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むし歯になりやすい人と部位、その予防方法

2025年6月10日

むし歯は多くの人が経験する口腔の問題ですが、なぜ同じような生活習慣を送っていてもむし歯になりやすい人とそうでない人がいるのでしょうか?むし歯は単なる口のトラブルではなく、生活習慣や体質、歯の状態などさまざまな要因が絡み合って発生します。今回は、むし歯になりやすい人の特徴やむし歯ができやすい部位、そしてそれらを予防するための具体的な方法について詳しく解説していきます。

 

【むし歯になりやすい人の特徴】

①食生活が不規則

食生活の乱れは、むし歯のリスクを大きく高める要因です。特に、間食を頻繁に摂ったり、糖分を多く含む飲み物やお菓子を常に摂取していると、口腔内の環境が悪化します。食事と食事の間に糖分を摂取すると、口腔内のpHが酸性に傾き、むし歯を引き起こす原因となります。酸性環境では、歯のエナメル質が溶けやすくなり、むし歯が進行しやすくなります。

具体例として、夜遅くにお菓子を食べる習慣がある場合、就寝中に口腔内に糖分が残り、むし歯のリスクが増します。甘いものを摂取した後は、できるだけ早く歯みがきをすることが重要です。

 

②歯みがきが不十分

むし歯の予防には、適切な歯みがきが欠かせません。しかし、歯みがきが不十分な場合、歯垢(プラーク)が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病の原因となります。歯垢は細菌の温床であり、これが口腔内に長時間残ると、酸が生成されて歯を溶かします。特に、歯ブラシが届きにくい歯と歯の間や奥歯の隙間に歯垢がたまりやすいです。

歯みがきの際には、歯と歯ぐきの境目を意識して、軽い力で磨くことが大切です。また、歯ブラシだけでは完全に取り除けない歯垢もあるため、フロスや歯間ブラシを併用することをおすすめします。

 

③唾液の分泌が少ない

唾液は口腔内の健康を保つために非常に重要です。唾液には、口腔内の酸を中和する役割や、食べ物の残りカスを洗い流す作用があります。唾液の分泌が少ないと、口腔内が乾燥し、むし歯や口臭のリスクが高まります。

唾液の分泌を促進するためには、よくかんで食事をすることが効果的です。食事をすると唾液の分泌が自然に促されます。また、水分をしっかり摂ることや、シュガーレスのガムをかむことも唾液の分泌を助ける方法です。

 

④歯並びが悪い

歯並びが悪いと、歯の間に食べ物が詰まりやすくなり、歯みがきが難しくなります。特に、歯が重なっていたり、隙間が不規則な場合は、歯ブラシが届きにくく、歯垢が溜まりやすいです。その結果、むし歯や歯周病のリスクが高まります。

歯並びが気になる場合は、矯正治療を検討することも一つの方法です。矯正治療によって、歯の位置が整い、むし歯や歯周病のリスクが低くなる場合があります。

 

【虫歯になりやすい部位】

①歯と歯の間

歯と歯の間は、歯ブラシが届きにくく、食べ物のカスが溜まりやすい場所です。この部位は、むし歯が発生しやすく、初期の段階では痛みを感じにくいため、気づかないうちに進行することがあります。定期的にフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間をしっかりと清掃することが重要です。

フロスを使う際は、優しく歯と歯の間に挿入し、前後に動かして汚れを取り除きます。歯間ブラシも効果的ですが、サイズが合わないと歯肉を傷つける可能性があるため、適切なサイズを選ぶことが大切です。

 

②奥歯の溝

奥歯の咬合面(噛む面)には深い溝があり、ここに食べ物が詰まりやすく、むし歯ができやすいです。特に、乳歯や永久歯が生えたばかりの時期は、溝が深く、歯ブラシだけでは十分に清掃できないことがあります。

予防策としては、歯科医院でのフッ素塗布やシーラント処置を検討することが有効です。シーラントは、奥歯の溝に薄い樹脂を塗布することで、虫歯の原因となる食べ物のカスがたまりにくくします。

 

③歯の根元

歯の根元部分は、歯茎が下がることで露出しやすくなります。ここが露出すると、むし歯や知覚過敏が起こりやすくなります。根元が露出する原因としては、歯周病や過度のブラッシングがあげられます。

根元が露出している場合、ブラッシング時には優しくみがくことが重要です。また、デンタルケア製品には、知覚過敏用の歯磨き粉や、歯の根元を保護する成分が含まれているものもありますので、適切な製品を選ぶことが大切です。

【むし歯の予防方法】

①正しい歯みがき習慣

むし歯予防には、毎日の歯みがきが欠かせません。歯ブラシは柔らかめのものを選び、歯と歯茎の境目を意識して丁寧にみがきます。一般的には、1回の歯みがきにつき2分以上かけることが推奨されます。歯磨き粉にはフッ素が含まれているものを選ぶと、エナメル質の強化が期待できます。

歯みがきの順番としては、まず奥歯から始め、前歯に移ると良いでしょう。奥歯は特に汚れがたまりやすい部分なので、丁寧にみがくことが重要です。また、歯みがきだけでなく、舌の清掃も忘れずに行いましょう。舌にたまる細菌も口臭の原因になります。

 

②定期的な歯科検診

定期的な歯科検診は、むし歯や歯周病の早期発見に役立ちます。通常、3~6ヶ月ごとに歯科医院を訪れることが推奨されます。検診では、歯科医師が口腔内を詳しくチェックし、問題がないか確認します。また、プロフェッショナルなクリーニングも行われ、歯垢や歯石が取り除かれます。

検診を受けることで、自分では気づかなかった小さなむし歯や歯の問題も早期に発見され、適切な治療やアドバイスが受けられます。定期的な検診を受けることで、長期的に口腔の健康を維持することができます。

 

③食生活の見直し

むし歯予防には、食生活の見直しが重要です。糖分の多い食べ物や飲み物は、むし歯のリスクを高めるため、控えめにしましょう。特に、砂糖が多く含まれるお菓子やジュースを頻繁に摂取することは、むし歯の原因となります。

バランスの取れた食事を心がけることも大切です。食物繊維が豊富な野菜やフルーツを摂取することで、口腔内の健康をサポートできます。また、食後に水を飲むことで、口腔内の酸を中和し、虫歯のリスクを減らすことができます。

 

④唾液の分泌を促す方法

唾液の分泌を促進するためには、よくかんで食事をすることが効果的です。食事をしっかりかむことで唾液の分泌が促され、口腔内の自浄作用が高まります。さらに、シュガーレスのガムをかむことで唾液の分泌を促進することができます。

唾液の分泌が少ないと感じる場合は、口腔内を乾燥させないように水分をしっかり摂ることも大切です。特に、口の乾燥を感じる場合は、こまめに水を飲むように心がけましょう。また、口腔内の乾燥を改善するための製品も市販されていますので、適宜使用するのも良いでしょう。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

むし歯は、誰にでも起こりうる口腔の問題ですが、日々のケアと予防をしっかりと行うことで、そのリスクを大きく減らすことができます。自分の生活習慣や口腔内の状態に合わせた予防方法を取り入れ、健康な歯を維持していきましょう。定期的な検診と適切なケアが、長期的な口腔の健康を保つ鍵となります。今日から実践して、むし歯のリスクを減らしていきましょう。

歯ブラシは電動ブラシ?手用歯ブラシ?

2025年5月20日

みなさんは普段、どのような歯ブラシを使用していますか?

最近では、電動歯ブラシの種類が増え、手軽に購入できるようになってきました。手でみがく歯ブラシも根強い人気を誇っていますが、どちらを選ぶか迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「普通の歯ブラシ」と「電動歯ブラシ」の特徴、利点・欠点を詳しく解説していきます。みなさんにとっての最適な選択を考えてみましょう。

 

【歯ブラシと電動歯ブラシの基本的な違い】

まず、電動歯ブラシには主に「音波歯ブラシ」、「超音波歯ブラシ」、「電動歯ブラシ(高速回転タイプ)」の三つの種類があります。それぞれの特徴を理解することで、自分に合ったブラシを選ぶ手助けになるでしょう。

①音波歯ブラシ

音波歯ブラシは、1分間に約2万~4万回の振動を生み出します。この振動によって、歯の表面だけでなく、歯と歯の間や歯周ポケットの細かな汚れを効果的に除去できます。音波振動が唾液を動かすことで、より洗浄効果を高める役割も果たしています。このため、口腔内の細菌を減少させ、虫歯や歯周病のリスクを低下させることが期待できます。

②超音波歯ブラシ

超音波歯ブラシは、その名の通り、1分間に120万回以上の振動を発生させます。この強力な振動は、プラーク(歯垢)を浮かせ、洗い流す効果があります。特に、歯周病予防に効果的とされており、細かい振動が歯ぐきにも優しいのが特徴です。また、超音波の力で血行を促進し、歯ぐきの健康を保つ効果もあると言われています。

③電動歯ブラシ(高速回転タイプ)

このタイプの電動歯ブラシは、1分間に約3000~7000回の回転運動を行います。振動は少ないですが、ブラシヘッドが高速で動くことで、物理的に汚れをかき出す効果があります。手動よりも短時間で効果的にみがけるため、忙しい方には特に適しています。

 

【電動歯ブラシのメリット】

①清掃効率が良い

電動歯ブラシは、手動のブラシと比べて圧倒的に清掃効率が高いです。特に、忙しい朝や疲れた夜には、短時間でしっかりとみがけるのが大きな魅力です。電動の力で、難しい角度や歯の隙間もしっかりと掃除できます。さらに、特に歯間や歯周ポケットに潜むバイ菌を効果的に除去することが可能です。

②誰でも簡単に使える

電動歯ブラシは、自動的に振動や回転を行ってくれるため、正しく歯に当てるだけで効果的にみがくことができます。特に、力の弱い子供や高齢者でも簡単に使用できるため、家族全員で使うことができるのは大きな利点です。さらに、最近のモデルはタイマー機能が付いているものも多く、適切なブラッシング時間を教えてくれるので、みがき残しを減らせます。

③疲れない

手動でみがく場合、腕に負担がかかることがありますが、電動歯ブラシはブラシヘッドを歯に当てるだけでよいので、腕の疲れを軽減できます。特に、長時間の使用でも楽にみがけるのがポイントです。特に忙しい日々の中で、短時間で効果的に口腔ケアを行いたい方にはぴったりです。

 

【 電動歯ブラシのデメリット】

①比較的高価である

電動歯ブラシは、価格が数千円から数万円と、手用歯ブラシに比べると高価です。

また、交換用のブラシヘッドも必要で、長期的にはコストがかかることがあります。購入時には初期投資がかかるため、継続的な費用も考慮する必要があります。

②電力が必要

電動歯ブラシは、充電式や乾電池式が主流です。

電池切れや充電が切れると使用できなくなるため、定期的な管理が必要です。また、旅行などに持って行く際には充電を忘れないように注意が必要です。携帯性を考慮すると、電動歯ブラシの選択肢には注意が必要です。

③歯や歯ぐきを傷付ける可能性

電動歯ブラシは、力を入れすぎたり、合わないブラシを使用したりすると、歯や歯ぐきを傷つける可能性があります。特に、パワーの強い電動歯ブラシを使用する場合は、力加減に注意が必要です。正しい使い方をしないと、逆に口腔内の健康を損なうリスクがあることを覚えておきましょう。

 

【手用歯ブラシのメリット】

①簡単に手に入る

手用の歯ブラシは、コンビニやスーパー、薬局などで手軽に購入できます。

急に必要になった時でもすぐに手に入るのは大きな利点です。特に、外出先で急に歯ブラシが必要になった際には重宝します。

②コストが安い

手用歯ブラシは数百円から購入でき、非常に経済的です。

交換時期も明確で、理想的には1ヶ月に1回の交換が推奨されています。特に、衛生面を考えると、定期的な交換は重要です。安価であるため、手軽に交換できるのも魅力です。

③様々な種類がある

手用歯ブラシは、毛先の形状や硬さ、デザインが多様です。自分の口腔内の状態や好みに合わせて選ぶことができるため、選択肢が広がります。また、乳幼児用や学童用、歯周病対策用など、用途に応じたものがそろっています。たとえば、敏感な歯ぐきの方には柔らかい毛先のブラシが適しています。

 

【手用歯ブラシのデメリット】

①みがくのに時間がかかる

手動でみがくため、電動歯ブラシに比べるとみがききるまでに時間がかかります。

特に、しっかりとみがこうとすると、数分以上かかる場合もあります。忙しい朝には少し不便かもしれませんが、じっくりみがくことで効果的に口腔内をケアできる点もあります。

 

 

【どちらを選ぶべき?】

結局のところ、電動歯ブラシと手用歯ブラシのどちらが良いかは、使う人や状況によって異なります。年齢、口腔内の健康状態、使用目的、個々の好みなどに応じて選択することが重要です。たとえば、高齢の方は力が弱いため電動歯ブラシが便利ですし、経済的な理由や手軽さを求める方には手用歯ブラシが適しているかもしれません。

また、いずれのブラシを使用する場合でも、正しい使い方をすることが大切です。どちらも効果的にみがくための技術を身につけることが、口腔内の健康を保つ鍵となります。適切なブラシを選び、口腔内を清潔に保っていきましょう。もしもどの歯ブラシを使用したらいいか悩んでいる方はお気軽にご相談ください。

歯ぐきにニキビができちゃった?

2025年5月10日

歯ぐきに何か「できもの」ができたことはないでしょうか?

ニキビのようなもので、最初は口内炎かな?とか気のせいかな?と思っていても、プクッと膨らんでいるのに気づくはずです。

これは「フィステル」というもので、歯ぐきにできてしまったできもののことです。

今回は、このフィステルについて、できてしまう原因から治療法に至るまでをご説明していきます。

 

【フィステルって何?】

フィステルとは、歯ぐきにできるできもので、日本語で「瘻孔(ろうこう)」と訳せるものです。内歯瘻(ないしろう)やサイナストラクトと呼ばれることもある症状です。見た目は、お顔にできるニキビに似ていますが、その中身は全く異なります。一般的なニキビと同様に、黄色く見えるかもしれません。それは膿(うみ)がたまっているからです。

その膿がどこから発生したかということが一番の問題です。

【口内炎とは違うの?】

結論から言うと、口内炎とフィステルは全く違うものです。

その原因から具体的な症状に至るまで、さまざまな違いが見られます。

フィステルの原因は、主に歯や歯ぐきの中に存在していますが、口内炎の多くは、歯ぐきの表面に細菌感染が生じたものです。鋭い食べ物や歯ブラシで歯ぐきを傷つけたり、入れ歯のパーツなどで歯ぐきを傷つけることによって口内炎ができます。

そのため、口内炎では強い痛みが生じやすくなっていますが、だんだんと傷が治っていくとそうした症状も消えていきます。もちろん、口内炎の原因となる入れ歯や矯正装置による物理的な刺激が原因となっている場合は、それらを適切に調整することが必要です。

口内炎が再発し続けないように、正しい調整をしていかなければなりません。

 

【フィステルの原因】

フィステルが歯ぐきにできる原因はさまざまなものがあります。

歯ぐきにできたできものは、あくまで膿の排出場所でしかありません。元をたどると、必ず感染源となるものが存在しています。

以下に、主な原因を詳しく説明していきます。

 

①虫歯が進行してしまった

虫歯が進行するとどうなるでしょう。小さかった虫歯がどんどん大きくなって、歯の神経まで感染が広がり、歯の根っこの中にも汚染が進みます。その状態を放置していると、歯の根っこの中部の細菌や汚れが歯の根の先に漏れ出て、膿のかたまりを形成します。専門的には根尖性歯周炎と言いますが、フィステルはその症状の一部と考えられます。

 

②歯の根っこが折れてしまった(歯根破折)

なんらかの原因で歯の根っこが折れてしまった場合もフィステルができることがあります。

外傷を受けたり、歯ぎしりによる力によっても歯の根っこが割れることがあり、フィステルの原因となることがあります。

歯の根の割れた部分で細菌感染が起こり、その影響が歯ぐきにまで広がるのです。

 

③根管の中が再び感染してしまった

過去に歯の根の治療(神経の治療)を行った歯が再び感染してしまうことによって、フィステルが形成されることがあります。

 

④歯を打撲した(転んで打った)

スポーツなどをしている時や転んで歯を強打した際、その場では特に症状がなくても、後にフィステルが形成されることがあります。これは歯を打った際の強い衝撃によって、歯の神経に炎症が生じた結果です。

「歯が折れたり欠けたりせずに良かった」と安心しているかもしれませんが、見た目には何の損傷も受けていないのにも関わらず、神経と血管で構成されている歯髄(しずい)には炎症が起こ流のです。何もせずそのまま放置することで、細菌感染が生じるケースもあります。

そうなると、むし歯を重症化させた時と同じように、フィステルが歯ぐきに形成されます。

 

【フィステルを放置するとどうなるの?】

フィステルは歯ぐきのできものもありますが、それと同時に、瘻孔と呼ばれる穴でもあります。

ですので、たまった膿は気づかなくても定期的に排出されています。

そのため、一時的に症状が自然と改善したからといって安心して何もせず放置していると、症状がどんどん悪化していきます。根本的な原因が解決していないからですね。

フィステルの原因は、上でご説明しましたように膿が排泄されている部分ではありません。ほとんどが感染した根管やその周囲の炎症によるものです。

根本的な原因を取り除かずに、大丈夫だろうとフィステルを放置すると、痛みや腫れといった症状が強くなるだけでなく、最悪の場合は原因となっている歯の抜歯をしなければならないケースも少なくはありません。

一見良くなったからと安心は禁物です。

フィステルができたら、すぐに歯科医院でチェックしてもらうのをおすすめします。

 

【フィステルを治療するには?】

フィステルの治療は、その原因に応じて異なります。

以下に、一般的な治療法をご紹介していきます。

 

①歯の根っこの治療(根管治療)

むし歯が歯の神経にまで達した場合や、一度神経の治療をした歯などに行う治療方法です。

根管治療をしっかりと行うことで、歯ぐきの腫れや炎症、フィステルの症状を改善したり予防することが可能になります。歯の根の中の感染部位の清掃をして、神経の代わりとなる薬を詰めて終了となります。この治療法は、歯の保存と痛みの軽減に非常に効果的な方法です。歯の根の治療を行った後は土台を作って被せ物をつけていきます。

②歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)

歯の頭(上)ではなく、根っこの方(下)からアプローチして、フィステルの原因となっている細菌や汚染物質を取り除く治療法です。歯の頭の方からアプローチする根管治療が行えない、あるいは根管治療による効果が認められない場合に限って行います。上記の治療がうまくいかなかったり、根っこが治療しにくい形をしているときなどに用いる方法です。

麻酔をして歯ぐきをメスで切開して、歯の根っこの先端と膿の塊を外科的に摘出する処置となるので、通常の歯の根っこの処置とイメージは異なります。

 

③ヘミセクション

ヘミセクションとは、下顎の奥歯のような根っこが2本ある歯の片方だけを外科的に切除する方法です。根の治療でも治癒する傾向が見られないことが条件です。歯の根だけでなく、歯冠(歯の頭の部分)も半分、取り除くことになります。歯を丸ごと抜くのではなく、感染源となっている歯根側だけ切除するので、奥歯としての機能をある程度は残すことができます。

 

③抜歯

①~③の治療が難しい場合や歯の根っこが折れてしまっている場合、その歯を残すと症状がさらに悪化してしまう場合など、どうしても歯が残せない理由がある場合に行います。

歯を抜くのに抵抗がある方もいらっしゃるとは思いますが、周りの歯や口の中の健康を守るためには必要な処置となります。放置することでますます状態は悪化しますので、早めに決断するのをおすすめします。

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

フィステルは歯ぐきにできるできものですが、お肌にできるニキビのようには治療することはできません。フィステルの原因となっている感染源をしっかり取り除くことによって治ります。単に「歯ぐきのニキビ」という感覚で軽視していると、歯を失うことになるだけでなく、感染がさらに広範囲に広がるリスクも生じるため、十分にご注意ください。

歯にいいおやつとそのルール

2025年4月18日

子どものむし歯は、その子の将来にわたっての歯の健康に大きな影響を与えるものです。「乳歯だから抜けてしまうからいいや」ではなく、いかにしてむし歯予防をするかに焦点を当てて考えていくことが重要です。

特に乳幼児期は、食事やおやつの選び方が歯の健康に直結します。ここでは、むし歯を予防するためのおやつの選び方と与え方について詳しくご紹介します。

 

【むし歯の原因】

むし歯は、口内に存在するむし歯菌が糖分を分解して酸を作り出し、その酸が歯を溶かすことで発生します。特に甘いおやつや飲料はむし歯菌のエサとなりやすいため、糖分の摂取を控えることが重要です。

 

【むし歯になりにくいおやつの選び方】

①甘味飲料を避ける

ジュースやスポーツドリンクなどは砂糖が多く含まれており、むし歯のリスクを高めます。習慣化して与えていると子どもは甘い飲み物ばかりを欲する様になり、むし歯のリスクがどんどん高くなってしまいます。甘い飲み物の代わりに、水や無糖のお茶を選びましょう。

②野菜やチーズ、小魚

野菜スティックやチーズは、糖分が少なく歯に優しいおやつです。

ふかしいもなどもいいですね。小魚などもカルシウムも含まれていておすすめです。

③果物

果糖を含むものの、ビタミンや食物繊維が豊富な果物は適度に取り入れると良いです。ただし、ドライフルーツは粘着性が高く歯に付着しやすいため控えめにしましょう。

④ナッツ

ナッツ類は糖分が少なく、良い栄養素も含まれています。ただし与える際は、子どもがかみ砕けるかどうか、ナッツのサイズなどにもに注意が必要です。

 

【おやつの与え方のポイント】

時間と量を決め、空腹になったらあげることが重要です。

むし歯を予防するうえで、おやつの与え方は非常に重要です。おやつの時間を毎日一定に保つと良いでしょう。適量を与え、おやつだけでお腹いっぱいになって食事を満足にとれなくなってしまわないよう、与える量には気をつけましょう。

おやつの量が多すぎて、肝心の食事が十分に取れなくなってしまっては本末転倒です。

3歳までは1日2回、3歳をすぎた後は1日1回が回数の目安になります。
だらだらと食べさせ続けるのは絶対にやめましょう。

お菓子が常に口の中にあることで、口内の酸性状態が続き、酸が歯を溶かしてむし歯を進行させてしまいます。お子さんが空腹になったタイミングでおやつをあげるのがポイントです。

 

【食後のケア】

おやつの後には、口の中を清潔に保つためのケアが欠かせません。

①うがい

おやつの後に水でうがいをすることで、口内の糖分を洗い流すことができます。

②歯みがき

特に就寝前には、丁寧に歯を磨き、むし歯予防を徹底しましょう。歯ブラシにフッ素入りの歯磨き粉を使うと、さらに効果的です。

基本的にはおやつを食べた後は、うがい・歯磨きをすることがむし歯予防に効果的です。外出中で歯みがきが難しい場合は、うがいだけでも多少効果が期待できる場合があります。

子どものうちにむし歯になりにくいおやつの習慣を身につけることで、将来にわたって健康な歯を保つことに繋がります。

 

【保護者の役割】

子どものむし歯予防には、保護者の協力が欠かせません。子どもが自分の好き勝手に好きなだけおやつを食べていたら、全身の健康にも歯の健康にも大きな害を及ぼします。

保護者の方が子どものおやつ選びと与え方をしっかり管理することで、むし歯リスクを大幅に減らすことができます。

むし歯の原因や予防方法について正しい知識を持ち、それを子どもに示していきましょう。また、家族全員でおやつの習慣を見直していくことも重要です。おやつの与え方について、家族の中で統一した考え方を持っていないと「この前はこう言われたのに、今回は違う」など、子どももどうしていいか分からずにパニックになってしまいます。ご家族の中でよく話し合い、ルールをどうしていくかを決めていくことも大切なことです。

 

【定期検診の重要性】

むし歯予防には、定期的な歯科検診も重要です。かかりつけの歯科医での定期検診を受けることで、むし歯の早期発見と予防が可能になります。

ご家庭の中ではおやつの選び方や与え方、量に関しての管理ができていても、お友達の家に遊びにいったり、イレギュラーな場面に遭遇することも少なくありません。すぐに歯みがきができる状況でないことも多いでしょう。おやつを食べさせなかったり、気にしすぎたりと神経質にならずに歯科医院での定期検診を受け、歯の状態をチェックしていきましょう。

また、定期検診の際には、フッ素塗布を受けることも効果的です。フッ素は歯の再石灰化を促進し、むし歯の進行を防ぎます。

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

子どものむし歯予防には、適切なおやつの選び方と与え方が非常に重要です。砂糖を含むおやつを減らし、適切な量と時間を守ること、そして食後のケアを徹底することで、むし歯のリスクを大幅に減らすことができます。さらに、定期的な歯科検診を受けることで、むし歯の早期発見と予防が可能になります。子どもの歯の健康を守るために、日々の生活習慣を見直し、適切なケアを心がけましょう。

歯の破折とは?原因と対策を知って健康な歯を保つ

2025年3月7日

みなさんは「歯の破折」についてご存知でしょうか?これは、文字通り歯が割れたり亀裂が入ることを意味します。歯の破折には大きく分けて「歯冠破折」と「歯根破折」の2種類があります。今回は、それぞれの破折について詳しく説明し、その原因や対策についても解説していきます。

 

【歯冠破折とは?】

まず、歯冠破折について説明しましょう。歯冠とは、歯の頭の部分、つまり口の中で見える部分のことを指します。歯冠破折は、硬い物をかんだ時や強い衝撃を受けた時に、この歯冠部分が欠けたり割れたりすることを意味します。

 

①歯冠破折の原因

歯冠破折の主な原因は、硬い食べ物をかんだ時や強い外力が加わった時です。例えば、ナッツや氷、キャンディなどの食べ物をかんだ時に歯が欠けることがあります。また、スポーツや事故で顔に衝撃を受けた場合にも歯冠破折が起こることがあります。

さらに、むし歯や歯の治療によって歯の構造が弱くなっている場合も、歯冠破折のリスクが高まります。特に、詰め物や被せ物が大きい場合、その周りの歯質が薄くなっているため、破折しやすくなります。

 

②歯冠破折の症状

歯冠破折が起こると、欠けた部分が尖っていたり、触ると痛みを感じることがあります。また、破折が深く進行すると、歯の神経にまで影響を及ぼし、強い痛みを伴うことがあります。この場合、歯の根っこの治療が必要となることがあります。

 

③歯冠破折の治療方法

歯冠破折の治療は、破折の程度によって異なります。小さな欠けであれば、詰め物や被せ物で修復することが可能です。しかし、破折が大きく神経に達している場合は、歯の根っこの治療を行った後にクラウン(被せ物)を装着することになります。

【歯根破折とは?】

次に、歯根破折について説明します。歯根とは、歯の根っこの部分で、骨の中に埋まっている部分を指します。歯根破折は、この歯根部分に縦の亀裂が入る、または割れることを意味します。

 

①歯根破折の原因

歯根破折の主な原因は、過度な力が歯に加わることです。

以下のような状況が考えられます。

・かみ合わせの状態が不均等である: 歯並びが悪く、一部の歯に過剰な負担がかかる場合

・歯ぎしりや食いしばりがある: 無意識に力強くかみしめる癖がある場合

・歯にメタルコアやポストが入っている: 歯を治療した時に金属の土台が大きく深く入っており、歯質が薄くなっている場合

・神経を取っている歯や加齢による劣化、むし歯などで歯が弱っている場合

・ブリッジ治療をしていて歯に負担がある: 3本の歯を2本で補っている場合、土台となる歯が耐えきれなくなることがあります。

・欠損歯の放置(歯がなくなったまま放置している): 欠損した歯を長期間放置していると、残った歯に過度な負担がかかります。

 

②歯根破折の症状

歯根破折が起こると、初期には症状が現れないことも多いですが、次第に以下のような症状が現れます。

・歯の動揺

・歯が浮いたような感じ

・かむと痛みがある

・歯ぐきの腫れがあったり、膿が出る

放置すると、破折部分から細菌が入り込み、根の先で膿を溜め始めます。膿が溜まると、強い痛みを感じるようになり、骨を溶かしてしまうこともあります。上顎の場合、膿が上顎洞まで到達し、蓄膿症のような症状や顔の腫れを引き起こすこともあります。

 

③歯根破折の治療方法

歯根破折が発生した場合、抜歯を余儀なくされることも多いです。もしも抜歯になった場合は、次のような方法で治療が行われます。

・インプラント:抜歯した箇所に人工の歯根を埋め込み、歯を再建する方法です。インプラントは天然の歯に近い見た目と機能を持ち、長期間使用できます。

・ブリッジ: 両隣の歯を土台にして、欠損部分を補う方法です。ブリッジは短期間で治療が完了しますが、隣接する健康な歯を削る必要があります。

・部分入れ歯: 欠損部分を補うための入れ歯を作る方法です。部分入れ歯は取り外しが可能で、清掃がしやすいですが、慣れるまでに時間がかかることがあります。

・親知らずを移植する: 親知らずを欠損部分に移植する方法です。親知らずが適切な位置にあり、健康である場合に限られます。

 

④歯根破折を予防する方法

歯根破折を防ぐためには、以下の方法があります。

・マウスピースの使用: 歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合、就寝時にマウスピースを使用して歯にかかる負担を軽減します。マウスピースは、歯科医院で自分に合ったものを作ることができます。

・歯列矯正:不正咬合によって一部の歯に過度な負担がかかっている場合、歯列矯正を行うことで均等にかむことができ、破折のリスクを減少させます。歯列矯正は見た目の改善だけでなく、かみ合わせの改善にも役立ちます。

・定期検診::定期的に歯科医院でチェックを受け、過度な力がかかっている部分がないかを確認してもらいましょう。早期発見と適切な処置が、歯の健康を保つためには非常に重要です。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯の破折は、痛みや治療の手間を伴う厄介な問題ですが、適切なケアと予防策を講じることで、リスクを大幅に軽減することができます。硬い食べ物を避ける、歯ぎしりや食いしばりの癖を治す、定期的に歯科検診を受けるなど、日常生活でできることから始めましょう。

歯科医院での定期検診を怠らず、健康な歯を維持するために日常のケアを心がけることで、歯の破折を予防し、快適な生活を送ることができます。歯の健康は全身の健康にも大きく影響しますので、しっかりとケアしていきましょう。

親知らずの生え方とお手入れ方法

2025年2月8日

永久歯の一番奥に生えてくる歯「親知らず」。

生えてきた場合は、抜く方も多くいらっしゃいます。しかし、必ずしも抜かないといけないわけではありません。

一般的に17~21歳頃に生えてきますが、個人差があり、生えてこない人もいます。また、生え方によっては、お口のトラブルの原因になることが多い歯であるため抜くことも多いのです。生え方によっては抜かなくてもいいこともあります。

今回は親知らずの生え方と生え方による抜歯の必要性、お手入れの方法と注意点についてもご説明していきます。

 

 

【親知らずの生え方】

親知らずは第三大臼歯とも呼ばれる歯であり、 前から数えて8番目の歯です。

親の手を離れた頃、物ごとの分別がつくようになった頃に生えてくることから「親知らず」や「智歯(ちし)」と呼ばれます。

 

①正常な生え方

親知らずが7番目までの歯のように真っ直ぐに問題なく生えてきた場合、とくにトラブルがない限り抜歯の必要はありません。歯みがきをしてきれいに保ちましょう。

 

②傾斜して生えている、水平に生えている

親知らずが生えるスペースが不足していると、真っ直ぐに生えることができずに斜めや横向きに生えてきてしまいます。そうすると、前にある第二大臼歯を圧迫するようなかたちになります。

その場合、きちんと生えるスペースがないことで歯ブラシなどでも汚れをうまくとることが難しくなります。つまし、歯みがきが困難になり、親知らずだけでなく隣の歯にもむし歯が発生しやすくなります。
このような場合は、抜歯になる可能性が高くなります。

 

③顎の中で水平に生えている

専門的には「水平埋伏」という状態です。

顎の中で横向きになったまま生えてこないので、ご本人は気づくことができず、レントゲン写真などで確認することができます。顎の中にあるので問題はないだろうと思われるかもしれませんが、隣の歯の根を刺激して、歯の根やまわりの骨を溶かしてしまうことがあります。
このような場合は抜歯になる可能性が高くなります。

 

【親知らずを丁寧にお手入れしないといけない理由】

親知らずはきちんと生えるスペースがあり、問題なく生えてくればいいのですが、多くの場合は斜めに傾斜して生えてきたり水平に生えてきたりすることでトラブルが起こりやすくなります。ただでさえ一番奥に生えるため、歯ブラシの毛先が届きにいのでお手入れが難しいのですが、それに加えて斜めに生えたりしているときれいにプラーク(歯垢)を除去することはかなり難しいといえます。そのため、むし歯や歯周病のリスクが非常に高くなります。

また、斜めに生えてきた場合、歯と歯ぐきの間にすき間ができます。ここにプラークや食べかすがたまると歯肉に炎症が起こり、腫れや痛みが生じます。このような状態を「智歯周囲炎」といいます。炎症がひどくなるとほっぺたが腫れて口が開けにくくなったり、飲み込むときに痛みをともなったりします。

 

【親知らずはどうやってお手入れするの?】

親知らずをみがくときは、通常使用している歯ブラシの他にやタフトブラシなどの細かいところまでみがくことができる器具をしようするのがおすすめです。毛先をしっかりと親知らずに当てることを意識してみがくといいでしょう。

 

①歯ブラシでのお手入れ

親知らずを歯ブラシでみがくときは、7番目までの歯と同じようにしてもきちんとブラシが当たらないことがあります。そのため、歯ブラシを斜め横から入れ、親知らずに毛先をきちんと当てるようにしていきましょう。そのときに大きな口を開けてしまうとほっぺたが引っ張られるため歯ブラシが入れにくいことがあります。

横から歯ブラシを入れるときは、小さめに口を開けて斜め横から歯ブラシを当てるようにましょう。
また、歯ブラシを大きく動かすのではなく小さく小刻みに動かしてしっかり汚れをとりましょう。親知らずをみがくことを意識していると、その手前の歯の後ろ側をみがき残しがちです。忘れずにしっかりみがきましょう。

 

②タフトブラシでのお手入れ

上記のように歯ブラシでみがいていても十分にみがききれない場合は、タフトブラシを使うとよいでしょう。タフトブラシは鉛筆のように持つこと(ペングリップ)で操作がしやすくなります。

鏡を見ながらタフトブラシの毛先を親知らずに当て、軽い力で小刻みに動かしてみがきましょう。

みがけているかのご自分でのチェックポイントとしては、歯ブラシでみがいた後にみがき残しがないかを鏡で確認したり、舌で親知らずを触った感触がザラザラとしていないかなどでチェックしていくのがいいでしょう。
頑張ってみがくあまり、歯ぐきを傷付けたりしないように力の入れすぎやブラシの動かし方はに気をつけましょう。タフトブラシのより詳しい使用法などを知りたい場合は、歯科医院のスタッフにご相談ください。

 

③毎日のお手入れを欠かさない

親知らずは生え方によってブラッシングの難易度がとても高くなります。

正常に生えている場合も斜めや横向きに生えている場合も、注意深く毎日丁寧なお手入れが欠かせません。

特に、隣の歯を圧迫しているような生え方をしている場合は、現時点で何も問題がなくても、近い将来に歯ぐきに炎症が起きたり、むし歯になったりとトラブルが起こることもあります。
汚れが残らないよう丁寧にみがくことで、トラブルを防いでいきましょう。

 

【親知らずが痛くなったときはどうすればいい?】

毎日丁寧なお手入れをしていても、親知らずが腫れて痛みが起こることもあります。そのようなときは、我慢せずになるべく早めに歯科医院を受診しましょう。

炎症で腫れている部分の周囲を洗浄してきれいにしたり、腫れや痛みがひどい場合は抗生物質や消炎剤により炎症を抑えていきます。一時的に症状が治っても腫れや痛みが続いたり、周囲の歯や骨に悪影響を与える場合は、抜歯が必要になることもあります。炎症がひどくて腫れや痛みがある場合には抜歯などの積極的な処置をすることはなく、症状がおさまってから行います。

 

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

親知らずは1番奥に生えてくる歯であり、抜歯や治療も他の歯に比べて困難とされます。

日頃のケアも難しいため、ご自分でのお手入れは特に注意して行う必要があります。

まだ親知らずが見えていなくても違和感があったり、ご自分で自覚していなくても生えてきていることもありますので、気になる方は歯科医院でチェックしていきましょう。

保険診療と自由診療はなにが違うの?

2025年1月14日

歯科診療には保険を適用できる「保険診療」と保険がきかない「自由診療(自費診療)」があります。歯科治療を進めていくなかで、銀歯やセラミックなど、保険と自費のどちらにするか迷われる方もいるのではないでしょうか。「自費治療はなぜ保険の治療の比べて値段が高いの?」「保険と自費では治療の何が違うの?」など、治療内容や費用について疑問をお持ちの方も多いかもしれません。保険診療と自由診療は、簡単にいうと見た目の美しさ、フィット感やかみ心地の良さなどの機能面、また最新の技術や機器などを使用するという面で大きな違いがあります。

その違いの理由も含めて、今回は「保険診療と自由診療の違い」についてご説明していきます。

 

【保険診療について】

保険診療は、保険を適用して診察や治療を受けることを意味します。

保険がきくので、診療費の一部(3割負担の方は3割、1割負担の方は1割)が自己負担額となり、

患者様ご自身の負担額としては比較的安価です。保険診療であれば、全国一律に診療費(診療報酬)が定められており、基本的にはどの歯科医院で保険診療を受けても診察や治療の内容が同じであれば診療費は同じ金額となります。
比較的安く歯科診療を受けられるのが保険診療のメリットですが、デメリットもあります。保険診療のデメリットは、受けられる診療が国によって定められた必要最低限のもののみだという点です。これについて、詳しくご説明していきます。

保険診療はむし歯で欠けたところや歯ぐきなどの歯周組織の見た目と機能性を最低限、回復するための診療となります。もしも、審美性の高い治療、最近の技術や器具を使用する治療をお望みであっても、保険治療の範囲では受けることができません。

また、機能面に関しても、かめるようにはもちろんなるのですが、治療に使用する材料やかけられる診療時間にも限りがあります。

 

【自由診療(保険外の診療・自費診療)について】

自由診療とは、保険がきかない保険外の診療のことです。

診療にかかる費用がすべて患者様の自己負担となるため、治療費用が比較的高額になることが多いのが特徴です。

保険診療と違い、自由診療には国によって定められた診療費の決まりはありません。つまり、クリニックごとに自由に診療費を設定することができます。そのため、同じ治療内容でも、クリニックごとに診療費が異なることがあります。

自由診療にかかる費用は高くなる傾向にはありますが、審美性や機能性、使用する器具などの面からも優れた診療方法ということができます。使用する材料も保険診療に比べると幅広いバリエーションがあり、ご自分のお好みのものを選択することができます。美しさやかみ心地など、

保険診療よりも高度なものを追求することが可能になります。診療時間に関しても、じっくりと時間をかけて行うことができます。

 

【保険診療と自由診療の違い】

それぞれ、項目に分けて違いをご説明していきましょう。

①使用する材料

保険診療:レジン、コンポジットレジン、硬質レジン、金銀パラジウム合金(銀歯)、銀合金など

自費診療:セラミック、ハイブリッドセラミック、金合金(ゴールド)、白金加金(プラチナ)、チタン、メタルボンドなど

②見た目(審美性)

保険診療:自費診療に比べて治療箇所が目立ちやすい

自費診療:自然な白さの歯の再現が可能

③機能性

保険診療:詰め物やかぶせ物の下から再度むし歯になりやすい

入れ歯のフィット感があまり良くないことがある

自費治療:歯との接着が良い材料であるので、再度むし歯になりにくい

歯と同じようなかみ心地なので、違和感がない

フィット感が優れている

④最新の技術・器具

保険診療:最新の技術や器具を使用した診療は受けられない

自由診療:最新の技術や器具を使用した診療が受けられる

⑤診療にかかる費用

保険診療:保険がきくため比較的安価

自由診療:保険がきかず全額自己負担なので高額になりやすい

 

 

【医療費控除について】

自由診療は高額な診療にはなりますが、もしも1年間にかかる医療費が10万円を超える場合は医療費控除が適用可能です。「医療費控除」は国の税金還付制度であり、ご家族の分も含めて、1年間に支払った医療費が基準額を超えるとき、税務署に確定申告することにより、その超過支払い分の医療費が課税対象の所得から控除され、税金の一部が還付される制度です。

手続き方法など詳しくは、最寄りの税務署へお問い合わせください。

■“将来の歯の健康”を考えた診療方法を選ぶことが大切です

◎保険診療はデメリットが少なくありません

保険診療は自由診療と比べて診療費が安く済みます。ただし、保険診療は歯の機能と見た目を最低限回復させる診療しか行えません。使える素材と診療にかける時間も限られます。

保険診療を受けたものの、治療した歯が再びむし歯になってしまったり、フィット感にとぼしい入れ歯になってしまうこともあります(※)。保険で使う銀歯などの金属素材は金属アレルギーをひきおこす原因にもなります。

 

【保険診療はダメなの?】
保険診療がダメなのかというと、そうではありません。

保険診療では比較的安価に歯の機能を回復することができますし、丈夫な材料(銀歯)を使えるなどのメリットもあります。また、保険診療で治療したら必ず再度むし歯になったり、入れ歯のかみ心地が悪くなるというわけではありません。

ただし、保険診療は使える素材や診療時間に限りがあるため、自由診療と比べるとどうしても審美性や機能性の面では劣ってしまいます。「歯を一生使用していく」という点からすると、自由診療の方が安心ということはできるでしょう。

自費診療は審美性や機能性には優れています。そのため、歯の寿命を長くするという観点からも期待ができます。費用が大きくなりますが、さまざまなメリットがあります。

 

【保険診療と自費診療、どうやってえらぶのがいいの?】

歯科治療を受けるにあたって「価格が安いから」「今をしのげればいい」という考えでだけで、診療方法を選ぶのはおすすめしません。一生涯使用する歯のことですので、長い目で考える必要があります。

口の中は自分で見ることが難しく、歯科治療に関しては専門的な知識が必要となるので、診療方法をご自分ではなかなか決めきれないこともあるでしょう。保険診療・自費診療、それぞれのメリット・デメリットについて詳しくお伝えした上で治療を進めていきます。患者様それぞれに最適な治療をご提案させていただきます。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯科診療で行う治療や使用する材料はいろんなものがあるため、詳しく内容を理解しないと診療方法をどのように決めていいのか難しいことも多くあります。治療それぞれで使用する材料も異なりますので、ご不明なときはお気軽にご相談ください。

フッ化物配合歯みがき粉の推奨濃度が変わりました!

2024年12月15日

むし歯予防にフッ化物が有効なのは皆さんご存知でしょう。

歯ブラシにつける歯みがき粉について、身体への安全性を考慮した上での新指針が発表されたので、今回はどのように変わったのかについて詳しくご説明していきます。

 

【フッ化物配合歯磨剤の推奨利用法】

2023年3月3日に 一般社団法人 日本口腔衛生学会、一般社団法人 日本老年歯科医学会、公益社団法人 日本小児歯科学会、特定非営利活動法人 日本歯科保存学会の4つの学会が合同で「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」について声明を出しました。

その背景として、日本の子どもの虫歯は経年的に減少傾向にあるのですが、その罹患率は他の疾患と比較してもいまだ高いこと、また成人では約3 人に1人が未処置のむし歯があること、高齢者ではう蝕経験者は増加していることなどが挙げられます。

むし歯予防として、フッ化物を使用することは 75 年以上の歴史で安全性と有効性が繰り返し確認されていて、特にフッ化物が配合された歯みがき粉(歯磨剤)は日本でも広く普及しています。

多くの方が今使用している歯みがき粉にもフッ化物が配合されているものを使っているのではないでしょうか?

今回の改訂は、フッ化物使用についての研究のアップデートや、市販の歯みがき粉のフッ化物濃度の変更、国際的な推奨の更新を受けて、日本のむし歯予防および治療を専門とする上記の4学会が合同で、現在の日本における推奨されるフッ化物配合歯磨剤の利用方法をまとめられたものになります。

【変更点】

具体的には、変更前よりも各年齢で使用できるフッ化物の濃度が変更になっています。

年齢ごとに見てみましょう。

 

①歯が生えてから2歳まで

(フッ化物配合歯磨剤の使用料)

米粒程度(1~2ミリ程度)

(フッ化物濃度)

変更後:1000ppmF(日本の製品を踏まえ900~1000ppmF)

変更前:500ppmF

(使用方法)

・就寝前を含めて1日2回の歯みがきを行う

・1000ppmFの歯磨剤をごく少量使用する

※歯みがきの後にティッシュなどで歯磨剤を軽く拭き取っても良い

・歯磨剤は子どもの手の届かないところに必ず保管する

※大量に飲み込まないようにするのを防止します

・歯みがきについて専門家のアドバイスを受ける

 

②3~5歳

(フッ化物配合歯磨剤の使用料)

グリーンピース程度(5ミリ程度)

(フッ化物濃度)

変更後:1000ppmF(日本の製品を踏まえ900~1000ppmF)

変更前:500ppmF

(使用方法)

・就寝前を含めて1日2回の歯みがきを行う

・歯みがきの後は、歯磨剤を軽くはき出す

※うがいをする場合は少量の水で1回のみとする

・子どもが歯ブラシに適切な量をつけられない場合は保護者が歯磨剤を出しましょう

 

②6歳~成人・高齢者

(フッ化物配合歯磨剤の使用料)

歯ブラシ全体(1.5~2センチ程度)

(フッ化物濃度)

変更後:1500ppmF(日本の製品を踏まえ1400~1500ppmF)

変更前:6~14歳は500~1000ppmF

15歳以上は1000~1500ppmF

(使用方法)

・就寝前を含めて1日2回の歯みがきを行う

・歯みがきの後は、歯磨剤を軽くはき出す

※うがいをする場合は少量の水で1回のみとする

・チタン製歯科材料が使用されていても、歯がある場合はフッ化物配合歯磨剤を使用する

以上のように使用するフッ化物配合歯磨剤の濃度は各年齢によって異なります。

今回の改訂に伴って、使用できる濃度がより高いものになりました。

次回、ご自分で選ばれる際には参考にされてみてもいいでしょう。

 

【その他の注意点】

乳歯が生え始めるのが分かったら、いきなり歯ブラシでゴシゴシみがくのではなく、ガーゼやコットンを使用してお口の中を触れるのに慣れることから始めましょう。水に湿らせたガーゼやコットンでやさしくお口の中をケアしていきましょう。

それに慣れたら、次に歯ブラシをお口に入れることに慣れさせていきましょう。はじめはびっくりした反応を示すかもしれませんが、⻭ブラシに慣れてきたら、⻭ブラシを用いた保護者による⻭みがきを開始できます。

また、フッカ物配合の歯みがき粉は効果が十分に示されている反面、子どもが誤ってチューブごと食べるなど大量に飲み込まないように注意することも重要です。安全が示されているフッ化物ですが、使用料をきちんと守らなくてはなりません。水でも塩でも砂糖でも、適量を守れば何も問題がなくても、大量に飲み込むと害が出ますよね。それと全く一緒です。フッ化物自体は悪いものではないので、使用量をきちんと守って使用していきましょう。

また、諸外国の中では水道水の中にフッ化物を配合してむし歯予防をするフッ化物フロリデーションなど全身応用を利用している国もあります。しかし、日本ではそのようなことはおこなわれていないので、フッ化物が配合された⻭みがき粉に加えフッ化物洗口や塗布の組合せも有効とされています。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

むし歯予防は、歯ブラシやおやつなどの砂糖の制限だけでは十分ではありません。

普段、歯みがきを頑張っていても完璧にみがくことは難しく、積極的にフッ化物の配合された歯磨き粉を用いるのも重要です。

フッ化物配合歯磨剤の使用についての改訂は、メリットとデメリットの両方が考慮され、双方を考慮し、国際歯科連盟(FDI)や世界保健機関(WHO)が作成したフッ化物配合歯磨剤の推奨を参考として、さらに日本の状況を考慮して今回の推奨は作成されたものです。

使用濃度と使用料を守り、むし歯予防に役立てていきましょう。

どういうときに歯の神経をとらないといけないの?

2024年11月16日

歯科医院で「虫歯が大きくなってしまっているので神経をとらないといけないかもしれません」と言われたことがある方もいるのはないでしょうか。

歯には神経があることは知っているかもしれませんが、それがどこのことなのか、どういう役割を果たしているかについて詳しく分からない方も多いかもしれません。

今回は歯の神経について、どうしてとらないといけないのか、炎症の状態も含めてご説明していきます。

 

 

【歯の神経をとらないといけないとき】

歯の神経に細菌が感染してしまったり、歯の神経が生活力を失ってしまて、そのまま放っておくことで歯の根っこの先に炎症を波及させてしまう恐れがあると判断されたときには、歯の神経をとらないといけません。

では、そもそも歯の神経とはなんでしょう。

正式には歯髄と呼ばれる組織のことです。

歯は外側から何層にも異なる組織が重なるようにしてできているのですが、その1番内部にある空間を満たしている部分のことです。「歯の神経」とは一般には言われていますが、実は血管も含まれている組織であって、その血管を通して歯の水分や栄養の補給などもしています。

では、実際にこの神経にはどのような役割があるのでしょうか。
神経というとおり、痛みなどを感じる神経組織が存在しています。この神経があることで、外部からの刺激に対して防御反応などを示すことが可能になります。歯の神経はとても重要な組織であって、いくら神経の治療をして代わりの薬を入れたとしても、残念ながら本来の歯の神経に代わるほど良いものではありません。

このように歯にとってとても重要な働きをする神経をとらないといけないときというのは、どういうときなのでしょうか。

一般的には、以下のような場合は神経をとらなくてはならないことがあります。

 

①むし歯や外傷などで歯の神経に細菌が感染した

この場合、軽度であれば神経をとらなくて済む場合もあります。

しかしながら、感染の程度がひどく、後戻りのできないほどの炎症があったりズキズキと痛みが持続する場合などには神経をとらないといけないことが多くあります。

 

②むし歯や外傷などで歯がかけた状態やぶつけたままで放置していた

むし歯や外傷などで歯に何らかの問題が生じた場合、大丈夫だろうと自己判断で放置してしまうと「いつの間にか痛みや症状がなくなった」と思いきや、実は歯の神経が腐敗してしまっているケースも少なくありません。

実は気づいていないだけで歯の中では炎症反応が起こっていることもあります。

自己判断せずに、思い当たる節があればすぐに歯科医院での確認が必要です。

 

③炎症などの症状がないけれど、便宜的に神経を取る必要がある

かぶせものなどを作る場合には、炎症や症状がないけれど、便宜的に神経をとる必要があることもあります。頻繁にあるわけではありませんが、そのような場合は詳しくどういう理由で神経を取る必要があるのか、治療計画も含めてご説明してから神経をとっていきます。

 

【炎症ってどんな状態?】

上記の神経をとらないといけない場合の③以外は、炎症があるときです。

からだは何らかの害となる刺激を受けた時に、免疫応答が働きます。その免疫反応によって体に出現した症状のことが炎症です。

風邪などを引いたときに炎症症状として喉が腫れたりするのをイメージするといいかもしれません。

炎症を詳しくご説明すると、以下の5つの兆候を総じて炎症といわれてます。

1.発赤(赤くなる)
2.腫脹(腫れる)
3.発熱(熱がでる)
4.痛み(言葉が示す通り、痛み)
5.機能障害(動かなくなる、機能しなくなる)

例えば、転んで膝などを打った場合を考えてみましょう。打ったところに傷ができ、その傷の周りは赤く腫れます。痛みも伴うことでしょう。そして、いつもより動かしにくくなることも考えられます。このように、私たちのからだの表面に現れる炎症はイメージが簡単にできるのではないでしょうか。

この転んだ傷などによる炎症は、原因となる刺激が除去されれば自然治癒を期待できます。

しかし、歯の場合は話は別なのです。

 

 

【歯の神経に炎症が起きたら】

歯は、根っこの先にある非常に細い穴と歯の内部が交通しています。もしも、歯の内部に炎症が波及すると、血管自体がダメージを受けてしまうため、修復が不可能な状態になります。

つまり、炎症を起こした神経(歯髄)そのものが炎症の原因となるため、歯の神経をとる必要が出てくるのです。歯の内部で炎症を起こした場合、歯の内部の血流も失われます。そのため、化膿止め(抗生剤)を飲んだとしても、膝の傷のようには歯の炎症は治まりません。

ただ、歯髄充血といわれる後戻りできる程度の炎症であれば、条件を揃えて炎症を起こしている原因を除去することで炎症は治まる場合もあります。

では、神経をとる場合ととらなくても大丈夫な場合、つまり、後戻りできない程度の炎症と後戻りできる程度の炎症をどのように見極ていくのかをご説明していきます。

1番簡単なのは、炎症の程度が分かるように歯の中の血流量などを目で見たり、正確に測ることでしょう。しかし、残念ながら歯の場合はそうやって目で見て確認したり、測ることはできません。歯の神経は何層もの硬い組織に覆われているので、この炎症の度合いが大変分かりにくいのです。最新の器具を用いても、この炎症の程度を治療前に完璧には調べることは難しいとされています。

ただ、実際に測定はできなくても、さまざまな情報から総合的に診断して、処置をしていくことはできます。そのためには事前に十分な問診を行って、その症状がいつからどのようになっているかを知ることが必要です。できるだけ的確な診断を行うために、必要とされる診査を行います。

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯の内部というものは、皆さんがイメージしているよりも非常に複雑な構造になっています。

特に神経は複雑であり、歯の神経を残すにしても取り除くとしても治療の成功率は100%でありません。また、歯の神経を取ったつもりでも取りきれない神経も存在することがわかっています。そのため、非常に専門性の高い治療の一つであるともいうことができます。

歯の寿命を長持ちさせるためにも神経があるというのはとても重要なことですので、こまめにメンテナンスを受けて口の中の環境を整え、神経をとらなくていいようにしていきましょう。

「よくかめる」にはワケがある

2024年11月8日

みなさん、普段の食事でよくかめているでしょうか?

「なんとなくかみにくい」という方や「かみ合わせが悪くてしっかりかめていない気がする」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

よくかめるには、かみ合わせが大きく関係してきます。今回はよい歯並びとかみ合わせについてご説明していきます。

 

【よい歯並びとかみ合わせ】

歯並びがよく、かみ合わせもよければ食事の際に効率よくかむことができるというのは、ほとんどの方がイメージできるのではないでしょうか。
では、一体どのような歯並び・咬み合わせであれば、食べものをしっかりかむことができるのでしょうか?
その特徴をまずはご説明していきます。

特徴としては、次の5つです。

①おおらかなU字型の歯並び

日本人はアジア人の中でも歯が比較的大きいのです。その大きな歯に適した歯列がU字型なのです。

上顎や下顎を口の中から見たときにV字のように尖っているのではなく、きれいなU字を描いているのがよい歯列です。U字の場合は、前歯や奥歯が飛び出したり倒れこみなどはありません。

 

②上下の歯並びの真ん中が一致している

鏡を見ると上下それぞれの前歯の真ん中が分かるでしょうか。その真ん中が上下でほぼ一直線になっていることと、その歯の真ん中と顔の真ん中が一致していることが大切です。

 

③前歯でうどんやそうめん、サンドイッチが無理なくかみ切れる

前歯の噛み合わせが良くないと、うどんやそうめんなどの麺類、サンドイッチなどがうまくかみ切れません。ものをかみ切るのは前歯の役割です。その役割をきちんと果たすには、歯を普通にかみ合わせたときに、上の前歯が下の前歯に、水平・垂直方向で約2ミリずつかぶさっているのが理想的です。

これが前歯を普通にかみ合わせても空間が空いていたり、逆に下の前歯が全然見えないくらい上の前歯が被っていたりすると良いかみ合わせとは言えません。

 

④上の1本の歯が下の2本の歯の間にかみ込む

歯並びを横から見てみると、理想的な歯並びというのは左右両側の犬歯から奥の臼歯までの歯が、上あごの歯1本に対して、下あごの歯2本の割合でバランスよくかみ合っている状態になっています。これは「一歯対二歯(いっし・たい・にし)の咬み合わせ」といいます。

上の1本の歯が下の2本の歯の間にかみ込む(下の1本の歯が上の2本の歯の間にかみ込む)という状態です。上下左右の奥歯が隙間なくしっかり咬み合っていることもポイントです。

奥歯のかみあわせは鏡などで見てもご自分ではよく分からないこともあるでしょう。ご家族同士で相互に見てみると分かりやすいかもしれません。

 

⑤厚みのある肉も左右の奥歯でしっかりとかめる

奥歯には、食べ物をすりつぶすという役割があります。左右の奥歯でものがかめると、厚みのある肉もしっかりかんですり潰すことが可能になります。左右どちらでも変わりなくかめることも重要です。左右のどちらか片方でだけかんでいる場合、かむことによる自浄作用がなくなりますので、むし歯や歯周病のリスクが高くなります。

【よくない歯並びはどんな感じ?】

上記の5つの特徴を持った歯並びは理想的なかみ合わせと言えます。

では、次によくない歯並びについても知っておきましょう。専門的にいうと、よくない歯並びは「不正咬合(ふせいこうごう)」といいます。

不正咬合になる原因としては、顎や歯の大きさといった遺伝的なものと、悪い習慣などによって後天的になってしまったものとに分けられます。

よくない状態をそのままにしておくと、何が問題かというとまずはうまくかめないなどと機能面での問題が起こりやすいのはもちろんですが、歯並びが悪いということでうまく笑えなかったり、笑顔に自信がもてなかったりする方もいらっしゃるかもしれません。歯並びコンプレックスがあると、うまく笑えなかったり、話すときに気になってしまうことから人間関係なども消極的になりがちです。また、話すときの発音が聞き取りにくかったり、不明瞭になりやすい可能性もあります。また、歯をしっかり食いしばることができないために、自分が持っている力を発揮できず、運動能力の低下にもつながるとされています。

なお、不正咬合の状態や程度は人それぞれです。少しのガタつきから出っ歯だったり、歯がデコボコしているなど、複数の問題を抱えていることも少なくありません。

以下に、その代表的な不正咬合をご紹介していきます。

①前後的な問題
・でこぼこ(叢生)

みなさんのイメージ通り、歯がでこぼこに生えたりしてガタついている状態です。

歯の大きさに対して並ぶ隙間が足りない場合、歯はでこぼこ(捻れるか、重なる)、あるいは前に突出する形となります。特に前歯のでこぼこは、一般的にも気がつきやすい歯並びではないでしょうか。八重歯もその一種であり、犬歯が飛び出したような状態です。

・受け口(下顎前突)

通常のかみ合わせは、奥歯でしっかりとかみ合わせた時に、上の前歯が下の前歯を覆っているようになっています。もしも、下の前歯が上の前歯より、連続して3本以上前側にある咬み合わせであれば受け口になっているといえます。下の歯は、上の歯のかぶさりがないため先端から根もとまですべて見えている状態です。

・出っ歯(上顎前突)
上の前歯が出ているかみ合わせです。上の前歯や上顎そのものが前方に出ていたり、下顎が後退している状態など原因は様々です。顎の骨に問題がある場合と、歯だけが前に出ている場合とがあります。

 

②左右的な問題
・交叉咬合
通常、上の歯は下の歯を覆っています。それが逆になっている咬み合わせのことです。

奥歯に交叉咬合があると、歯の真ん中も一緒にずれていることがあります。

・すきっ歯(空隙歯列)
歯と歯の間がつまっておらず、隙間があるような状態です。原因としては、歯そのものが小さい場合もありますし、歯と顎の大きさのバランスが合っておらず、歯に対して顎が大きいことなどによっても起こります。

他にも、歯が顎の骨の中に埋まって出てこない「埋伏歯(まいふくし)」や、もともと歯の本数が足りない「先天性欠如歯」があることが原因で起こる場合もあります。

 

③上下的な問題
・過蓋咬合(かがいこうごう)
上の前歯が下の前歯に深くかぶさっている咬み合わせのことです。

下の前歯が上の前歯に隠れてしまって少ししか見えていない場合や、全然見えていないこともあります。

・開咬(かいこう)

奥歯をしっかり咬み合わせても、上下の前歯が咬み合っておらず、隙間ができてしまう状態のことです。開咬であると、前歯で食べ物をかみ切ることができません。見た目にもすぐに気づいたり、食事の面でも支障があるためすぐに気づく方も多いかみ合わせのひとつです。

かみ合う歯が少ないため、顎関節症が発生しやすくなります。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

以上にご説明したように、歯並びとかみ合わせについてはよいものと悪いものが明確に分かれています。よい歯並び、かみ合わせであれば効率的に食べ物を咀嚼することができますし、むし歯や歯周病、顎関節への負担も軽減します。しかし、悪い歯並び、かみ合わせであると、効率的にかむこともできませんし、様々な不具合が出てきます。ガタガタの歯並びであればブラッシングがしにくいため、むし歯、歯周病にもなりやすいですし、その他の不正咬合でも顎関節などにも支障をきたします。

歯並びのよい・悪いを見極めるポイントさえ分かれば、自分でも鏡を見ながらある程度の確認は可能になります。ご自分や家族の歯並びをチェックしてみるのもいいでしょう。もしも悪い歯並び・かみ合わせに当てはまったり、気になる箇所があるようならお気軽にご相談ください。

初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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