お酒と口の健康の関係〜知っておきたい影響とケア〜
2024年1月27日
日々のストレス解消や楽しみの一環として、お酒を楽しむことは多いかもしれません。普段はあまり飲まれない方でも、仲間内での楽しい集まりやイベントなどでお酒を飲む機会はあるでしょう。お酒の飲み過ぎは健康にも影響を及ぼすことはよく知られているかもしれませんが、口の中にも影響を及ぼすことはご存知でしょうか?
むし歯や歯周病など、皆さんがご存知の口の病気も、お酒が影響を与えることはあります。しかし、だからといってお酒を飲んではいけないということではありません。お酒がどのように口の健康に影響を与えるかを正しく理解し、健康を害さないように楽しんでいくことが大事です。
今回はお酒が及ぼす口の健康への影響について解説していきたいと思います。
【むし歯とお酒の関係】
①お酒に含まれる糖質
アルコールそのものがむし歯を引き起こすことはありません。むし歯の原因になり得るのは、アルコールに含まれる糖質です。
お酒にはいろいろな種類がありますが、お酒に含まれる糖質は、むし歯菌にとっては格好のエサです。糖質が多く含まれているアルコールを摂取するほど、むし歯のリスクは高くなります。また、お酒が長い間口の中に入っていたり、そのまま歯みがきをせずに寝てしまったりすると、口の中は酸性に傾き、歯が少しずつですが溶けていきます。その結果、むし歯になりやすい状況になってしまうのですね。
お酒にもさまざまな種類がありますが、具体的には、原料に酵母を加えることによりアルコール発酵させて作る“醸造酒”や、醸造酒等に果実、薬草、香料などの成分を配合した“混成酒”は糖分が多いため、飲みすぎはおすすめできません。多飲することでむし歯になるリスクを高めてしまうことがあります。
また、お酒にはよく炭酸を使用したものもありますが、炭酸飲料も口の中を酸性にしてしまうため、むし歯やプラークの原因となってしまう可能性があります。また、他にも酸性のお酒としてワインなどがあります。
②むし歯になりにくいお酒
では、何のお酒でもむし歯になりやすいかというとそうではありません。
先ほど紹介した醸造酒、混成酒の摂取割合を少なくし、なるべく“蒸留酒”を飲むといいでしょう。
蒸留酒とは、醸造酒に熱を加えて気化させ、冷却して再び液体化したお酒のことであり、以下のものが当てはまります。
・ウイスキー
・ブランデー
・焼酎 など
③むし歯にならないために
長時間ダラダラとアルコールを摂取し続けないことも、むし歯予防につながります。
お酒を飲むときは長時間飲み続けるという方も多いですが、アルコールやおつまみなどの食べ物が口の内に長い間ある状態が続くと、むし歯の原因となる酸が発生しやすくなるためおすすめはできません。

【お酒と歯周病の関係】
①お酒は歯周病にどんな影響もたらすのか?
結論から言うと、お酒そのものが歯周病に悪いわけではありません。
しかしながら、お酒を飲むと酔っ払ってしまい、気持ち良くなってそのまま寝てしまう方もいるかもしれません。また、面倒であったりしてお酒を飲んだまま歯みがきなどのケアをしないまま翌朝を迎えることもあるでしょう。
そのようなことが多いことから、お酒は歯周病を進行させる原因の一つと言えるでしょう。
また、寝ている時というのは、通常の起きているときと比べて口の中のだ液の量は減少しています。だ液には口の中を潤すだけでなく、洗浄や殺菌効果があります。夜寝ている時にだ液が減少することで口の中は有害な菌が繁殖しやすくなっています。
お酒に含まれるアルコールは脱水作用があるため、だ液の分泌も減少します。これにより口の中が乾燥し、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
もしも酔っ払ってしまっても、きちんと歯みがきを怠らずに行うことを忘れないでください。特に寝る前の歯みがきはむし歯や歯周病の予防に役立ちます。
② お酒に弱い人は歯周病のリスクが高まる可能性がある
お酒を飲んだ時に、何も変わらない人がいる一方で、顔が赤くなったり、心臓がドキドキしたり、脈が速くなったり、または頭痛やめまいなどを感じる人もいます。こうした方の身体に対しての影響の原因は何かというと、アルコールが分解されてできる「アセトアルデヒド」という成分に含まれる毒性が原因となっています。
人間の身体にはアセトアルデヒドを分解して排出する機能があるのですが、それには個人差があり、分解能力が低い人は上に記したような症状が出やすいのです。その分解能力の違いの原因は何かというと、一人ひとりの酵素活性の高さによって分解能力が決まるのです。
分解酵素の1つであるALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素2)という活性酵素には、個人差が非常に大きいこと、酵素活性は遺伝によって決まっていること、この2つがこれまでの研究で明らかになっています。
この酵素のタイプを大きく分けると、次の3タイプが存在します。
・お酒に強い活性型(GG型) ・・・日本人では56パーセント
・すぐ顔が赤くなる不活性型(AG型) ・・・日本人では40パーセント
・アルコールを受け付けない失活型(AA型)・・・日本人では4パーセント
これに対し、白人や黒人の人々は、ほぼ100%が活性型でお酒に強い方が多いとのことです。
活性型と歯周病の関係を研究した結果によると、お酒を飲んで顔が赤くなる人の歯周病リスクは、飲まない人の4.28倍も高くなることがわかっています。一方、お酒を飲んで顔が赤くならない人は、飲まない人と同程度のリスクと言われています。
結論としては、お酒を飲んで顔が赤くなる方は、歯周病になりやすい方であると言えるでしょう。そのような方は、飲みすぎず、身体に無理のない範囲でお酒との上手な付き合いをしてください。そして、歯周病からお口の健康を守るためにも、より一層歯周病予防に力を入れられることをおすすめします。
また、ここでひとつ気をつけてほしいのが、お酒に強い人は歯周病リスクが低いので予防をしなくても大丈夫と言うことではありませんので注意しておきましょう。

【OCEAN歯科からのメッセージ】
お酒を飲むことは楽しみの一つですし、止める必要はありません。しかしながら、その影響を正しく理解し、適切なケアを行うことで、健康な口腔状態を保つことが重要です。お酒を飲む習慣のある方は、飲んだ後にどのようにケアを行うべきか、どのような点に注意したらいいかなど、通常の定期検診でお話しすることも可能ですので、お気軽にご相談ください。
お酒を楽しみながら、口の健康も守っていきましょう。
「1歳6ヶ月未満の子ども」〜口の中の特徴と気をつけるポイント〜
2024年1月20日
1歳ごろの口の中は、上下の前歯 (4 本ずつ)が生えそろっている頃です。
月齢に応じて歯が生えてこないので不安に思われることもありますが、発育段階というのはあくまでも目安です。身長や体重に個人差があるように、お口の発育にも個人差があります。
まずは成長の過程を見守っていきましょう。そして、歯が生えてきたら、はじめての歯みがきを始める準備をしていきましょう。
今回は、はじめての歯が生えてくる頃に気になることや、気をつけるポイントも合わせて考えていきましょう。

【むし歯にはいつからなるの?】
生まれてすぐの赤ちゃんの口の中には、むし歯菌はいません。むし歯は、大人の使っている歯ブラシを子どもが口の中に入れたり、食べかけたものを与えたりすることで、むし歯菌がだ液を介してうつっしまうことから始まります。
保護者の口の中が汚れていたり、むし歯が多いと子どもにむし歯菌がうつるリスクが高くなります。ですから、家族みんなで定期的に歯科医院でメインテナンスをして、お口の健康を保っていくことが大切です。
【甘い飲みものは、飲ませていいの?】
ジュースやイオン飲料は酸性の飲み物です。そのため、酸が歯に接している時間が長くなることで、歯が溶けやすくなります。甘い飲みものを飲ませると、子どもは喜ぶかもしれませんが、口の中の環境にとっては良い状況とは言えません。哺乳瓶やストロー付きマグなどで甘味飲料を長時間飲まないように注意していきましょう。
【フッ化物(フッ素)塗布は、いつから始めればいいの?】
フッ化物にはむし歯予防効果があります。 歯科医院では積極的にフッ化物によるむし歯の予防をおすすめしています。上下の前歯が生えそろったら、歯科医院で フッ化物塗布を受けることをおすすめします。基本的には1年に2 回以上、継続的に受けることが効果的です。
【指しゃぶり、おしゃぶりをしているんだけど、どう対応したらいいの?】
しゃぶる行為には、緊張した時や不安な時に気持ちを鎮める効果があります。
ですから、無理にやめさせるのではなく、声かけをしたり、一緒に遊んだりして、しゃぶる頻度を減らしていくことからはじめましょう。 その後もずっとしゃぶる行為をやめず、離乳が完了して奥歯のかみ合わせができた後も続いていると、歯ならびやかみ合わせにも影響が出やすくなります。
おしゃぶりは 2 歳を過ぎたら、 指しゃぶりは 3 ~ 4 歳頃にはやめられるのが理想です。
【かかりつけの歯科医院は、この時期には必要なの?】
自治体における歯科健診(1歳半健診)が開始されるのに合わせ、歯科医院に通う習慣を始めてみるといいでしょう。子どもの口の発育段階に合わせて、歯みがきの方法などの指導を受けたることができます。この時期は、自宅では仕上げみがきがなかなか上手にできないなどと、不安に思うことも多くあるでしょう。仕上げみがきの状態もチェックしていくことができます。
また、歯科医院で定期的に口の健康状態をチェックすることで、必要に応じて歯や口に関する相談もすることができます。

【月齢による歯みがきの考え方】
・生後5~6ヶ月
下の前歯あたりの歯ぐきが固くなってきます。これは、もうすぐ歯が生えてくるサインです。
歯が生えてきたら歯みがきをしていきますので、口の中を触られるのに慣れていくことから始めていみましょう。頬に触れたり、口の近くを触られることからだんだんと慣らしていきましょう。
方法としては、清潔な大人の指で口の中をふいてあげるなど、スキンシップをとっていくことから始めます。
・生後7~8ヶ月
上下の歯が2本ずつ生え始める時期です。
歯が生えてきたから、さぁ歯みがきだ!と慌てる必要はありません。
すぐに歯みがきをしようと焦らずに、まずは歯みがきの準備をしていきます。いきなり歯ブラシを入れると、今までにない刺激で赤ちゃんはびっくりしてしまいます。湿らせたガーゼなどで歯をふいてあげましょう。
・生後9~11ヶ月
上下の前歯が 4 本ずつ生えている状態です。
奥歯のあたりの歯ぐきにもふくらみが出てきた頃でしょう。
口の中をガーゼでみがくことに慣れたら、次は歯ブラシを使って歯に触れてみましょう。いきなりゴシゴシと力いっぱいにみがくのではなく、歯ブラシに慣れてもらうイメージでしていくのがいいでしょう。
最終的には、歯をきれいにみがいていくことが重要ですが、まずは歯ブラシに慣れさせて、しばらくして慣れてきたらやさしい力で、1 本ずつみがいてみるといいでしょう。
・1歳~1歳6ヶ月
奥歯が生え始める時期です。
もしかしたら、奥歯から生えてきた歯がむずがゆいのか手でよく触っているかもしれません。
この頃には、朝晩の歯みがきを少しずつ習慣にしていくといいでしょう。
自分で歯ブラシを持ってみがきたがることもあるでしょう。その時は、必ず座らせて、目を離さないようにしてください。 歯ブラシを加えたまま転んでしまったりすることで、歯ブラシが口の中に刺さってしまう事故も考えられます。子どもに渡す歯ブラシは、仕上げみがき用の歯ブラシと別のものを用意しましょう。のど突き防止歯ブラシの使用もおすすめです。
もしも本人にみがかせる場合は、その後に必ず仕上げみがきをしていきましょう。
【OCEAN歯科からのメッセージ】
歯が何もなえていない状態から、乳歯が生えそろうまでには口の中にはダイナミックな変化が起こっています。いきなり赤ちゃんをびっくりさせるのではなく、優しく慣らしながら歯ブラシを覚えていってもらいましょう。
もしも口の中の変化や、ご自宅でのみがき方に不安があるときはお気軽にご相談ください。
歯の神経の治療ってどんなことをするの?〜根管治療について〜
2024年1月13日
歯ぐきの膿が溜まってしまったり、歯の神経が死んでしまった場合に行うのが根管治療です。歯の根っこである「歯根」を治療していきます。
歯の内部には歯髄腔と呼ばれる空間があり、その中には神経や血管などの入った組織が入っています。歯髄腔は歯根の内部にある根管という管につながっていて、神経や血管もその内部を走って、歯の外側に通じています。根管治療はこの「根管」を清掃・消毒する治療です。

【治療の期間はどれくらいかかるの?】
根管治療は、歯の根っこの部分の治療ですので、大変細かい作業となります。また、時間もかかる処置です。早い方は数回で終了しますが、歯の形状や症状の度合いによって、どれくらいの治療期間がかかるかは変わってきます。
長い場合は、数ヶ月、それ以上かかることもあります。
【根管治療の流れ】
根管治療の内容は、段階に応じて各ステップに分かれています。
①ステップ1:根管内のものを除去する
歯の根にまだ神経が入っている歯の場合には麻酔をして、神経と共に歯髄を取り除きます。
もしも神経をすでに取り除いてある歯の場合には、詰め物や被せ物を取り外してから、根管内に以前の治療で詰めた薬を取り除いていきます。
②ステップ2:根管の壁を清掃する
歯の根の壁をお掃除していきます。
この作業はとても重要で、治療の予後にも大きく影響してくるものです。根の形によって、清掃が複雑になることもあります。
歯の根っこ自体はとても細いものですので、使用する器具としては専用の針のように細いものを用いますリーマーやファイルと呼ばれるもので、さまざまな太さがあり、ギザギザが付いた針のような細い器具を使っていきます。
③ステップ3:根管を消毒する(数回)
根管の清掃が終わったら、細い根管まで行き渡るように専用の綿に薬をつけて消毒を行います。
綿がきれいになるまで、また症状が取れるまで薬の交換を繰り返します。
④ステップ4:根管に最終的な薬を詰める
根管の症状が取れたら、根管内に薬を隙間なく詰めていきます。これにより、根管内に細菌が入り込まないようにしていきます。
ここまでが根管治療の一連の流れです。

【根管治療中の痛みについて】
根管治療を行う場合、神経がまだ生きているときには麻酔をしてから処置をするため、麻酔が効けば治療中に痛むことはありません。
しかし、神経の炎症がひどい場合には麻酔があまり効かないこともあります。
一方で、麻酔をしないまま処置を行うこともあります。神経が死んでいたり、神経がない歯の場合は、麻酔をしなくても痛みが出ないことが多いため、そのまま麻酔をせず行うことがほとんどです。
ただ、根の先端に神経が残っている場合や、根の周囲の炎症が強くて痛みを伴う場合には麻酔をして行うこともあります。その歯の状態によって、麻酔をするかは判断していきます。
【どんな時に根管治療が必要なの?】
①歯の神経が炎症を起こし、ズキズキと痛むとき
むし歯が進行してしまうと歯髄に達して神経が炎症を起こします。その結果、ズキズキとした痛みが出るのです。このような場合、痛みも強く出ることもあり、早期に歯髄を取り除く必要があります。その後、空っぽになった根管を消毒し、きれいになったところで薬を詰める治療を行います。
②神経がない歯なのにズキズキしたり、かむと痛い時
痛みが出るのは神経がある歯だけではありません。神経を取った歯でも痛みが出ることがあります。これは根の奥に細菌が繁殖して炎症を起こしてしまっているような場合に起こります。
炎症を取り除くため、根管治療を行い、内部を消毒して清潔にしていく必要があります。
③歯の根の先に膿がたまった時
神経が死んでしまっている歯や神経を取って治療済みの歯の根の先端に膿がたまることがあります。これは根の内部にある細菌が増殖して、根管の外に膿をためてしまっている状態です。ご自分で痛みとして感じることもあれば、無自覚で定期検診などでレントゲンX写真を撮った際に偶然発見される場合もあります。放っておくとだんだんと悪化するため、すみやかに根管治療をしていくことが重要です。
④歯ぐきに白いかたまりのようなものができた時
歯ぐきにプツッと白いニキビのようなものができることがあります。ご自分で気づくことも多いです。これが長期間消えずにある場合は、根の先端の膿が溜まっている場所から歯ぐきに膿の出口を作っている可能性が高いです。この場合、レントゲンX写真によって確認していきます。
レントゲンにて根の先端の膿だまりが確認された場合、根の治療をする必要があります。
⑤歯ぐきが腫れた時
歯ぐきが腫れる原因が、上でご説明したような根の先端の膿が溜まっているような場合は、根管治療を行う必要があります。
【OCEAN歯科からのメッセージ】
このように歯の神経の治療といっても、さまざまな症状から状態を適切に診断していく必要があります。レントゲン撮影などの必要な検査を行い、どのような原因で今の症状が出ているかを調べてから処置を進めていきます。
歯の形態や状態によっては治療期間が長くなることもありますので、一概に何回で終わる処置とお伝えできない場合もありますのでご注意ください。
口の中に傷やできものができた場合
2024年1月5日
気づいたら口の中に傷ができて痛かったり、できものができて気になったことがないでしょうか?放っておくべきか、歯科医院に見せに行くべきか分からないこともあるかと思いますが、どのようなことが考えられるかについてご説明していきます。
【感染しているかも?】
もしも痛みや炎症がある場合は、感染している可能性があります。
うがいなどをして口の中をまず清潔にしましょう。様子をみても治らないときや腫れて膿がたまるような場合は、歯科医院に来院されてください。必要ならばレントゲン写真などの検査をしていきます。もしも必要ならば、専門の口腔外科の受診をおすすめします。
痛みもなくできものがだんだん大きくなるような場合は良性腫瘍やがんの可能性もありますので、気になる方は歯科医院での診察を受けましょう。

【どのような可能性が考えられるか?】
①褥瘡性潰瘍(じょくそうせいかいよう、外傷性潰瘍ともいいます)
とがった歯やとがった歯のかぶせ物や詰め物、あわない入れ歯などがこすれて傷を作るような、慢性的な刺激があると潰瘍(かいよう)になることがあります。この場合は、舌で触ったりすると鋭利な面があるので、ご自分でも原因が分かりやすいかもしれません。
傷口は平たい灰白色や黄色の膜で覆われていて、痛みはあまり強くはありません。
治療法としては、あたっている尖った歯を丸めてもらったり、入れ歯の修理をすれば、10日くらいで治ってきます。
②口腔がん
体の各種臓器にもがんはできますが、口の中にもがんができることがあります。特に、口の中にできる悪性腫瘍を特に口腔がん(こうくうがん)といいます。これは、口の中のさまざまな所にできるがんです。
一般的に知られている胃がんや肺がんと違って、ほとんどのがんが目で直接見ることができるのが口腔がんの特徴です。
潰瘍になるものが殆どで、見た目には口内炎やその他の潰瘍と似ているので、気づかないこともあります。その他の潰瘍とくらべて、痛みも少ないのが口腔がんの特徴です。他のがんと同様に、きちんとした治療が必要です。
症状としては、ほとんどの場合、初期のがんでは自覚症状も少なく痛みもほとんどないようです。
進行すると、さまざまな自覚症状が現れてきます。
主な自覚症状としては、痛みが最も多いです。例えば、食べ物がしみたり、口内炎がなおらなかったり、首のリンパ節がはれるなどの症状があります。
また次のような症状も見られることもあります。
・容易に出血したり治らない腫れがある
・舌や粘膜の上の色が変化(白・赤・黒に見える場合があります)した
・しこりがある
・厚くなったざらざらの点、かさぶたや潰瘍ができた
・口の中の痛みやしびれ感がある
・物が噛みづらい
・飲み込みにくい
・話しづらい
・顎や舌が動かしにくい
・噛み合わせが変わった
・急に義歯が合わなくなった
このような症状が現れてきますが、とくに自覚症状がない場合もあります。
原因としては、口の中が不衛生な人、う蝕や義歯で常に舌などに刺激がある人が多いようです。また、他のがん同様にタバコやお酒も発生原因であるともいわれています。
【がんの診断】
もしも、がんの可能性が疑われる場合、診断としては超音波検査などの画像検査を行う他に、表面をこすったり、細胞を吸い取ったりして悪性度を調べる細胞診検査があります。また、腫瘍の一部を切り取って調べる組織検査などが一般的なものです。
がん細胞が発見され、がんと診断がつけば、病変の大きさや根の深さや広がりの程度を正確に診断するために、CT検査やMRI検査などの画像検査を行い、治療方針を検討します。
【最も多いがん】
舌がんは、口腔がんの一つで、口のなかにできるがんの中では、最も多いがんです。
発生頻度も口のなかにできるがんの中で1/3以上を占めます。そのほとんどが 扁平上皮癌というものです。男女比は約2:1と、男性に多く見られのが特徴です 。
舌がんの原因は、はっきりとはしていません。
しかし、歯並びの悪い歯や、破損した金属冠や尖った角のある食品などが常に舌に当たったりすることによる慢性的刺激によって、舌に潰瘍や小さなしこりができ、長い期間刺激が続くことにより、それが誘因となり発生することがあります。
また、熱い食品によるやけどや度重なる過度な刺激が誘因となることもあります。習慣的な喫煙の習慣や飲酒による慢性的刺激もがんの発生の要因となる可能性があります。
さらに、刺激の強い香辛料や酸味・アルカリ分の強いもの、高塩食品などによる刺激も、口腔内の粘膜を損傷する可能性があり、発生リスクが高まるといわれています。
このようながんは、他のがんと同様に、早期発見、早期治療が最大の良い結果を与えることはいうまでもありません。周囲組織への浸潤(ひろがり)がなく、腫瘍の大きさは2cm以内で、リンパ節に転移のないものほど予後は良好です。

【OCEAN歯科からのメッセージ】
何気ない傷やできものだと思っていても、なかなか治らなかったりした場合にはきちんとした原因があります。もちろん、ただの口内炎であったり、よく舌をかんでしまうことによるものであることも少なくありません。また、歯の根っこの炎症によるものである場合もあります。
しかしながら、長引く口の中の異常は放っていても良いことはありません。もし何か気になることがあれば、お気軽にご相談ください。そして、このような病気を早期に発見するためにも日頃からのメンテナンスはとても役に立つものです。ぜひご活用ください。