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入れ歯の正しいお手入れ方法と取り扱いの注意点

2023年10月25日

入れ歯のお手入れについて、どのようにするかなどきちんとご存じでしょうか?

いろいろな事情で歯を失ってしまった方にとって、入れ歯はその機能を回復させる、とても便利なものです。しかしながら、きちんとお手入れをしないと壊れてしまうこともありますし、お口や身体に悪影響を与えてしまうことすらあります。

「なんとなく入れ歯は磨いているけれど・・・」と自信がない方も多いと思いますので、入れ歯の正しいお手入れ方法や注意点についてご説明していきます。

 

【入れ歯のお手入れを怠ると、どんなことが起きる?】

入れ歯も自分の歯と同じように、毎日の清掃とメンテナンスをしていく必要があります。

自分の歯のように、毎日お口の中に入れて食事をすることで、食事の食べかすや雑菌が付いていきます。これらの汚れをしっかりと取り除き、清潔にしていくことで長く入れ歯を使用することが可能になります。

もしも、入れ歯の清掃を数日間怠るとどうなるでしょう。

とても不衛生な状態となり、雑菌はかなり繁殖して臭いを発することもあるかもしれません。さらにはカビが生えてくることもあるでしょう。

また、入れ歯はデリケートなものですので、正しく取り扱ってメンテナンスをしていかないと、変形や破損を起こす可能性もあります。

入れ歯は、患者さん一人ひとりのお口の状態に合わせて緻密に調整しているため、変形や破損が生じてしまうと口の中での違和感はもちろんですが、かんだり発音したりと、さまざまな機能にも大きな影響を与えてしまいます。

 

【入れ歯の正しいお手入れ方法と注意点】

①入れ歯を洗うタイミング

食後や寝る前にはしっかりと洗いましょう。くれぐれも、寝ているときに「食べたままで洗っていない入れ歯が口の中に入っている」などということはやめましょう。
口の中にはもともと、多くの細菌が存在しています。その細菌達が、食べ物のカスや糖分などを養分にして繁殖します。使用した入れ歯にも汚れや細菌が付きますので、これらを取り除かずに放置してしまうと、入れ歯にも細菌が増殖してしまいます。

お食事の後や寝る前には入れ歯をはずし、しっかりとお手入れをする習慣を身につけましょう。

 

②入れ歯の清掃の方法

入れ歯を清掃する時は、水道の水を流し、入れ歯を磨く専用の歯ブラシや普段お使いの歯ブラシを使ってきれいにしていきましょう。

 

③入れ歯洗浄剤

それぞれの入れ歯に合った洗浄剤や歯磨剤を使っていく必要があります。
入れ歯にはさまざまな種類のものがあります。また、作られている素材の種類も異なります。市販されている洗浄剤の中には、材質によって利用できないものもありますので、どのような入れ歯洗浄剤を使用したらいいか悩まれるときは歯科医師にご相談ください。入れ歯の材質に合った洗浄剤をお伝えします。

歯磨剤の中には「研磨材」が入っているものがあります。研磨剤入りの歯磨剤で強く磨いてしまうと、入れ歯の表面に細かい傷がつきます。この傷の中に細菌や汚れが入り込んで、入れ歯に臭いや着色が生じたり、破損等の原因になることがあります。

研磨剤りの歯磨剤は使わないようにしていきましょう。

 

 

④熱湯で洗わない

入れ歯を熱湯の中に入れてしまうと、変形したり劣化したりすることがあります。

入れ歯にはプラスチックが使用されていますが、この部分は高温にとても弱いため、熱湯の中に入れると変形や劣化につながります。

「キッチンで使われる道具のように熱湯消毒をしたい」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、入れ歯が使えなくなってしまうので熱湯には絶対に入れないでください。

 

⑤入れ歯を乾燥させない

入れ歯はもともと、口の中で使用することを前提に作られています。ですので、口の中のように常に潤って水分がある状態が理想的です。

入れ歯を洗った後、そのまま乾燥させて翌日口の中に戻すのではなく、お手入れ後は水道水や洗浄剤につけて保管しましょう。過度の乾燥は入れ歯の変形や割れにつながります。

 

⑥強い力や衝撃を与えない

入れ歯を強い力で落としたり、最悪の場合、踏んでしまったりすると割れることがあります。

取り扱いは丁寧にして、強い力が加わらないように気をつけましょう。また、口の中で使用するときも、あまりに硬いものを強くかむことで、割れたり変形したりすることもあります。

普段の生活の中で、入れ歯のお手入れをする際に手が滑って落としてしまうなどの軽い衝撃では、変形などの問題はありません。

 

⑥漂白剤にはつけない

先ほどの熱湯での消毒もそうですが、除菌などの目的で漂白剤などにつけるのもやめましょう。

入れ歯を漂白剤につけることで、もともとの色が変色してしまうこともありますし、変形にもつながります。

 

⑦寝るときは入れ歯をはずす

基本的に、寝る時は入れ歯を外していただくことをおすすめします。

入れ歯に付いていた細菌が原因で誤嚥性肺炎を起こしてしまったり、入れ歯をずっとつけ続けることでご自分の天然歯や、歯ぐき、骨などに負担をかけ続けてしまうこともあります。

しかし、中には入れ歯がないことで顎や残っている歯に負担がかかってしまう場合もあります。これは、口の状態によってそれぞれ対応が異なりますので、歯科医師にご相談されて、指示にしたがってください。

 

【入れ歯だけではない口の中のお手入れ】

入れ歯のお手入れはもちろん重要ですが、入れ歯だけでなく、ご自身の口の中も清潔に保つことを忘れないでください。入れ歯がどれだけきれいでも、それを入れるお口の中が不潔な状態では意味がありません。

入れ歯とお口のメンテナンスはどちらも重要です。忘れずにどちらもきれいな状態にしておきましょう。

 

 

【入れ歯が合わなくなったり、痛みが出てきたとき】

使用していた入れ歯が合わないと感じたり、痛みがあるような場合は、すぐにかかりつけの歯科医院を受診してチェックしてもらうことをお勧めします。

入れ歯というのは、一度作ったらずっとそのままでピッタリと合うわけではなく、時間の経過とともに劣化していきます。またお口の状態も全身の健康状態や加齢によって、少しずつ変化していきますので、定期的に歯科医院でチェックしてもらうことをおすすめします。

入れ歯をご使用されている方の中には、かなりの長期間使用されてる方もいますが、衛生的な問題もありますので、特に問題ないからとそのままにせず、定期的に確認していくことも必要です。

ご自分では気づかない問題点が見つかるかもしれません。

 

【入れ歯の保管場所】

「入れ歯をちょっとはずすためにティッシュに包んでいて、そのまま捨ててしまった」「はずしたまま、どこに置いたか分からなくなってしまった」など、入れ歯をなくされる方も多くいらっしゃいます。

置く場所を決めたり、入れ歯専用のケースを使用することで入れ歯の紛失防止になりますので、保管場所を決めておくのも良いでしょう。保険で入れ歯を作成した場合、ある一定の期間は再度の作成ができませんので、こちらも気をつけていただきたいポイントです。

また、夜中に地震があったり、自然災害などで緊急で避難しなければならない可能性もゼロではありません。寝るときなどは、枕元などすぐ持ち出せるところに置きましょう。避難先で入れ歯がないと生活が著しく不便になるので、すぐに持ち出せるような場所で保管すると安心です。

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

入れ歯は適切なお手入れを続け、定期的に状態を確認していくことで、長くお使いいただくことが可能になります。一般的に思われている以上にデリケートなものですので、分からないままお手入れするのでは危険です。疑問点などがあれば、その都度ご相談ください。それぞれの入れ歯に合ったお手入れ方法をご提案いたします。

歯ぎしりや食いしばりが歯に与える影響

2023年10月17日

歯ぎしりや食いしばりは小さな子どもから大人まで、あらゆる年齢の人に起こる症状です。
動物にもあるといわれており、ご自宅で飼っている犬も歯ぎしりをしているのを聞いたことがあるという人いるかもしれません。
ご自分で歯ぎしりをしていると自覚している人は少ないかもしれませんが、思い当たる症状はあるのではないでしょうか。
例えば、朝、目が覚めたときに奥歯が痛かったり、起きたときに顎が痛みを感じたり、だるかったり、なんとなく頭痛がしたり肩こりが続くというような症状も歯ぎしりをしたことによる症状です。また家族から寝ているときにギリギリ、ガリガリと歯ぎしりする音が気になると指摘されたりすることもあるかもしれません。多くの場合は、自分では意識せずに歯を強く食いしばっている状態です。

専門的には、広い意味での歯ぎしりのことを「ブラキシズム」といいます。
近年、このブラキシズムの症状がある人は増えているともいわれていて、気がつかないうちに歯や顎に悪い影響をもたらしています。

 

【ブラキシズムのいろいろ】
一般的には歯ぎしりというと、夜寝ているときのギリギリ、ガリガリとした歯がこすれる音が出ている状態を思い浮かべるかもしれませんが、実はそれだけではありません。
音が出ないものや昼間起きているときにしてるものもあるのです。
音が出るほどの歯ぎしりなど、寝ているときのブラキシズムを心配している人がほとんどかもしれませんが、起きているときのブラキシズムも問題なのです。

 

【ブラキシズムってなに?】
ブラキシズムとは「歯ぎしりや食いしばりなどの顎の筋肉活動」のことをまとめて呼んでいます。
誰にでも起きている症状なのです。
睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠などのリズムがありますが、そのリズムによってブラキシズムは起きるので、歯ぎしりなどをすること自体が問題ではありません。
大事なのはそれが正常の範囲内であるのか、病気なのかを見極めることです。
ストレスなどさまざまな要因によって、ブラキシズムの程度というのは変わってきますので、まずは治療を必要とする状態なのかを診断する必要があります。

 

【ブラキシズムの種類】
(1)寝ているときのブラキシズム
寝ているときのブラキシズムには大きく3種類に分けることができます。
治療の必要があるブラキシズムでは、起きたときに歯が痛い、口が非常に開けにくい、歯に圧迫感がある、歯が浮いた感じがするなどの症状があげられます。
ご自分がどれに当てはまるかを考えていきましょう。

 

①グラインディング
主に寝ているときに上下の歯をこすり合わせることです。
一般的にはこれを歯ぎしりと言うことが多く、最も多くの人にみられます。
家族から指摘されたり、歯科医院で歯のすり減りを指摘されることもあります。
上下の歯を強くかんだ状態で、横に滑らせてこすり合わせるため、歯に大きなダメージを与えます。歯が削れ、大きく歯がすり減って平らになるという特徴がみられます。

 

②クレンチング
上下の歯をギューッとかみしめることで食いしばりやかみしめとも言われます。
グラインディングと違い、横にこすり合わせることはありません。
力を入れたときに食いしばるように、寝ているときにも力が入ってしまうことをいいます。
音が出ないので、周りの人は気づかないことが多いです。
朝起きたときの顎の痛みやだるさで気づくことがあります。

 

③タッピング
上下の歯をぶつけ合って、カチカチという音を出します。
比較的頻度は少ないものです。

 

 

(2)起きているときのブラキシズム
上下歯列接触癖(TCH)
起きているときに起きる症状です。
顎関節症にも深い関わりがあります。
通常、上の歯と下の歯の間には2〜3㎜の隙間があり、リラックスした状態では上下の歯というのは合わさりません。上下の歯が接触するのは会話や食事の時だけで、24時間中平均17.5分とほんのわずかな時間です。
緊張していたり、ストレスが溜まっているときは上下の歯が隙間なくかみあわせていることがあります。かむ筋肉が常に緊張した状態になり、それが長い時間続くととても疲労してしまいます。
この癖のことで歯ぎしりの一種です。

クレンチングと違い、強い力でかみしめるのではなく、日中に食事などをしていないときもずっと弱い力で上下の歯が接触している状態です。パソコン作業や運転中であったり、裁縫など細かい作業をしていたり、料理などのときもかみしめている可能性があります。
日中、ご自分で少し意識してみることで、無意識にしていることに気づくかもしれません。

 

【ブラキシズムの悪い影響】
ブラキシズムは、歯・歯肉(歯ぐき)・歯を支える骨とその周囲の組織にさまざまな影響と弊害を及ぼします。
歯や歯を支える骨などが受け止めるかむ力というのは、自分の体重くらい大きな力です。
ブラキシズムの場合、その大きな力が持続的に加わるため、硬いものを食べるときのように一瞬だけ強い力がかかるより、ずっと大きな影響が出てしまいます。
特に音が鳴るほどのブラキシズムの場合は、普段かみあわせている力とは比べものにならないくらい強い力がかかっているため、歯の表面が削れてくることがあります。
歯は年齢を重ねるごとに削れてくるものですが、その速度がとても速いのが特徴です。
歯の一番表層にあるエナメル質という層が削れて薄くなり歯がしみてきたり、ひどいケースではなくなってしまいます。とても強い力がかかることによって歯の根っこが割れてしまうこともあります。また歯の神経が死んでしまったり、歯の根っこの先に炎症が起きることもあります。歯ぐきが腫れたり、かむと痛みが出たりもします。
その影響が及ぶのは自分の歯だけではありません。
虫歯の治療などで冠を被せることもありますが、硬いセラミックなどが割れてしまうこともありますし、インプラント(人工歯根)も壊れてしまう可能性もあります。

歯周病にかかっている歯に、さらにブラキシズムのよって大きな力がかかると、急に歯ぐきや歯を支える骨の状況が悪化することがあります。
具体的には、歯ぐきに急性の炎症が起きたり、歯を支える骨が溶けるのが速まってしまいます。
これはレントゲン写真によって確認することができます。

顎の関節や顔面の筋肉などにも悪影響を及ぼします。
頭痛や肩こりなどの症状と関係していることもあります。
顎関節症(顎の痛みや炎症)、口のまわりの筋肉の痛み、顎のズレ、顔面の変形、頭痛・肩こりなどを引き起こすこともあります。

 

【ブラキシズムの治療】
ブラキシズムの治療で、特に寝ているときのブラキシズムに特化したものがスプリント治療です。
一般的にはこちらの治療を行います。
透明なマウスピースを装着することで上下の歯が直接当たらないようにして、歯や歯ぐき、また顎の関節に負担がかかるのを軽減していく方法です。日中の食いしばりが多い場合には、日中の装着をおすすめすることもあります。
またストレスやカフェイン、アルコールなどによってもブラキシズムが起こることがあります。
直接お話を聞いたり、口の中の状態を確認することによってブラキシズムを悪化させる要因を特定し、改善するように促すことができます。

 

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】
なにげなくしている歯ぎしりや食いしばりが、どのような影響を与えているかを知ることは大事なことです。
もし歯ぎしりや食いしばりをしていたり、その兆候があるなら、目に見えないところに問題が潜んでいる可能性もあります。
日中、何かに集中しているとき、パソコンやスマートフォンなどを操作しているときも無意識にかみしめていることも多くあります。
寝る前にリラックスするように軽くストレッチをしたり、ゆっくりと腹式呼吸をして心とからだをリラックスさせてストレスを軽くすることも大切です。睡眠の質を上げるためにも、過度な飲酒やカフェインの摂りすぎなどご自分で改善できることもあります。
まずはブラキシズムがどの程度、口の中に影響を与えているかを確認していくことから始めましょう。

妊娠にも影響を及ぼすし歯周病

2023年10月9日

妊娠は病気ではありませんが、女性のからだが目まぐるしく変化する特別な状態です。

女性は妊娠をきっかけに、からだのホルモンバランスが急激に変化します。

口の中の変化では、妊娠中は女性ホルモンの影響で歯ぐきが赤くなって腫れたり、出血したりする「妊娠関連(性)歯肉炎」になりやすいといわれています。

炎症が歯ぐきのみに限られている歯肉炎から、歯を支える骨にまで影響を与える歯周炎に進行して、早産などのリスクにもなってしまいますので注意が必要です。

 

【女性ホルモンと歯肉炎】

妊娠すると歯肉炎になりやすい理由の一つに、女性ホルモンとの関係によるものがあります。

妊娠中は「エストロゲン」「プロゲステロン」という2つの女性ホルモンが血液中に多く存在しています。これらのホルモンは、一部の歯周病菌の栄養源になってしまうため、歯周病菌が増殖します。口の中でこの歯周病菌が活発に活動するため、妊娠すると歯肉炎という歯周病の初期症状になってしまいます。

このため、多くの妊婦さんは妊娠関連(性)歯肉炎にかかっているともいわれています。

「エストロゲン」「プロゲステロン」の2つのホルモンは妊娠中だけでなく、排卵と生理のサイクルにも影響しているため、女性はもともと歯肉炎になりやすいといわれています。

歯肉炎になっている人が、妊娠してさらに悪化してしまうケースも珍しくありません。

 

 

【一般的な歯肉炎と妊娠関連(性)歯肉炎の特徴】

歯肉炎というのは

「歯肉(歯ぐき)」に「炎症」がある状態です。

これは見た目にも分かりやすく

・歯ぐきの色が赤い

・ぶよぶよと腫れている

・歯と歯の間の歯ぐきが腫れてふくらんでいる

・歯をみがくと出血する

などの症状があらわれます。

妊娠関連(性)歯肉炎の特徴は、この症状に加えて

・部分的に歯ぐきが腫れやすいこと

・妊娠期間中に急速に症状が進みやすいこと

などがあります。

特に、上の前歯の歯ぐきに炎症が認められることが多いのですが、奥歯の歯ぐきも腫れる方もいます。

もしも歯ぐきが腫れていたり、今までと何か違う感じがするときは、早めの歯科医院への受診をおすすめします。

 

【妊娠関連(性)歯肉炎が悪化して歯周病に】

歯肉炎というのは歯ぐきだけの炎症です。

しかし、それをそのまま放置して歯ぐきの炎症が進んでいくと、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの境目の溝がしだいに深くなっていきます。深い歯周ポケットは、歯周病菌の中でも酸素を嫌う嫌気性菌が増殖しやすく、歯周病は悪化していきます。

歯周病菌はそのうち、歯を支える骨にまで影響を及ぼし、骨を溶かしてしまいます。支える骨を失った歯はグラグラし出して、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。

歯周病が怖いのはそれだけではありません。

歯周病が進行すると、腫れた歯ぐきの毛細血管から歯周病菌が全身に流れてしまいます。

そうすると糖尿病が悪化したり、心筋梗塞や脳梗塞にかかるリスクも高まります。

妊娠関連(性)歯肉炎だけでは、歯ぐきが赤くなって腫れたり、出血しやすくなるだけで、歯を支える骨にまで影響は及ぼしません。しかしその炎症をそのまま放っておくと、歯周病にまで進行してしまいます。

妊娠中は体調が不安定だったり、つわりもあったりで口の中のケアが不十分になることが予想されます。ご自分の体調に合わせて、定期的な健診と、早めに治療やケアをしていくことが大切になります。

 

【お腹の赤ちゃんに及ぼす影響】

妊娠中に母親が進行した歯周病にかかっていると、そうでない母親よりも早産や低体重児を出産するリスクが高いという報告があります。

妊娠中は「プロスラグランジン」という、子宮を収縮させる作用のあるホルモンのような物質が分泌されます。これは陣痛促進剤としても使われるほど強力な作用があるもので、お腹の中で赤ちゃんが十分に育ったら、この分泌が増えて分娩を促します。

歯周病が進行すると、歯周病の炎症を抑えるために、からだから「サイトカイン」が増えます。

過剰になったサイトカインは、血液の中に入って胎盤や子宮に運ばれ、プロスタグランジンの分泌を促進してしまいます。そのため、お腹の赤ちゃんが十分に育っていないのに子宮の収縮をさせて出産の合図を勝手に出してしまい、早産になってしまうのです。

早産は、妊娠期間22~36週で生まれることですが、十分にお腹の中で育つ前に生まれた赤ちゃんは、後で重篤な障害が出る可能性が高くなってしまいます。

早産のリスクを高めないように、妊娠中の喫煙やアルコールは厳禁とされていますが、歯周病の影響はこれらに比べても高く、決して軽く見てはいけません。

たとえ早産にならなくても、サイトカインの影響で子宮の収縮が頻繁に起きてしまうと、胎盤からお腹の赤ちゃんへの栄養や酸素がうまく供給されず、発育を妨げる可能性があります。

また、進行した歯周病はお腹の赤ちゃんの成長にも影響を及ぼし、2500グラム未満の低体重児になりやすいといわれています。

普段から歯科医院での定期検診を受け、口の中をきちんとメンテナンスしている人は、妊娠しても急速に歯周病が重症化することはありません。

しかし、妊娠前から歯ぐきが腫れて歯肉炎になっていたり、歯周病にまでなっている人は、妊娠中は女性ホルモンの影響でさらに炎症は進みやすいため、早めに歯科医院でのチェックを受けましょう。

 

【妊娠関連(性)歯肉炎の治療と予防方法】

妊娠関連(性)歯肉炎の治療も、一般的な歯肉炎の治療と同じです。

ご家庭での毎日の歯みがきなどのケアと、歯科医院での専門家による定期的なケアが基本です。歯ぐきの炎症が進行しないように歯と口を健康に保ち、口の中の環境を整えていくことが重要です。

 

①ご家庭での毎日のケア

妊娠関連(性)歯肉炎の原因となる女性ホルモンの分泌は、妊娠すると自然と促されるものであり、自分の力で止めたり、少なくすることはできません。

ですので、治療には口の中を清潔に保つことが一番です。

そのためには毎日、できるだけ丁寧に歯みがきをしていきましょう。

歯ぐきが赤くなったり腫れていると「血が出やすいからあまり触らない方がいいんじゃないか?」と歯ブラシで積極的にみがかない人も多くいます。しかし、みがかないままだと、その炎症はさらに進んでしまいます。

もしも歯ぐきから出血しても、その部分も普通通りに歯をみがきましょう。

ゴシゴシと力を入れてみがく必要はありません。みがくと少し痛いなら、弱い力で丁寧に歯ブラシを当てましょう。

歯ぐきの腫れが気になる場合は、腫れているところの歯と歯ぐきの境目を歯ブラシでやさしく丁寧にみがいてください。毎日続けていると、そのうちに歯ぐきの腫れもおさまり、出血も止まってきます。

 

②定期的な歯科医院でのケア

歯ぐきの炎症を治す基本は、ご家庭での毎日の歯みがきです。

しかし、それだけではみがき残しがあったり、歯ブラシが届きにくい部分のケアは十分とはいえません。

定期的に歯科医院での検診とクリーニングをしていきましょう。

またその際に、日々のケアに対して一人一人に合わせたアドバイスも受けられますので、それをご家庭でも生かして口の中を清潔に保ちましょう。

どれくらいの頻度で歯科医院に通院したらいいかのかも、口の中の状態に合わせて決めていけます。ご自分の体調なども加味しながら、一緒に計画を立てていきましょう。

出産後は育児などでバタバタして、歯科医院へはなかなか通うのが難しくなります。歯肉炎なども悪化しないように、赤ちゃんが生まれる前までに口の中の環境を整えておきましょう。

 

③妊娠関連(性)歯肉炎の予防方法

予防も、治療と同様に、毎日の自分でのケアと歯科医院でのクリーニングが大切です。

特に歯や歯ぐきに問題はなくても、一度ぜひ受診してみてください。

妊娠中は、基本的には歯科医院を受診できない時期はありません。

ただ、妊娠初期はつわりがあって、なかなか歯科医院へは通うのが難しいでしょうし、妊娠後期になると、おなかが大きくなってくるので歯科医院のチェアに仰向けのまま長時間過ごすと苦しいでしょう。

人によっては、妊娠後期に仰向けでいると「仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群」という貧血のような症状になる可能性もあります。この症状は、左側を下に向けて寝ると改善されますし、歯科医院のスタッフも十分に配慮しますので診察に問題はありませんが、もし心配であれば体調が安定している妊娠中期までに来院されてください。

妊娠中は体調などの個人差も多くありますので、ご自分のからだの状態を考え、安定しているときに受診されてください。

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

妊娠中は、歯のトラブル以外にも口臭や口内炎ができやすくなったり、親知らずが痛くなったりする人も多くいます。

女性ホルモンのバランス変化により、だ液の質がネバネバしたものになりやすかったり、だ液が出る量も減少しやすいのです。

だ液は口の中の汚れを洗い流してくれる作用がありますが、その作用が低下し、口の中にさまざまなトラブルも起こしやすくなります。またつわりや食べものの好みも変化もプラスされ、妊娠中の口の中は普段よりも丁寧にケアしていく必要があります。

体調が悪かったり、つわりなどで毎日のケアが難しいこともあるでしょう。

歯をみがけないときは無理せずにうがいをしたり、洗口剤を使ったりなどできる範囲でかまいません。体調が良いときにしっかりと歯みがきをしていきましょう。

乳歯のむし歯予防〜乳歯はむし歯になっても大丈夫?〜

2023年10月3日

【むし歯予防が大切な理由】

乳歯の前歯などにむし歯ができると、歯の間が黒くなったり穴が開いたり、笑ったときに目についたり、見た目にも感じの良いものではありません。

また、乳歯の奥歯が大きなむし歯になると、冷たい飲み物を飲んだときや食べものを食べるときに痛むようになってきます。食事が楽しくなくなることや、偏食のきっかけになってしまったり、口臭の原因にもなります。

ひどいときには痛くて食べられずに食事の量も減ってしまいます。

むし歯がもっと重症化すると、乳歯が抜けてしまったり、抜かないといけないようなこともあります。

そのような状態まで放っておくと、乳歯の後から生えてきた永久歯の色が茶色や黒色に変わったり、かたちが本来の永久歯とはちがう変なかたちになって生えてくることがあります。

また、乳歯が早く抜けてしまってその隣の歯が倒れてきてしまうと、将来生えてくるはずの永久歯が生える場所が生えるスペースがなくなり、永久歯が生えにくくなります。

歯並びがガタガタになる原因にもなったりします。

このように、乳歯がむし歯になるとさまざまな不都合なことが起き、お子さんの将来の歯の健康や歯並びにも大きな影響を与えてしまいます。

 

【むし歯になった歯は、もとどおりには治らない】

ちょっと切った傷や、すれてしまってできた傷は、ある程度の期間が経つと自然にもとどおりに治りますが、

一度できてしまったむし歯は自然には治りません。

むし歯菌でこわされた歯の色やかたちは自然ともとには戻りません。

ですので、むし歯には予防が一番大切なのです。

 

【むし歯の予防のしかた】

むし歯はばい菌(細菌)の感染によって起きます。

つまり、むし歯は細菌が作るのです。

この細菌の種類には

・ミュータンス菌

・乳酸桿菌

と言われるものがあります。

 

この細菌から歯を守るため、以下の4つのことが重要になってきます。

①細菌が歯のまわりにつかないようにする

・歯ブラシによる歯みがき

・デンタルフロスや歯間ブラシなどでの細かいところもみがく

②細菌の活動を抑える、細菌を殺す

・甘いものや糖分が含まれるものを控える

・洗口剤を使用する

③最近のつくる「酸」に抵抗できる歯の質にしていく

・フッ素などを使用していくことで歯の質が強化されます

④シーラントによって奥歯の溝を塞ぐ

奥歯の溝の深いところは歯ブラシが届きません。

その部分をシーラントという薄いプラスチックで奥歯の溝を塞いで、虫歯になるのを予防することができます。

【歯みがきの基本】

むし歯を予防するために一番大切なことは歯みがきです。

そしてその目的は、歯垢(プラーク)という歯の表面についた汚れをきれいにとることです。

毎日歯みがきをしていると言っても、ただ口の中に入れた歯ブラシで考えなしに歯をみがけば良いというわけではありません。

プラークがたまりやすい場所をきちんと理解し、そこをめがけてきれいにみがくことで、歯みがきの時間も短縮され、効果もアップします。

プラークは歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間に多くたまる傾向にあります。

歯ブラシのときは歯の表面もそうですが、特にこのような部位も気をつけてみがいていきましょう。

 

〈仕上げみがき〉

子どもは10歳くらいまで、自分で歯みがきをしても自分の歯を十分きれいにすることはできません。

自分で自分の歯をみがいて、きれいにするんだという気持ちを育てるのは大切なことですが、自分で隅々までみがける時期までは保護者の方が仕上げみがきをしていきましょう。

 

①歯をみがく体勢、みがき方

歯みがきをできるだけ短い時間で終わらせるには、どういう状態でみがくかも大切なポイントです。

子どもを仰向きに寝かせて、保護者の方が子どもの頭の上からのぞきこむように歯みがきするのが良いかと思います。

あまりに大きな口を開けさせると、頬がつっぱり、奥歯の後方まで歯ブラシが行き届きません。奥歯をみがくときは、イーっと歯を噛ませた状態で唇を手で持ち上げてきちんと奥まで見ながらみがくのが良いでしょう。

どこの歯に歯ブラシが当たっているかを確認しながら、1本の歯につき、4~5回歯ブラシでゴシゴシみがくように意識するのも大切です。

 

②歯ブラシの選び方

ブラシの毛はあまりに硬いと歯ぐきを傷つけますし、痛いです。

硬さは「普通」のものを選びましょう。

お子さんに持たせるものと仕上げみがき用の歯ブラシは分け、

仕上げみがき用は

・植毛部の長さは歯2本分くらいの幅

・柄の部分は保護者の方が持ちやすく、やや広めのもの

などが望ましいでしょう。

横から見て、毛先が広がってきたら歯ブラシの交換時期です。

1か月に1度くらいの頻度で交換しましょう。

 

 

③デンタルフロス、歯みがき粉、フッ素などの取り入れ方

*デンタルフロス*

歯と歯の間は歯ブラシではみがくことはできません。

デンタルフロスを使って、隙間をみがいていきましょう。

使用方法としては、約30センチくらいに切り、両手の人差し指か中指に巻き付けて使います。滑らせるようにして歯と歯の間にすべりこませ、両側の歯の面にフロスを沿わせて汚れをかき出します。

ワックスがついているものと、ついていないものがありますが、乳歯の場合はどちらでも構いません。

ホルダー付きのデンタルフロスの方が使いやすかったら、そちらでも大丈夫です。

経済的なのは指に巻き付けるタイプでしょう。

積極的に使う部位としては、奥歯の歯と歯の間です。

保護者の方が思うよりも食べものなどが奥歯の隙間につまっています。ずっと食べかすなどがつまっていると痛いですし、歯ぐきまで炎症をきたしていることもあります。

また、気づかないうちに大きなむし歯を作ってしまうこともあります。

1日に1回は使用するようにしていきましょう。

前歯に隙間がある場合は歯ブラシにてみがけるため、フロスを使わずにきれいにみがけます。ですが、隙間がなく歯の間がつまっている場合はフロスを使用し、きれいにしていきましょう。

 

*歯みがき粉*

いろんな種類のものがありますが、香料などの刺激が少なく、フッ素が配合されたものがいいでしょう。

つける量は年齢によりさまざまです。

泡でブクブクにならない程度の量がおすすめです。

特にフッ素入りにものは、種類によって推奨されている量を守りましょう。

 

*フッ素*

むし歯を予防するために、とても有効な手段です。

3~6か月ごとに歯科医院で塗布を受けると効果が高まります。

 

〈フッ素の3つの効果〉

・エナメル質を強くする

歯の表面にあるエナメル質という結晶を、フッ素が化学的に強くすることができます。

また酸に対する抵抗性を増やします。

 

・歯の再石灰化を促進する

エナメル質が酸によって溶け始めても(脱灰といい、カルシウムやリンが失われます)、フッ素が歯の石灰化(失われたカルシウム、リンが再び戻っていきます)を促進して、失われたカルシウムやリンをおぎなってくれます。

 

 

・細菌の活動を抑制する

フッ素イオンには抗菌作用があり、むし歯菌の活動を抑制します

またフッ素が入った液体で口の中をブクブクうがいをして、ご自宅でもフッ素によるむし歯予防をすることも可能です。3歳以上のうがいができるお子さんが対象です。

 

〈フッ素入り歯みがき粉について〉

フッ素入りの歯みがき粉にはごく微量のフッ素が含まれており、むし歯予防には有効です。

フッ素は自然界にあるイオンです。

摂取量が多くなると、歯に白色の斑点が出てきてしまったり、歯をつくる過程でも影響を与えたりもします。しかし、歯みがき粉に入っているフッ素の量は、適量を守っている限りそのような影響が出る心配はありません。

年齢により使用するフッ素入り歯みがき粉の種類も濃度も異なります。

もしご心配なときは、何をどのくらい使っていいか、お気軽にご相談ください。

 

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

乳歯であっても、むし歯になっていいことは一つもありません。

むし歯にならないためにはご自宅での毎日のケアはとても重要です。

歯ブラシの方法や注意点、使用する道具など、歯科医院でお手伝いできることはたくさんあります。

定期検診ではむし歯が大きくなる前の小さな変化に気づくこともできます。

むし歯予防のためにも、定期的な検診とフッ素塗布やシーラントなどの予防処置をおすすめします。

初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。

047-351-2288
  • 診療時間
    10:00~12:30 14:00~19:00
  • 休診日:第2水曜日
OCEAN歯科クリニック URAYASU
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