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口や歯をぶつけたら起こること

2023年11月26日

口や歯を傷つけてしまうと、傷つけられた組織の炎症は時間を追うごとに進んでいきます。
ケガをした後に歯科医院に来られた際は、ケガをした場所はどんなところだったのか、どこをぶつけたのか、いつだったのか、などの他に、今どういう状態になっているかについて細かい診査や検査をしていく必要があります。
ケガをしたときからの経過の流れは、子どもが受けたケガの具合やどういった症状が予想されるかや重症度を判断するのにも役立ちますので、しっかりと覚えておきましょう。

 

【ケガしやすい部位】

口や歯をぶつけると、ぶつけた口や歯の周りの組織にも同時に影響が及びます。
最もぶつけやすい部位は上の前歯で、外傷の70パーセント以上を占めています。
もしも転んで前歯を打ったときは、前歯の見えている歯だけでなく、歯の根っこや歯の中の神経、歯の周りの骨まで傷つけられています。具体的には、歯が折れたり、欠けたり、圧迫されて血が通わなくなったりしています。

【歯をぶつけたらどうなるか?】

(1)歯の損傷

①歯の頭の部分(見えている部分)が欠けたり、ヒビが入る
明らかに目で見て分かる変化として、いつも見えている歯が欠けたり、よく見るとヒビが入っている状態です。少し欠けたくらいなら症状はないかもしれませんが、大きく欠けた場合は痛みがで出ることがあります。神経が出るくらいまで欠けた場合は、早急な処置が必要になってきます。
欠けた部分の真ん中くらいにピンク〜赤い部分が見えている場合は神経が露出しているところですので、触らないように気をつけてください。
あまりに大きく欠けたとき以外は、折れたり欠けた部分を歯科材料で覆って、感染やさらに欠けたりするのを防ぎ、もとどおりの色や形を再現していきます。

 

②歯の根っこが折れたり、ヒビが入っている
見た目には分かりませんが、レントゲン写真を撮って確認することができます。
折れているのが確認できた場合は、ズレた歯をもとの位置に戻して、歯と歯をくっつけて歯が揺れないように固定していきます。
しかし、ケガをした直後などは折れた部位が密着していたりすることも多く、発見しにくい場合もあります。また、しばらくして歯が揺れ始めたり、歯の位置がズレ始めてから初めて分かることもあります。
もしも根っこが折れてしまうと、次第にもともとの根っこの長さよりも短くなってきたり、歯が大きく揺れてくるので、ケガをした後も継続して経過をみていく必要があります。

 

③歯の頭の部分と根っこの部分がどっちも欠けたり、折れている
歯の頭と根っこのどちらも損傷している場合があります。
時間とともに痛みと揺れが強まる傾向にあります。
処置としては、②のときと同様に固定をしていきます。

 

(2)歯の周りの組織にまで及ぶ損傷

①脱臼
歯が通常よりも異常に揺れたり、ズレたりしている状態です。
触ったり、かんだりすると痛みが出るので、食事などに支障が出ないようにズレた歯をもとの位置に戻して固定していきます。

 

②陥入
歯がぶつけたりした衝撃で、もともとあった位置よりめりこんだ状態です。
乳歯の場合は、自然にもとの位置まで戻ることが多いのでそのまま経過を見ていくこともあります。しかし、次に生えてくる永久歯に影響が及ぼされている場合は、もとの位置に戻したり、最悪の場合は抜歯することもあります。
もとの位置まで乳歯が出てきた場合も、永久歯の形や位置が異常を示していないか、継続的に見守っていく必要があります。

 

③脱落
歯が埋まっている骨の中から抜け落ちてしまった状態です。
かなりの衝撃を受けているため、歯が埋まっていた骨にも損傷を受けています。
抜け落ちた歯は、牛乳や歯の保存液によって保存されている場合、専用の溶液で十分に洗った後にもとに戻し、固定していきます。

 

④歯の周りの骨が折れている
歯の周りを支えている骨が折れてしまうことがあります。
歯を可能なかぎりもとに戻し、固定していきます。
固定期間は6週間以上と長くかかることがあります。

 

(3)歯の神経の損傷

歯の中には神経が通っていますが、歯をぶつけたときに神経にどのようなことが起きるのかは未だに詳しくは分かっていません。
ですが、歯が折れたりすると折れた部分からばい菌が入り、炎症を起こし次第に神経が死んでしまいます。折れてなくても神経に何らかの影響が出ることがあります。
もし神経が炎症を起こして死んでしまった場合は、腐った神経を取り除かないといけないこともあります。

 

【乳歯と永久歯での損傷の違い】

乳歯では、こけたりすると歯が欠けたり折れたりすることは少なく、歯がグラつく脱臼をよく起こします。
一方で永久歯になると、歯の頭や根っこが欠けたり折れたりすることが多くなります。
特に8歳以降ではその比率が高くなります。
治療方法としては、乳歯も永久歯も診断が同じであれば、ほとんど変わりはありません。

 

【その後によく起きること】

①歯の変色
歯をぶつけると、歯の色が変わってくることがあります。
この変色は治ることもありますが、治らないこともありますので経過を追っていく必要があります。

 

②歯の神経が細くなってくる
歯をぶつけたりすると、歯の神経が入っているスペースがだんだんと細くなっていくことがあります。

 

③歯の神経が死んでしまう
脱臼などで血流が損なわれてしまったり、歯が欠けた部分からばい菌が入って感染を起こしたときは神経が死んでしまうことがあります。
歯の根っこが未完成のときは神経が死んでしまう可能性低いですが、永久歯で歯の根っこが完成する中学生以降では起こりやすくなります。
死んでしまった神経を放置したままだと、歯の根っこや歯の周りの骨に炎症が及び、溶かしてしまう危険性がありますので、早めに見つけて処置する必要があります。
子どもの歯の場合は、歯のグラつきなどが治った後も、継続的に状態をみていき、慎重な判断が必要です。

 

④歯の根っこが溶けてしまう
歯にうけた衝撃によって、歯の根っこが溶けて失われてしまうことがあります。
歯のグラつきなどの症状がなくなった後に、徐々に進行していきますので、継続的にみていく必要があります。

 

【家庭で気をつけられること】

口と歯のケガは幼児と小学生に多く起こります。
小学生は遊んでいるときに転んだりぶつかったりすることも多く、なかなか事前に防ぐことは難しいこともあります。しかし幼児の時期は家で過ごすことも多いので、家庭で気をつけられることもあります。

 

①生後半年以内
ベッドやソファーからの転落に気をつけましょう。
転落する危険性のあるところには寝かせないようにすることが基本です。
また硬いものや鋭いものも手の届かないところに置いておきましょう。

 

②ハイハイする時期
手も足も動かして発育にとっても大事な時期です。
しかし自由に自分で動き回れるので、ちょっと目を離した隙に階段や椅子から転げ落ちる可能性もあります。
階段に柵を設けたり、机などの角にぶつけても大丈夫なようにクッションとなるものを巻いたりする工夫が必要です。

 

③1歳を過ぎたら
いろんなところに手を伸ばしたり引っ張ったりすることもできるようになるので、引き出しや戸にぶつけてケガをすることも増えてきます。
低い目線で危険なものがないかを確認し、引っ張ったりできないようにしていきましょう。
また風呂場での転倒にも気をつけましょう。

 

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】
口や歯をぶつけたと言っても、その後に起きてくる症状はさまざまです。
見た目には大丈夫だと思っても、目で見えない部分がどういう状態になっているかは詳しい検査をしてみないと分かりません。
子どもの場合、自分の言葉でうまく症状を伝えることができないためその場では泣き止んでも、食べものを食べなくなったりして初めて保護者の方がケガの重症度に気づくことがあります。
ちょっとしたケガでも、思ったよりも症状がひどい場合もありますので少しでも気になることがある場合は、早めに歯科医院を受診されてください。

治療するべき歯並びやかみ合わせの種類について

2023年11月17日

口の役割には
・食べものを口の中に取り込む
・消化しやすいようにかみ砕く
・飲み込む
・会話をする
・感情を表したりコミュニケーションの一部になる
など、多くの役割があります。
別の表現をすると、口がうまく機能していなければ、食べものを口から上手に食べることもできませんし、うまく飲み込むこともできません。周りの人と適切なコミュニケーションを取ることも難しくなるのです。
このように口の働きは、人間が生きていく上でとても重要な機能を持っています。

口が正しく機能するためには、歯並びやかみ合わせも大きく関わってきます。
歯並びやかみ合わせを良くすることは、見た目を整えるだけでなく、食べものをきちんとかみ砕いたり正しい発音ができたりと、日々の生活を送る上でも大切なことです。
それでは、正しい歯並びやかみ合わせと、悪い歯並びやかみ合わせについての違いをご存じでしょうか?
なんとなく歯並びがちょっとズレてる気がするとか、左右どちらかがかみにくい、前歯が出てる気がするなどぼんやりと理想的な歯並びとは違うことは分かるかもしれません。
毎日の生活を送る上で、みんなが模型のような歯並びである必要はありませんが、それぞれの顔や骨格に合った歯並びやかみ合わせというものがあります。それとは大幅にズレたり、バランスが合っていないことが問題なのです。
歯並びとかみ合わせというのは深く関係していて「かみ合わせではなく、歯並びだけ治す」のではなく、上下の歯がしっかりかみ合っているか?をきちんと確認していくことも、大切なポイントです。

ここでは、そのように大きくバランスが合っていなかったり、注意するべき歯並びやかみ合わせについてと、それによって起きてくる影響についての解説をしていきます。

 

 

【注意するべき不正咬合5種類とその影響】
歯並びやかみ合わせが悪い場合、その状態によっていくつかの種類に分かれています。
今回は特に注意するべき5種類の歯並びやかみ合わせについてご説明します。

 

①叢生
「歯並びがガタガタになっている」状態のことで、乱杭歯ともいいます。
歯の大きさと顎の大きさのバランスが悪いことによって起こります。
歯が大きすぎたり、顎が小さいことによって歯が並びきらない状態です。
俗に言う「八重歯」は歯の生える順番に関わって発生するものですが、叢生の一種です。

 

〈起こる影響〉
歯がガタガタに並んでいるため、口の中がみがきにくく清掃が行き届かない可能性があります。
歯ブラシだけでなくデンタルフロスなどを使用しても、デンタルプラークなどが取り残される可能性があり、むし歯になりやすくなります。
歯並びが悪いからといって、必ずしもむし歯になりやすいわけではありません。しかし、歯並びがガタガタの状態である叢生では、デンタルプラークが付きやすくなりますので、むし歯をひき起こす原因にはなります。
デンタルプラークや歯石が付きやすい状態だと、歯肉炎や歯周炎(歯周病)など歯ぐきや骨など歯の周りの組織にまで炎症が波及する可能性もあります。
叢生の状態では、歯が正しい方向に並んでいないため、むし歯や歯周病の治療は難しくなりますし、食べものなどをかみ砕く能力も低下するというデータも出ています。

 

②上顎前突
いわゆる「出っ歯」の状態をいいます。
上の前歯が下の前歯より指一本分くらい前に出ている状態だと、特に問題です。

 

〈起こる影響〉
食べものをかみ砕いたり、飲み込んだりもしにくいかもしれません。
唇が閉じにくいため、口の中が乾燥することによって歯ぐきの炎症(歯肉炎や歯周炎などの歯周病)になりやすくなります。
またスポーツや転んだときに、前歯が欠けたり折れたり、抜けたりしやすくなります。
場合によっては、発音にも異常が生じやすいこともあります。
見た目を気にされることが多い歯並びの状態です。

 

③下顎前突
上下の歯のかみ合わせが通常の場合とは逆の状態をいいます。
つまり、奥歯でかんだときに下の前歯が上の前歯より前に出ている状態です。
いわゆる「受け口」といわれるものです。

 

〈起こる影響〉

歯や舌の位置や機能に問題があるため、発音や滑舌に影響が出やすくなります。
もちろん、順応によって発音に問題が出るまでに至らないこともあります。
発音への影響は、特にサ行やタ行などが発音しにくく、コミュニケーションに影響が出たり、語学の習得にも影響が出やすくなります。
また、下顎が大きく前に出ているような場合は見た目にもコンプレックスになりやすく、心理面にも影響を与えやすくなります。

 

④開咬
奥歯をしっかりかみ合わせても、上下の前歯がかみ合わずに隙間があいている状態です。
その隙間から舌を出すことや、外からのぞき見ることもできるかもしれません。
前歯でかみ切ることができないため、奥歯でしかかむことができません。

 

〈起こる影響〉

力を入れて閉じても歯と歯の間があいているため、上手に食べものをかみ切ることができません。特にうどんやラーメンなどの麺類はかみ切ることができず、丸呑みになってしまいます。
あまりにその程度がひどいと、胃腸への負担も大きく、消化へも影響が出てしまいます。
また歯の隙間から息が漏れるため、発音もうまくできない可能性もあります。
口をしっかり閉じることができない場合は、口の中が乾燥してしまうため、むし歯や歯周病などの細菌が繁殖しやすい環境にもなってしまいます。

しっかりかみ合わせても奥歯しか当たらないため、奥歯の負担が通常よりも大きくなります。
そのため奥歯周囲の顎の関節にもダメージを与え、顎関節症を起こしやすくなります。
人がかむ力というのは、その人の体重くらいの力があるといわれていますが、50kgの体重の人なら50kgの力が歯にかかっていることになります。
通常であれば、その50kgを全ての歯で支えるところを、開咬の場合は奥歯だけで支える状態になってしまいますので、奥歯の負担はとても大きなものとなります。
早く割れたり、折れたりすることも可能性も高くなるため、注意しなくてはいけないかみ合わせです。

 

⑤空隙歯列
歯と歯の間に、大きな隙間ができてしまうもので「すきっ歯」ともいわれます。
この状態だと、食べ物が歯の間につまりやすく、口臭やむし歯の原因にもなってしまいます。
歯の本数が生まれつき少なかったり、顎の大きさに対して1本1本の歯が小さいときはすきっ歯の状態になります。
成人の歯の本数は通常32本〜28本程度ですが、顎の骨の中で変な方向を向いていて生えて来れなかったり、遺伝による影響で歯の数が通常よりも少なく生えてきたり、といったケースもあります。本来の位置に歯がないため、歯と歯の間に余計なすき間ができてしまい、空隙歯列の状態になります。
舌が大きかったり、指しゃぶりの影響や舌で歯を押してしまうクセがある人も起こりやすいとされています。
特に、上の前歯の真ん中のみに隙間があいている場合は「正中離開」といいます。

 

〈起こる影響〉
歯と歯の隙間から息が漏れるため、発音が正しくできないことがあります。
特にサ行・タ行・ラ行などに影響が出やすくなります。
また、しっかり食べものがかめないので、胃腸などにも負担がかかる可能性があります。
歯と歯の間に隙間があるため、食べものがつまりやすく、詰まった状態を放置すると細菌が繁殖してむし歯や歯周病になったりします。
海外では「幸運の歯」として好意的に見られることもありますが、日本では見た目を気にされる人が多い歯並びです。

 

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】
このように歯並びやかみ合わせは、見た目だけでなくさまざまな影響を及ぼします。
成人してからも矯正治療によって治すことはできますが、子どものころからのクセによって悪い歯並びやかみ合わせになる可能性もあります。
場合によっては、定期検診などで悪いクセに気づくこともできます。
そのクセをしないようにすることで初期の段階で悪い歯並びやかみ合わせになるのを治すことができるかもしれません。
もしも気になる歯並びやかみ合わせ、クセなどがあれば成人であっても成長期であるお子さんであっても早期にご相談ください。本格的な矯正治療の前に、何か対処することができることもあるかもしれません。

 

プラーク〜歯の健康を脅かす口の中の細菌集団〜

2023年11月11日

【プラークってなに?】

歯みがきがうまくできていない歯の表面をこすってみたら、白色または黄白色のネバネバとした物質がついてきたことはないでしょうか?

これは「プラーク」という細菌のかたまりで「歯垢」とも呼ばれます。

食べカスだ思っている人もいるようですが、まったくの別物です。

70~80パーセントが細菌で、残りはグルカンなどのネバネバ物質です。

口の中に存在する細菌が歯に付着しても、通常はだ液によって流されてしまいます。

しかし、だ液の流れが悪い場所では細菌が付着したままになりやすく、増殖してしまいます。

特に

・歯と歯肉の境目

・歯の隙間

・奥歯のかみ合わせ

などはだ液の流れが悪くなりやすい場所であり、細菌が増殖しやすいところです。

 

プラークは、このようなだ液の流れが悪い場所などに、食後の口の中に残ってしまった食べカスをエサにして細菌が増殖し、集まって作られていきます。

プラーク中には500種類もの細菌が存在しており、プラーク1mg(1千分の1g)の中には、1億個以上の細菌が存在します。

その中には、むし歯や歯周病の原因菌も含まれています。

 

1.むし歯とプラーク

むし歯の原因菌であるミュータンス菌は、食べものや飲み物の中に含まれる糖分をもとにして、ネバネバしたプラークをつくり、歯にピッタリくっついてしまいます。

ミュータンス菌はその中でどんどん増えていき、酸をつくります。

この酸によって歯の表面からカルシウムが溶け出してしまいます。

すぐにプラークを取り除くことができれば、だ液の働きによって酸は中和されますし、歯の表面から溶け出したカルシウムも元通りに修復されます。

しかし、プラークがくっついた状態が長く続いてしまうと、歯の修復が追いつかないまま歯の表面のカルシウムはどんどん溶け出します。

この状態が続くと歯には穴があき、むし歯の状態になってしまいます。

このようにあいてしまった穴は自然に治ることはありませんので、歯科医院での治療が必要になります。

プラークはネバネバと歯にこびりついてしまうため、歯ブラシやデンタルフロスなどできれいに取り除く必要があります。だ液やうがいでは落とすことができません。

 

2.歯石とプラーク

歯についたプラークは、2日ほどでだ液の中に含まれるカルシウムやリン酸などと結びついて石のように硬くなりはじめます。

そして、2週間ほどで歯石となってしまいます。

歯石の表面には細かなデコボコがあるため、プラークはさらに溜まりやすい状態になります。

どんどん新しい細菌が歯石と結びつき、増殖していくため、気づいた頃には歯石が成長していって歯ブラシでは落とせなくなっているのです。

プラークは歯みがきで取り除くことができますが、歯石は自分では取り除けません。

取り除くには歯科医院での除去が必要となってきます。

 

3.歯周病とプラーク

プラークの中の歯周病菌は、毒素を出して歯ぐきを攻撃していきます。

そうすることで歯ぐきに炎症が起きてしまいます。

この炎症の初期段階のサインは、歯みがきのときの歯ぐきからの出血です。

この段階で、歯科医院での徹底的にプラークと歯石を取り除くことができれば、これ以上歯周病が進行することはありません。

ですが、このままの状態で放置すると、気づかない間に炎症はどんどん進んでいきます。

歯周病菌というのは空気が嫌いな細菌です。

そのため、空気のないところにどんどんと潜り込んでいってしまいます。

口の中では特に、歯と歯ぐきの隙間の中で活動が活発になり、さらに歯ぐきの炎症を起こします。この活動は静かに進んでいくため、気づいた頃には歯を支える骨までも溶かしていくのです。

プラークが歯と歯ぐきの隙間の中まで入ってしまうと、歯ブラシで取り除くことはできません。

そして細菌はどんどん増えていきます。

この頃にはご本人の自覚症状もありますし、見た目にも分かりやすい変化が起きていきます。

歯みがきのときの出血は増え、歯ぐきは赤くぶよぶよと腫れていきます。

炎症が歯を支える骨まで進行したら、歯はぐらぐらし、やがて抜けてしまうのです。

このようにプラークはむし歯や歯周病とも深く関わりがあります。

毎日の適切なケアによりプラークを取り除くことはとても大切なことなのです。

 

【プラークは成長する?】

プラークは歯みがきなどで取り除くことができます。

しかし、プラークの段階で落とさずに放置していると、細菌が増殖し、膜状になり、よりくっつく力の強いバイオフィルムというものになってしまうのです。

(プラークをバイオフィルムの一種としてとらえることもあります。)

バイオフィルムとは、いろんな細菌が集まって、何かの表面にくっついた状態のものをいいます。

ご家庭でいうと、お風呂場の排水溝やキッチンの三角コーナのぬるぬるをイメージしてもらうといいでしょう。あのヌメリがバイオフィルムです。

ブラシでゴシゴシと磨かないと、なかなか取れませんよね。

口の中のバイオフィルムも同様です。

もしも強固なバイオフィルムができてしまうと、一般的な歯みがきでは取り除くことができず、歯科医院での専門の器具を使用してしか除去することはできません。

 

 

口の中のバイオフィルムは、その中にむし歯菌や歯周病菌などのさまざまな細菌が生息しているのです。想像するだけでも嫌ですよね。

 

1.バイオフィルムは強力な防御壁?

細菌は、薬剤やからだの免疫反応、口の中の環境変化などの外的な要因から身を守るためにバイオフィルムをつくります。

通常、歯や歯の周りの組織というのは、だ液に含まれている抗菌物質や血液で運ばれてくる免疫細胞などで守られています。しかし、バイオフィルムは抗菌剤や抗生物質、白血球などの免疫細胞も通しません。

バイオフィルムができてしまうと、免疫システムが働かなくなってしまうのです。

その結果、歯周病やむし歯の原因となる細菌が増殖する温床となってしまいます。

バイオフィルムこそが口の中の病気の原因とも言えるのです。

 

2.バイオフィルムのもう一つの問題点

バイオフォルムについて、もう一つの問題があります。

それは、歯にバイオフィルムがついているからといって、それだけでは痛くもかゆくもないのです。すぐに何らかの症状が出るわけではありません。

だからこそ、放置されてしまいがちで、知らず知らずのうちに歯周病やむし歯が進行し、歯や歯ぐきに何らかの異常をきたしてからの治療になることが多いのです。

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

バイオフィルムは歯石と同じように、早めに歯科医院で取り除くことが大切です。

プラークが成長してバイオフィルムにならないためにも、毎日の歯ブラシによってプラークを除去することは欠かせません。

しかし、なかなか100パーセントのプラークをご自分だけで取り除くことはできません。

なぜなら、すべてのみがいている面を見ることができないからです。

歯みがきを完璧にすることはとても難しいことです。

日々のみがき残しが分厚いプラークとなる前に、定期検診で口の中をチェックし、クリーニングすることによって口の中の細菌を減らしていきましょう。

それがむし歯や歯周病の予防につながっていきます。

子どもが口や歯をぶつけたら

2023年11月1日

口と歯の外傷というのは、からだの他の部位にくらべても最も発生頻度が高いものです。
特に歯をぶつけたりなどの外傷は、3人に1人の子どもが経験すると言わる程で、前歯を失う原因の第一位です。

歯をぶつけると、歯が折れたり、グラグラと揺れたり、ひどいときには抜け落ちてしまいます。
そのような歯のケガが多いのは乳歯では1〜3歳、永久歯では7〜9歳です。
特に乳歯は女の子に比べて、男の子の方が2〜3倍多いというデータが出ています。
また歯や口のケガの原因は、日本では半数近くが転倒によるもので、ついで衝突・転落です。
2歳以下は転落が多く、3歳以上では衝突の割合が高くなります。
年齢が高くなるとスポーツによるケガが増えていきます。

【ケガをしたときにするべきこと】
①歯科医院を受診する前にすること
歯や口をケガした場合、多くの場合が歯や口だけではなく顔や頭もぶつけています。
そのため、まずは口の中よりもからだ全体の確認をしていきましょう。
まず意識の確認をして、目のまわり、耳のうしろに内出血がないか、また頭に傷があったり、ぶつけたりしていないかをチェックします。
もしも何かしらの症状がある場合は、脳外科など必要な科を受診しましょう。

 

②全身状態に問題がない場合
からだ全体を確認して重大な問題がない場合、歯科医院に連絡を入れましょう。
付き添う場合は、ケガをしたときにどういう状況だったかが分かる人が付き添ってください。

 

③出血しているとき
出血しているところがある場合、軽く洗い、血を止めるためにガーゼや清潔なハンカチなどをあてるようにして軽く圧迫しましょう。
口の中に血がにじんだり、流れ出している場合は、できるだけ飲まずに吐き出しておきましょう。飲み込むと気分が悪くなったり、嘔吐することもあるので、注意が必要です。

 

④ケガをしたときの写真を撮りましょう
余裕があれば、ケガをした直後の写真を撮っておくとケガをしたときの説明に役立ちます。

 

⑤口の内側や外側に長い物が深く刺さった場合
箸や歯ブラシなどが深く刺さった場合は、抜かないで病院にかかることをおすすめします。
もしも抜いてしまった場合、抜いたものを必ず持っていきましょう。

 

【歯が抜けてしまったら】
もしも歯が抜けてしまったら、その歯を必ず拾ってください。
1時間以内に歯科医院に行ける場合は、ラップやビニールに包んで乾燥を防ぎましょう。
1時間以上かかる場合は、少量の牛乳に浸して冷蔵しましょう。
学校や保育園などでは、あらかじめ歯を保存するための溶液が用意されているところも多くありますので、そのようなものを利用することもおすすめです。
1番やってはいけないことは、抜けた歯をティッシュでくるんだり、水道水で洗ってしまうことです。抜けた歯を戻すためには、乾燥しない状態で、できるだけ早く戻すことが重要になってきます。
また、歯の根っこには歯根膜繊維という、歯がうまく元に戻るかを決定するとても重要な組織が付いています。そのため、触るのは骨に埋まっている根っこの部分ではなく、かみ切ったりしている歯の頭の部分にしましょう。

 

【歯の頭の部分が一部欠けてしまったら】
歯が欠けてしまった場合、そのカケラを乾燥しないようにビニール袋に水を入れ(水道水でよい)歯科医院へ持っていきましょう。

 

くちびるに傷があるとき】
くちびるを傷つけるとみるみるうちに腫れてしまいます。
そのため、氷や冷たい水をつけたタオルを薄いビニール袋に入れて冷湿布すると腫れ上がるのを防ぐことができます。このとき、保冷剤をあてたり冷えピタシートを貼ってこられる方もいらっしゃいますが、それはやめましょう。
保冷剤は温度が低すぎますし、冷えピタシートでは冷やすことはできません。

 

【ケガをした後の家庭でのケア】
①清潔に保つ
口の中のケガや傷を治すためには、歯ブラシなどでみがいて清潔に保つことが一番です。
傷があるからといっても食べないわけにはいきませんし、もしも食べなくても歯みがきをしなければいけません。
歯を動かないように固定している場合は、汚れがたまると歯ぐきが腫れてしまいます。
歯間ブラシやタフト型のブラシのような細いブラシ、デンタルフロスなどの補助清掃用具も使うと固定している部位も細かいところまでよくみがけます。
本人がうまくみがけない場合は、保護者の方が仕上げみがきをしてあげるのがいいでしょう。
もしも本人が痛がったり、保護者の方がさわるのも怖いときは、いつもよりやわらかめの歯ブラシを使ったり、指で少しほぐした綿棒にうがい薬などを付けて、ケガをした部位の周りを軽く拭いたり、シャワーで洗い流したりと工夫して、清潔にすることが大切です。

 

②食べるもの
かたいものやかみにくいものは避け、かみちぎるような食べものをケガをした部位でかむのはやめてください。離乳食のように軟らかく、体温に近い温度のものを食べると刺激が少なく食べやすいです。
※おすすめの食べもの
やわらかいごはん・おかゆ・麺類・牛乳・ヨーグルト・チーズ・アイスクリーム・卵・バナナなど

唐辛子などの香辛料が含まれたものは刺激が多く、傷にもしみることがあります。
また雑菌を増やさないためにも、甘いお菓子や飲みものも避けましょう。
※避けた方がいい食べものや飲みもの
スポーツドリンク・ジュース・ガム・飴・カレーなど

食べにくいときはスプーンや太いストローなども役に立つことがあります。
もしも、かむと痛かったり、食べるとしみるときはすぐ歯科医院へご連絡ください。

 

③くちびるを閉じる
くちびるが腫れて閉じれないときはのぞいて、できるだけ口の中を乾燥させないようにくちびるは閉じておきましょう。

 

④激しい運動は避けましょう
ケガをした翌日から数日間は激しいスポーツをしたり、体育などは見学をおすすめします。ケガをした部位を再度ぶつけたりする危険性もあるため、処置した部位を安静に保つことを心がけましょう。

 

⑤お風呂
ケガをした当日は、できればシャワー程度にしましょう。
翌日からは通常通り、入浴しても大丈夫です。

 

⑥発熱
ケガをした部位からバイ菌が入って、感染することもあります。
子どもがだるそうにしていないか、発熱していないかを観察しておきましょう。
通常の口の中をケガによって、1日以内に37度台の発熱を見ることがありますが、38.5度以上の発熱は他の原因があるかもしれません。
その場合は、小児科を受診することをおすすめします。

 

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】
口の中のケガは、早期に対処するかどうかでその後の経過にも関わってきます。
たまに、ひどく歯をぶつけているのにも関わらず、スポーツの試合などが終わってから受診される方もいらっしゃます。歯が元のように戻るかどうかはケガしてからの時間が大きく関わってきますので、ケガをしたらすぐに歯科医院に行かれるのをおすすめします。

いざケガをしたら、大きな声で泣く子どもに保護者の方もパニックになってしまうこともあります。特に出血の量が多いと慌ててしまうかもしれません。
子ども自身も起きたことにビックリしてパニックになっている状態ですので、できるだけ保護者の方が深呼吸などして落ち着き、冷静になることが大切です。
そして、子どもが泣き叫んでいるときは、やさしく抱き寄せるなどして少しでも安心させてあげましょう。
転んだり、ぶつけたりというのはなかなか気をつけられず、突然起こるものです。
いざという時のために、いつ起きても早急に対応できるよう日頃からケガをしたときはどのようにしたらいいかを覚えておきましょう。

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当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
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