清潔に保つのに効果的です。

 

⑥キシリトールガムの活用

災害時には、水が全く手に入らない状況も考えられます。そのような場合でも、キシリトールなどのノンシュガーのガムをかむことで口腔内の健康を保つことが可能です。キシリトールは、虫歯の原因菌であるミュータンス菌の活動を抑制し、口腔内を清潔に保つ効果があります。また、ガムをかむことでだ液の分泌が促進され、自然な洗浄効果が期待できます。マウスウォッシュを併用することで、口腔内をリフレッシュし、細菌の繁殖を防ぐことができます。

 

⑦災害時の口腔ケアのまとめ

災害時には、お口のケアを疎かにしないことが、健康を守るために重要です。特に高齢者や持病を持つ方は、口腔ケアを怠ることで全身の健康に悪影響を及ぼすリスクが高まります。日常的に災害に備え、少量の水や代替品でのケア方法を習得しておくことが大切です。また、キシリトール入りのガムやマウスウォッシュなど、非常時に役立つアイテムを備えておくことも有効です。

非常時でも安心して過ごせるよう、事前に適切な対策を練っておくことをおすすめします。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

災害時の口腔ケアは、日常のケアと同様に重要です。しかし、災害時の特殊な環境下では、普段とは異なる工夫が必要となります。普段から災害時を想定して防災グッズを用意してある方も多いかもしれませんが、そのなかに口腔ケアに必要な物品を準備しておいてもよいでしょう。例えば、非常時の持ち出し袋に歯ブラシや歯みがき粉、液体歯みがき、キシリトールガムを備えておくのもひとつのアイデアです。また、災害時に急に歯が痛くなったとしても、緊急時にはなかなか対応できるとは限りません。そのため、定期的に歯科医院でのチェックアップを受けることも大切です。

日常の口腔ケアに加え、災害時の口腔ケアに対する備えも万全にしておきましょう。

災害はいつ起こるかわかりませんが、事前に準備をすることで、非常時でも健康を守っていきましょう。

 

外科手術の前には歯科治療が必要?お口のケアと外科手術の知られざる関係

2025年8月10日

「外科手術を受ける前に、歯科でむし歯の治療を済ませるように言われた」という話を聞いたことはありませんか?実は、むし歯だけではなく、外科手術の前には歯科治療が必要になることがよくあります。それはいったいなぜなのでしょうか?

今回は、外科手術の合併症と口腔ケアの関係について詳しく解説します。
【手術前に注意すべき口腔内の細菌とは?】

口の中に細菌がいることは、なんとなくはご存知な方も多いのではないでしょうか。

実は、口の中には数百種類の細菌が存在しています。健康な状態ではバランスが保たれていますが、むし歯や歯周病があると、細菌が血流に乗って全身に広がるリスクがあります。

特に、以下のような細菌には注意が必要です。

・歯周病菌(P. gingivalis、T. forsythia など):血流に入り、心臓病や糖尿病を悪化させる可能性がある

・むし歯菌(S. mutans など):手術後の免疫低下時に感染を引き起こすことがある

・口腔内常在菌:手術後の誤嚥性肺炎や創部感染の原因となる

以上のように、口の中にいる細菌をできるだけ手術前に少なくしておくことが様々なリスクを減らすことにつながるのです。
【もしグラついた歯があったなら】

グラついた歯があるまま外科手術をしてしまうと、手術中の気管挿管(麻酔時に管を挿入する処置)で歯が折れたり、誤嚥してしまうリスクがあります。特に、全身麻酔を伴う手術では、次のような影響が考えられます。

・抜けそうな歯が気管に入る危険性

・手術中の歯の破損による誤嚥や窒息のリスク

・術後の感染症リスクの増加

このようなリスクを回避するためにも、グラついた歯がある場合、事前に歯科医師の判断を仰ぎ、抜歯を検討する必要があります。
【手術前に受けるべき歯科治療とは?】

手術前には、以下のような歯科治療が推奨されます。

・むし歯治療:進行した虫歯は感染源になるため、できるだけ治療を済ませる

・歯周病治療:歯周病があると術後感染リスクが高まるため、クリーニングや治療を行う

・グラついた歯の処置:必要に応じて抜歯や固定処置を行う

・口腔清掃指導:術前の口腔ケアを強化し、細菌数を減らす
【手術前の歯科治療の具体的な流れ】

では、手術前に歯科治療を受ける場合は具体的にどのような流れになるのか示していきましょう。

  1. 手術前の歯科検診(口腔内の状態をチェック)
  2. 必要な治療の計画(むし歯や歯周病の治療、抜歯の検討)
  3. 治療の実施(クリーニング、詰め物や被せ物の調整など)
  4. 手術前の最終チェック(術前に問題がないか再確認)
  5. 術後のフォローアップ(手術後の口腔ケア指導)

心臓の手術を受ける予定の患者さんが、術前検査で重度の歯周病が見つかったケースについてご説明していきましょう。

歯科治療を行わずに手術を受けた場合、細菌が血流に入り感染性心内膜炎を引き起こすリスクがありました。そのため、術前に歯周病の治療を行い、感染リスクを減らしたことで、無事に手術を成功させることができます。

このように、手術前の口腔ケアは命を守る重要な役割を果たします。

【日頃の歯科定期検診と治療のメリット】

日頃から定期的に歯科検診を受け、適切な治療をしておくことで、手術前に慌てる必要がなくなります。

具体的には

・むし歯や歯周病の早期発見・早期治療ができる

状態にもよりますが、むし歯や歯周病の治療というものは1日で治せるものばかりではありません。状態によっては長期にわたって治療をする必要性があるものも、もちろんあります。

ですので、日頃からのこまめなケアが重要になってくるのです。

・手術前に追加の治療が必要になるリスクを減らせる

全身疾患の手術前というのは、からだの状態も悪く、歯科医院にこまめに通う時間や元気がない場合もあるでしょう。歯科医院での治療がすでに終わっている状態であれば、手術前にわざわざ追加で治療する必要もなくなりますので、スムーズに手術を受けることができます。

・全身の健康を維持し、手術後の回復を早める

特に、持病がある人や高齢者は、定期的な歯科検診がより重要になります。

細菌感染のリスクも減らせますし、術後の回復にも影響してくることでしょう。
【手術前の口腔ケアの具体的なチェックリスト】

手術前に口腔環境を整えるために、以下の項目をチェックしましょう。

・むし歯がないか確認する

・歯周病の進行状況をチェックする

・グラついている歯がないか確認する

・詰め物や被せ物の状態をチェックする

・口腔内の清掃状態を確認し、必要に応じてクリーニングを受ける

・舌の状態を確認し、白い苔(舌苔)が多い場合は適切なケアを行う

・口臭の原因を特定し、適切な対処を行う

これらのチェックを受けることで、手術時のリスクを最小限に抑えることができます。

 

【どんな人が特に注意すべきか?】

特に以下のような人は、手術前の口腔ケアを徹底する必要があります。

・高齢者:免疫力が低下しており、感染症にかかりやすい

・糖尿病:血糖コントロールが悪いと、歯周病が進行しやすい

・心臓病:口腔内の細菌が心臓に影響を与える可能性がある

・がん:抗がん剤治療や放射線治療により、口腔内の健康が悪化しやすい

・透析:免疫力が低下しているため、感染症のリスクが高い

 

【歯科医院でのチェック項目】

歯科医院では、以下のようなチェックを行います。

・歯周ポケットの深さの測定(歯周病の進行度を確認)

・詰め物や被せ物の状態確認(破損や隙間がないかチェック)

・ぐらついた歯の確認(必要なら固定や抜歯を検討)

・口腔内の細菌量の評価(クリーニングや指導を実施)

・かみ合わせのチェック(不適切な咬み合わせがある場合は調整)
【手術後の口腔ケアの重要性】

手術後は免疫力が低下し、感染症のリスクが高まります。そのため、手術後も口腔ケアを徹底することが重要です。

・毎日の歯みがきを丁寧に行う

・口腔内の保湿を心がける(唾液の分泌が減るため)

・やわらかい歯ブラシや低刺激の歯磨き粉を使用する

・食後はしっかりうがいをする
【手術後に起こりやすい口腔トラブル】

手術後は以下のような口腔トラブルが起こる可能性があります。

・ドライマウス:唾液分泌が減少し、口腔内が乾燥する

・免疫低下による感染:口内炎や歯周病の悪化が見られる

・食事のしにくさ:術後の体調不良により、食事がしづらくなる
【回復を早めるための口腔ケア方法】

手術後の回復を早めるためには、以下のようなケアを行うと良いでしょう。

・保湿ケア:口腔用保湿ジェルやスプレーを使用する

・食事の工夫:やわらかく、飲み込みやすい食事を選ぶ

・口腔体操:舌や頬を動かし、唾液の分泌を促す
【手術前の歯科治療が推奨される具体的な病気】

手術前の歯科治療が特に推奨される病気には、以下のようなものがあります。

  • 心臓病(心臓弁膜症・狭心症):感染性心内膜炎のリスクを減らす
  • 糖尿病:血糖コントロールを安定させるために歯周病を管理
  • がん治療:化学療法・放射線治療による口腔内トラブルを予防
  • 人工関節置換術:手術後の感染リスクを低減

手術前の歯科治療を徹底し、安心して手術に臨みましょう。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

全身の健康を守るためにも、日頃からのこまめなお口のケアが重要なことはご理解いただけたでしょうか。

いきなり外科手術が必要となっても慌てなくていいように、こまめな歯科医院での定期検診や歯科治療をおすすめします。手術に備えてだけでなくとも、常にお口の健康を守れるようにしておきましょう。

 

歯を「磨いている」のに歯科医院では「磨けていない」と言われてしまう?

2025年7月28日

 

毎日しっかりと歯をみがいているのに、歯医者さんに行くと「磨けていませんね」と言われた経験はありませんか?

実は、歯を「磨いている」と「磨けている」ことには大きな違いがあります。むし歯や歯周病にならないためには、「磨けている」ことが重要です。

でも、どうすれば「磨いている」ではなく「磨けている」状態になれるのでしょうか?

今回は、歯科医が教える歯磨きのポイントをご紹介します。

 

【むし歯になってしまう原因について】

みなさんは、むし歯や歯周病にならないために、毎日歯をみがいていることと思います。では、そもそもむし歯はなぜできるのでしょうか?むし歯ができるには、4つの条件があります。

  1. 歯(宿主)があること

歯がない人、例えば生後半年未満の乳幼児や総入れ歯の高齢者は、むし歯になることはありません。逆に言うと、歯があれば、いつでもむし歯になってしまう危険があるということです。

  1. 細菌(プラーク)がいること

むし歯を引き起こすのは、「細菌」です。特に「ミュータンス菌」と呼ばれるむし歯菌が原因です。赤ちゃんの口の中には最初、むし歯菌は存在しませんが、親や周りの人から感染します。このように私たちはみんな、むし歯になる可能性があるわけです。

  1. 糖があること

糖は砂糖だけでなく、お米や果物に含まれる糖も含まれます。これらの糖が口の中に残ると、細菌がそれをエサにして酸を生成し、その酸が歯を溶かしてしまいます。これがむし歯の原因です。

  1. 時間

むし歯の原因となる酸を作り出すのには時間がかかります。この時間が、むし歯予防のカギを握っています。プラークをこまめに除去すれば、酸が歯を溶かす前に防ぐことができるのです。

つまり、歯が溶けるよりも早く、むし歯菌を取り除き、酸を除去してあげればむし歯にならずに済むのです。このように、「時間」を意識してお口の中を管理することは、むし歯予防に繋がります。

 

【「磨けている」の誤解とは?】

「歯を磨く」という言葉を歯科医や歯科衛生士が使うとき、それは単に歯ブラシで磨くことだけを意味しているわけではありません。歯についたプラーク(歯垢)をできるだけ取り除くことで、むし歯や歯周病を防ぎ、健康な状態を維持することが「歯を磨く」ことなのです。自分でしっかりとこれができていれば、「磨けている」ということになります。

実際、多くの人は毎日歯を磨いていますが、「磨けている」と思っていても、実際には十分にプラークを除去できていないことが多いのです。歯磨き粉の清涼感でお口がすっきりして「磨けた」と思うかもしれませんが、プラークを完全に取り除くことが本当のゴールなのです。

 

【「磨けている」ための歯磨きのポイント】

では、どのように磨けば「磨けている」状態になるのでしょうか?

むし歯ができやすい場所をしっかり磨くことが大切です。

特に注意すべき場所は、以下の3つです。

  1. 歯と歯ぐきの境目(歯の生え際)
  2. 歯と歯が接している部分(コンタクトポイント)
  3. 歯の溝(特に奥歯の咬む面)

これらの部分は、歯磨きだけでは磨きにくいところであり、十分に磨けていないことが多いです。歯の表面は比較的磨きやすく、ほっぺた側や舌側もそれほど磨くのに難しくはないでしょう。しかし、歯の生え際や歯間、奥歯の溝などは、自然には磨けません。この部分をしっかり磨くことが、むし歯予防の鍵になります。

 

【効果的な磨き方のコツ】

  1. 歯と歯ぐきの境目(歯の生え際)の磨き方

歯の一番出っ張っているところは、ほっぺたや舌があたることで汚れが残りやすいところではありませんし、自分でも磨きやすいところでしょう。

最も大切なのは、歯の根元側、歯と歯ぐきの境目部分です。毛先を歯ぐきの方向に45度傾け、振動させるように磨きます。強くこすらず、細かく小さな振動を与えることがポイントです。

  1. 歯と歯が接している部分(コンタクトポイント)の磨き方

歯ブラシでは磨きにくい部分ですが、デンタルフロスを使うと効果的です。デンタルフロスを歯間に挿入し、歯に巻き付けて上下に動かすことで、隣接面のプラークを除去できます。また、歯間ブラシは歯と歯の間に隙間ができた場所に使うと効果的です。

  1. 歯の溝(特に奥歯の咬む面)の磨き方

奥歯の溝は食べ物のカスやプラークが溜まりやすい部分です。しっかりと丁寧に磨き、汚れを掻き出すイメージで行いましょう。

これらをしっかりと実践すれば、歯磨きが効果的に行えます。磨き方に時間をかけて、1回につき5分程度の丁寧な歯磨きが理想的です。

 

【歯科医院での指導の重要性】

自宅で歯を磨くことも大切ですが、歯科医院で専門的な指導を受けることも重要です。歯科医院では、あなたの歯磨きの仕方をチェックし、磨き残しがないかを確認します。磨き残しがあった場合、どの部分をしっかり磨けばよいかの具体的な指導もします。

また、歯科医院で定期的なクリーニングを受けることで、歯の表面や歯周ポケット内のプラークをプロフェッショナルに取り除くことができます。これにより、むし歯や歯周病を予防するための効果が高まります。クリーニングを受けることで、自分では気づかないうちに溜まった汚れをしっかりと取り除き、お口の中の健康を守ることができます。

 

【歯科医院に通う意義】

歯科医院では、歯磨きの方法を改善するためのアドバイスをもらうことができます。我流ではなかなか細かいところまで磨き切れてはいないのです。

歯科衛生士や歯科医師は、患者さんそれぞれの歯と口の状態に応じた個別のアドバイスすることが可能ですので、歯磨きの効果を最大化するためには、自己流ではなく、専門家の指導を受けることが大切です。

また、歯科医院で受ける定期的な検診は、早期にむし歯や歯周病を発見し、早期治療を行うための大きな助けになります。歯科医院に通い、正しい歯磨きの方法を学び、定期的なクリーニングを受けることで、口内環境を維持し、長期的に健康な歯を保つことができます。

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯磨きは毎日行う習慣ですが、正しい方法で行うことが大切です。自宅での歯磨きに加えて、歯科医院で定期的にチェックとクリーニングを受けることで、むし歯や歯周病を予防し、健康な口内環境を守ることができます。

定期的な歯科検診を受けることで、口腔内の健康を守り、全身の健康にもつながります。毎日の歯磨きと歯科医院での定期的なケアで、しっかりと口腔内を守り、健康な笑顔を維持しましょう。

歯が溶ける?!「酸蝕症」ってどんなもの?

2025年7月10日

「酸蝕症(さんしょくしょう)」という言葉をTVなどで聞いたことがあるでしょうか。

具体的な症状や原因は分からなくても、なんとなく聞いたことがあったりするかもしれません。ここでは酸蝕症について、なりやすい飲食物や生活習慣などを解説していきます。

 

【酸蝕症とはどんな病気?】

酸蝕症とは、一言で言うと「酸によって歯が溶ける病気・現象」のことを意味します。
私たちの歯は、一般的な食事をする分には問題ないのですが、酸性の刺激に弱い性質を持っています。ですので、歯が酸にさらされやすい生活習慣があると、歯の一番表層を覆っているエナメル質やその内部の層である象牙質が徐々に溶けてきてしまいます。

 

【むし歯じゃないの?】

酸で歯が溶けると聞くと、まずイメージするのは「むし歯」ではないでしょうか。

むし歯はミュータンス菌に代表されるむし歯菌が歯に感染し、酸を作り出すことで歯を溶かしていく病気です。つまり、むし歯は細菌が感染することによって起こります。

しかしながら、酸蝕症の場合、細菌による関与はありません。むし歯菌が作り出す酸ではなく、食品などに含まれる酸性の物質によって歯が溶けていく病気なのです。

 

【どんなものによって酸蝕症は起こる?】

酸蝕症になる原因は、2つに大きく分けることができます。

1つは体の中から出てくる酸による内因性のものです。2つ目は、酸性の食品など外から取り込む外因性のものです。

①内因性の酸蝕症

内因性の酸蝕症は、主に胃酸が逆流してくることによって生じます。

過食症や拒食症などが原因で、嘔吐(おうと)をする機会が多い場合、胃酸が混じったものが口から体外へと出されます。その際に、歯が酸性の刺激にさらされ、歯の表層にあるエナメル質を溶かしていきます。

また、胃酸が逆流する「胃食道逆流症(GERD)」という病気も原因として挙げられます。この病気は、胃と食道とのつなぎ目が狭くなるなどの異常によって生じる症状です。嘔吐反射も促されることがあります。

その他には、アルコールを大量に飲む習慣があり、頻繁に嘔吐する方も酸蝕症になりやすいです。

②外因性の酸蝕症

外因性の酸蝕症は、酸性度の高い飲み物や食べ物を習慣的に摂ることによって起こります。

「酸性度が高い」というと、酸っぱいレモンやお酢を思い浮かべるでしょうか。しかし、気づかないところでも酸性度が高いものはたくさんあります。ジュースや炭酸飲料を始めとした清涼飲料水やワインなども実は酸性度が高い飲み物です。また、意外かもしれませんが、スポーツドリンクも注意しなければなりません。

スポーツドリンクは、水分だけでなく様々なミネラル成分も含まれているため、夏場の水分補給としてよく飲んでいる方も多いかもしれません。

甘くて美味しく、水より飲みやすいため、頻繁に飲んでいるのではないでしょうか。

スポーツドリンクを飲むことによって、もちろん水分補給にはなります。しかし、気をつけなければならないのが、大量の糖分が含まれていることと、酸性度も比較的高いことです。頻繁に飲むことで、実は酸蝕症のリスクが高まっているのです。

※まれな酸蝕症

外因性の酸蝕症で稀なものがあります。それは、酸性のガスを吸い込むことによっても酸蝕症になる場合です。これは特殊な場合ですので、関係ない方も多いでしょう。

気をつけなければならないのは、主に塩酸や硫酸、硝酸などのガスが発生する工場で勤務している人です。このような工場に勤務していると、外因性の酸蝕症になりやすく、基本的には職場の健康診断等で注意を促されていることかと思います。

酸蝕症の原因となるのは、必ずしも液体ではない一つの例です。

【酸蝕症でどんなことが起こるの?】

酸によって歯が溶けることが酸蝕症ですが、どのように歯が溶けていくのか、そしてどのような症状を感じるようになるかをご説明していきます。

①エナメル質が溶ける

酸によって、まずは歯の一番表層にあるエナメル質が溶け出していきます。

基本的に、歯が溶けるということだけで考えるとむし歯と変わりはないのですが、その歯の溶け出し方には違いが見られます。

むし歯は、一般的に、直径1~2mmくらいの狭い範囲からエナメル質が溶け出します。しかし、酸蝕症はその範囲が比較的広いのが特徴です。歯の表面全体が均一に溶け出していくこともあるでしょう。

②象牙質が出てくる

象牙質は、エナメル質に覆われています。エナメル質の下にある層である象牙質は、酸蝕症によってエナメル質が溶けると表に出てきてしまいます。これは、むし歯になっても同様です。

しかし、むし歯と酸蝕症は明らかに違いがあります。酸蝕症の場合は、歯が溶ける範囲が広いので露出する象牙質も多くなり、歯全体が黄色く見えるようになります。審美的にも影響を与えてしまいます。

③歯がしみる(知覚過敏になる)

象牙質には歯の神経が一部入り込んでいるため、象牙質が出てくると食事中の食べ物による刺激が直に伝わります。冷たいものや熱いものを食べたり飲んだりすると、通常のエナメル質に覆われている状態であれば感じることもない刺激を感じてしまいます。具体的には、歯がしみるようになります。象牙質知覚過敏症の状態ですね。

また、象牙質はエナメル質ほど強くはありません。酸に対する抵抗力も弱いため、むし歯のリスクも高くなります。

 

【酸蝕症の予防法】

口の中というのは、通常は中性に保たれています。しかしながら、飲食物や胃酸による影響で酸性度が高くなると歯は溶けやすくなります。では、歯が溶けないためにはどうしたらいいのでしょう。酸性の飲食物をすべて摂らなければいいのでしょうか?

実際、身近な食事の中にも酸性の飲食物は多く、健康に良いとされているものも多く含まれています。日常生活でこれらをすべて控えていくというのは現実的ではないでしょう。

そのため、酸蝕症を防ぐためには以下のことに注意していくことをおすすめしています。

①酸性の飲食物を口にした後は、水で口をゆすぐ

酸性度の高い飲食物を口にしても、その後にしっかりうがいや歯磨きすることで、エナメル質が溶け出すのを防ぐことが可能になります。

②酸性度が高い飲食物を、ダラダラと食べたり飲んだりしない

長時間口の中に酸性のものが入っていると歯が溶けリスクが高まります。

そのため、いつまでも口の中に入っていることやダラダラ食べ飲みをするのはやめましょう。気づかないうちに歯が脆くなってしまいます。

③寝る前に、酸性の飲食物を摂るのを控える

唾液には、酸性に傾いた口の中を中性に戻す作用が期待できます。また、歯の再石灰化を促す作用もあるため、唾液が出ていることは、酸蝕症の予防のためにも重要です。

しかし、寝ている間は唾液の分泌が少なくなります。

そのため、寝ているときは口のなかのpHが中性に戻りにくくなり、酸蝕症も進行しやすい状態になるのです。

④フッ化物を有効活用する

歯が溶ける現象である脱灰(だっかい)は、フッ化物を上手に活用することによって予防できます。フッ素は歯の再石灰化を促すだけでなく、酸に対する抵抗力も高めてくれます。

普段からフッ素入りの歯磨き粉を使用したり、歯科医院でのフッ素塗布を定期的に受けたりすることがおすすめです。

⑤病院に相談する

内因性の酸蝕症の場合、原因である摂食障害や胃食道逆流症を治すことが予防につながります。これらの病気は内科的な治療が必要ですので、まずは病院に相談することが重要です。

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

酸蝕症は、皆さんが思っているよりも身近な病気です。歯が溶けるのはむし歯だけではありません。酸蝕症によっても歯は溶け出すことがあるため、十分な注意が必要です。

酸性の飲み物や食べ物が好きで、歯科医院にあまり通っていない方は早めに定期検診を受けてみるのもいいでしょう。気づいていないだけで歯が溶け出しているかもしれません。

歯の数や構造、かたち、色の異常

2025年6月25日

歯もからだの成長と同様に成長していきます。歯は顎の骨の中で育つため、目で直接見ることはできません。顎の中でずっと成長を続け、準備ができると次第に口の中に現れてきます。乳歯だったら歯が全く無い歯ぐきに生えてきますし、永久歯であれば乳歯がグラグラして永久歯に生え変わりますね。

しかし、歯の成長途中に何らかの悪影響が生じると、歯の数やかたち、構造などに異常が現れることがあります。今回はそのような歯のさまざまな異常についてご説明していきます。

 

【歯の数の異常】

通常、生えてくるはずの歯の数が足りなかったり、過剰だったりして異常が認められることがあります。

・完全無歯症(かんぜんむししょう)

歯が全くない状態です。
非常に稀なケースですが、先天的に歯が一本も生えてこない場合があります。

無歯症は、外胚葉異形成症(がいはいよういけいせいしょう)という先天的な疾患の一症状として現れることが多く、この病気では歯以外にも、毛髪や爪、汗腺に異常が生じることがあります。

・先天性欠如(せんてんせいけつじょ)
生まれつき歯の本数が少ない状態を指します。これは部分的無歯症とも呼ばれ、特に第二小臼歯(前から5番目の歯)や側切歯(前から2番めの歯)に多く見られます。実際には、10人に1人程度の割合で起こる比較的よく見られます。遺伝なども影響を与える因子です。

・過剰歯(かじょうし)

歯の本来の数は乳歯20本、永久歯28~32本です。

過剰歯は通常の葉が生える本数よりも、過剰に多く作られた歯のことを意味します。

普通の歯と同様に生えてくることもありますが、骨の中で埋まったままになっていることもあります。骨の中にある場合は、レントゲンを撮ったら過剰歯があることに気づくことができます。

かたちとしては、基本的には奇形の歯ですので、普通の歯と違っていたり大きさも異なっています。三角錐のような形をしていたり、小さかったりとさまざまです。多くの場合は抜歯となるでしょう。

 

【歯の構造に関する異常】

歯はエナメル質や象牙質という層で覆われていて神経を守っているのですが、その歯を構成しているエナメル質や象牙質がきちんと作られていない状態を指します。

・エナメル質形成不全症(MIH)
エナメル質形成不全症は、歯の表面を覆うエナメル質が十分に形成されない状態を指します。症状として、エナメル質が薄くなったり、部分的に欠けることがあり、歯が黄色く見えることが多いです。エナメル質が不十分だと、歯がむし歯になりやすくなるため、注意が必要です。

・象牙質形成不全症
象牙質形成不全症は、歯の内部にある象牙質が正常に作られない状態です。この異常では、歯が琥珀色に変わりやすく、象牙質とエナメル質の結合力が弱いため、歯が欠けやすくなります。さらに、象牙質がしっかり作られないため、歯の根が短くなることもあります。

・歯内歯
歯内歯とは、歯の内部にエナメル質や象牙質が過剰に入り込んでしまう異常です。特に上顎の側切歯(上の前から2番めの歯)に多く見られ、形状が通常と異なるため、むし歯や歯周病のリスクが高まることがあります。

【歯のかたちに関する異常】

歯には歯の種類によってそれぞれ決まったかたちがありますが、通常とは異なる様子を呈します。

・ハッチンソンの歯
ハッチンソンの歯は、生まれつき梅毒に感染していた場合に、子どもの歯に見られる形状の異常です。この症状では、前歯の縁に半月状のくぼみができ、歯の横幅が通常よりも狭くなることが特徴です。

・矮小歯
矮小歯は、通常よりも小さな歯です。隣の歯に比べると明らかに小さいので見分けがつきやすいかもしれません。歯の大きさだけでなく、形状も異なることが多く、特に尖った形をした円錐歯や、細長い栓状歯などの形状異常が見られることがあります。これらの異常は見た目の問題だけでなく、かみ合わせや口腔機能にも影響を及ぼす場合があります。

・巨大歯
通常の歯よりも著しく大きな歯です。特に前歯や奥歯に見られ、歯冠の大きさや歯根の長さが通常の歯と比べて大きくなります。かみ合わせに問題を引き起こすことが多いため、矯正治療が必要となる場合があります。

・双生歯(そうせいし)

一つだった歯胚(歯のもとになるもの)が何らかの原因で2つに分離してしまい、そのまま成長発育した歯です。

・エナメル滴
歯の根元部分に球状の隆起ができる状態で、エナメル真珠とも呼ばれます。この異常は、歯周組織との密着が不十分になり、歯周病の原因となることがあります。定期的な検診での早期発見と予防が重要です。

 

【歯の色に関する異常】

・斑状歯(はんじょうし)
斑状歯は、フッ素の過剰摂取によって引き起こされる歯の色の異常です。

1~2ppm以上のフッ化物を長期間摂取した場合に、歯に水平な白色や褐色の斑点が現れます。この症状は、むし歯予防の効果がフッ素によって発見されるきっかけとなった現象でもありますが、適量のフッ素は安全ですので、日常の歯みがきに使用する場合は心配いりません。

(歯科医院でのフッ素塗布や家庭で使用する高濃度のフッ素配合歯磨剤などは安全です。)

・テトラサイクリンの副作用
テトラサイクリンという抗菌薬を歯が形成される時期に服用すると、象牙質に影響を与え、歯に灰色や茶色のしま模様が現れることがあります。

 

【その他の異常】

・歯牙腫
歯牙腫は、歯胚が過剰に発育することで形成される良性の腫瘍です。

歯の構造が含まれており、痛みや腫れなどの自覚症状もありません。定期検診などのレントゲン撮影によって発見されることが多いです。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯の異常といってもいろいろな種類があります。

歯の発育不足や過剰による異常は、歯の数、かたち、色、構造にさまざまな影響を及ぼします。これらの異常は、先天的な要因や環境要因によって引き起こされることが多く、適切な診断と治療が必要となることもあります。

もしも気になることなどがあれば、お気軽にご相談ください。

むし歯になりやすい人と部位、その予防方法

2025年6月10日

むし歯は多くの人が経験する口腔の問題ですが、なぜ同じような生活習慣を送っていてもむし歯になりやすい人とそうでない人がいるのでしょうか?むし歯は単なる口のトラブルではなく、生活習慣や体質、歯の状態などさまざまな要因が絡み合って発生します。今回は、むし歯になりやすい人の特徴やむし歯ができやすい部位、そしてそれらを予防するための具体的な方法について詳しく解説していきます。

 

【むし歯になりやすい人の特徴】

①食生活が不規則

食生活の乱れは、むし歯のリスクを大きく高める要因です。特に、間食を頻繁に摂ったり、糖分を多く含む飲み物やお菓子を常に摂取していると、口腔内の環境が悪化します。食事と食事の間に糖分を摂取すると、口腔内のpHが酸性に傾き、むし歯を引き起こす原因となります。酸性環境では、歯のエナメル質が溶けやすくなり、むし歯が進行しやすくなります。

具体例として、夜遅くにお菓子を食べる習慣がある場合、就寝中に口腔内に糖分が残り、むし歯のリスクが増します。甘いものを摂取した後は、できるだけ早く歯みがきをすることが重要です。

 

②歯みがきが不十分

むし歯の予防には、適切な歯みがきが欠かせません。しかし、歯みがきが不十分な場合、歯垢(プラーク)が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病の原因となります。歯垢は細菌の温床であり、これが口腔内に長時間残ると、酸が生成されて歯を溶かします。特に、歯ブラシが届きにくい歯と歯の間や奥歯の隙間に歯垢がたまりやすいです。

歯みがきの際には、歯と歯ぐきの境目を意識して、軽い力で磨くことが大切です。また、歯ブラシだけでは完全に取り除けない歯垢もあるため、フロスや歯間ブラシを併用することをおすすめします。

 

③唾液の分泌が少ない

唾液は口腔内の健康を保つために非常に重要です。唾液には、口腔内の酸を中和する役割や、食べ物の残りカスを洗い流す作用があります。唾液の分泌が少ないと、口腔内が乾燥し、むし歯や口臭のリスクが高まります。

唾液の分泌を促進するためには、よくかんで食事をすることが効果的です。食事をすると唾液の分泌が自然に促されます。また、水分をしっかり摂ることや、シュガーレスのガムをかむことも唾液の分泌を助ける方法です。

 

④歯並びが悪い

歯並びが悪いと、歯の間に食べ物が詰まりやすくなり、歯みがきが難しくなります。特に、歯が重なっていたり、隙間が不規則な場合は、歯ブラシが届きにくく、歯垢が溜まりやすいです。その結果、むし歯や歯周病のリスクが高まります。

歯並びが気になる場合は、矯正治療を検討することも一つの方法です。矯正治療によって、歯の位置が整い、むし歯や歯周病のリスクが低くなる場合があります。

 

【虫歯になりやすい部位】

①歯と歯の間

歯と歯の間は、歯ブラシが届きにくく、食べ物のカスが溜まりやすい場所です。この部位は、むし歯が発生しやすく、初期の段階では痛みを感じにくいため、気づかないうちに進行することがあります。定期的にフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間をしっかりと清掃することが重要です。

フロスを使う際は、優しく歯と歯の間に挿入し、前後に動かして汚れを取り除きます。歯間ブラシも効果的ですが、サイズが合わないと歯肉を傷つける可能性があるため、適切なサイズを選ぶことが大切です。

 

②奥歯の溝

奥歯の咬合面(噛む面)には深い溝があり、ここに食べ物が詰まりやすく、むし歯ができやすいです。特に、乳歯や永久歯が生えたばかりの時期は、溝が深く、歯ブラシだけでは十分に清掃できないことがあります。

予防策としては、歯科医院でのフッ素塗布やシーラント処置を検討することが有効です。シーラントは、奥歯の溝に薄い樹脂を塗布することで、虫歯の原因となる食べ物のカスがたまりにくくします。

 

③歯の根元

歯の根元部分は、歯茎が下がることで露出しやすくなります。ここが露出すると、むし歯や知覚過敏が起こりやすくなります。根元が露出する原因としては、歯周病や過度のブラッシングがあげられます。

根元が露出している場合、ブラッシング時には優しくみがくことが重要です。また、デンタルケア製品には、知覚過敏用の歯磨き粉や、歯の根元を保護する成分が含まれているものもありますので、適切な製品を選ぶことが大切です。

【むし歯の予防方法】

①正しい歯みがき習慣

むし歯予防には、毎日の歯みがきが欠かせません。歯ブラシは柔らかめのものを選び、歯と歯茎の境目を意識して丁寧にみがきます。一般的には、1回の歯みがきにつき2分以上かけることが推奨されます。歯磨き粉にはフッ素が含まれているものを選ぶと、エナメル質の強化が期待できます。

歯みがきの順番としては、まず奥歯から始め、前歯に移ると良いでしょう。奥歯は特に汚れがたまりやすい部分なので、丁寧にみがくことが重要です。また、歯みがきだけでなく、舌の清掃も忘れずに行いましょう。舌にたまる細菌も口臭の原因になります。

 

②定期的な歯科検診

定期的な歯科検診は、むし歯や歯周病の早期発見に役立ちます。通常、3~6ヶ月ごとに歯科医院を訪れることが推奨されます。検診では、歯科医師が口腔内を詳しくチェックし、問題がないか確認します。また、プロフェッショナルなクリーニングも行われ、歯垢や歯石が取り除かれます。

検診を受けることで、自分では気づかなかった小さなむし歯や歯の問題も早期に発見され、適切な治療やアドバイスが受けられます。定期的な検診を受けることで、長期的に口腔の健康を維持することができます。

 

③食生活の見直し

むし歯予防には、食生活の見直しが重要です。糖分の多い食べ物や飲み物は、むし歯のリスクを高めるため、控えめにしましょう。特に、砂糖が多く含まれるお菓子やジュースを頻繁に摂取することは、むし歯の原因となります。

バランスの取れた食事を心がけることも大切です。食物繊維が豊富な野菜やフルーツを摂取することで、口腔内の健康をサポートできます。また、食後に水を飲むことで、口腔内の酸を中和し、虫歯のリスクを減らすことができます。

 

④唾液の分泌を促す方法

唾液の分泌を促進するためには、よくかんで食事をすることが効果的です。食事をしっかりかむことで唾液の分泌が促され、口腔内の自浄作用が高まります。さらに、シュガーレスのガムをかむことで唾液の分泌を促進することができます。

唾液の分泌が少ないと感じる場合は、口腔内を乾燥させないように水分をしっかり摂ることも大切です。特に、口の乾燥を感じる場合は、こまめに水を飲むように心がけましょう。また、口腔内の乾燥を改善するための製品も市販されていますので、適宜使用するのも良いでしょう。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

むし歯は、誰にでも起こりうる口腔の問題ですが、日々のケアと予防をしっかりと行うことで、そのリスクを大きく減らすことができます。自分の生活習慣や口腔内の状態に合わせた予防方法を取り入れ、健康な歯を維持していきましょう。定期的な検診と適切なケアが、長期的な口腔の健康を保つ鍵となります。今日から実践して、むし歯のリスクを減らしていきましょう。

初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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  • 診療時間
    10:00~12:30 14:00~19:00
  • 休診日:第2水曜日
OCEAN歯科クリニック URAYASU
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