インプラント治療をしているとMRI検査はできないの?
2024年2月28日
インプラント治療というのは、皆さんもご存知の通り、歯がないところに人工歯根を埋め込んで、歯がある状態と同じようにかめるようにしていく治療です。具体的には、顎の骨に金属(チタン)製の人工歯根を埋め込みます。
そのため、インプラント治療をすると、MRI検査を受けられないのではないか?という疑問を持たれることがあるかもしれません。
MRI検査というのは、全身の健康状態を調べる上でとても重要なものです。実際のところはどうなのかについて、今回はご説明していきましょう。
【MRI検査ってどんな検査?】
MRI検査とは、正確には「Magnetic Resonance Imaging」と呼ばれるもので、レントゲン検査やCT検査と同じように「画像診断」のために実施される検査です。検査には、強力な磁石と電波を使って磁場を発生させる装置を用います。ざっくりとしたイメージですが、レントゲンやCTは、骨のような硬い組織を検査するのに用いられます。一方で、MRIは内臓などのやわらかい組織の異常を調べるのに用いられます。
MRIが一般的な画像検査とは異なるところは、放射線を使用しないところです。その代わりに、磁石を使って検査を行います。ですので、撮影をする時は金属類を身につけたり、持ち込んだりすることはできません。もしも金属類を身につけたままMRI検査を受けてしまうと、装置にそれらが引き寄せられたり、検査結果にも悪い影響を与えることがあります。そのため、原則としてペースメーカーや人工内耳などの医療機器を体に埋め込んでいる人はMRI検査が受けられないのです。
【インプラント治療をしているとMRI検査ができない?】
このように、身体に身につけた金属は外さなければなりません。では、インプラント治療を受けた後はどうでしょうか?人工歯根を身体に埋め込んでいますよね。
結論から先にいうと、インプラント治療後もほとんどの場合はMRI検査は受けられます。
では、どうしてインプラント治療をしても、MRI検査を受けることは可能なのでしょうか?
【歯科で用いられるインプラント】
「インプラント」と一言で言っても、医療界にはさまざまなインプラントが使用されています。
歯科治療に用いられるインプラントが全てではありません。
歯がないところを補うために埋め込む人工歯根は「デンタルインプラント」です。現在の多くの方が認識してあるインプラントは、デンタルインプラントのことではないでしょうか。
しかしながら、医療の分野ではその他にも異なるインプラントがたくさんあり、心臓ペースメーカー、人工内耳、神経刺激装置などの医療機器もインプラントの一種です。これらはデンタルインプラントとは異なり、MRI検査が受けられません。
このような精密機器は、MRI撮影の画像を乱してしまったり、身体にも大きな影響を及ぼします。
これらの機器に用いられる金属は磁気に反応します。しかしながら、デンタルインプラントや整形外科などで用いられる人工関節や結合プレートなどに用いられるものは非磁性金属です。つまり、磁気による影響を受けません。ですので、歯科医院でインプラント治療を行った後でもMRI検査を受けることは可能なのですね。

【インプラント治療後でもほとんどの場合、MRI検査はできる】
現在、デンタルインプラントにはさまざまな種類があります。そのため、全てを網羅してご説明ということは大変難しいのですが、インプラント治療後でもほとんどのケースでMRI検査を受けられるでしょう。
基本的に、一般の歯科医院で行なっている標準的なインプラント治療であれば、まず問題なくMRI検査を受けられます。歯科で用いられるインプラントで使用しているのは「チタン」という金属です。チタンには磁力がありません。ですので、磁石と電波によって強力な磁場を発生する装置に近づいても大した影響を受けません。
しかしながら、現在用いられているインプラントのすべてがチタンで作られているわけではないというところが注意しなければならないポイントです。
【注意しなければならないインプラントの種類】
MRI検査ができない可能性があるインプラントというのも存在します。
実際には、インプラントオーバーデンチャーと医療用インプラントは十分に注意しなければなりません。
①インプラントオーバーデンチャー
インプラントオーバーデンチャーという言葉は、聞きなれない言葉かもしれません。
どのようなインプラントかというと、入れ歯のような取り外し式の上部構造を装着するタイプのものです。入れ歯とインプラントは、一般的に、磁石によって固定していきます。磁力があるものをMRIの検査時に持ち込むと、装置の故障を招くことがあるため、原則として磁石を使用したインプラントオーバーデンチャーはMRI検査には禁止されています。
しかしながら、インプラントオーバーデンチャーの中にも、磁石を使用しないものもあるのです。この場合は、インプラントオーバーデンチャーでも問題なくMRI検査が受けられます。
そのため、インプラントオーバーデンチャーを使用中でMRI検査を受ける必要のある方は、MRI検査を受けることや使用している装置がどのようなものであるかについて、歯科医院でよく聞いておきましょう。
②医療用インプラント
①のインプラントオーバーデンチャーも歯科で使用される「デンタルインプラント」の仲間ですが、これとは別に「医療用インプラント」というものがあります。心臓・整形・美容外科などで使用されるもので、体の中に埋め込みますが、これらを示すものです。具体的には心臓ペースメーカーや人工関節などです。
心臓ペースメーカーや人工関節が体内に埋め込まれていても、使用している金属や装置の構造などによって、MRI検査を受けられるかどうかは変わります。人工関節のように金属が使われていても、MRI装置や検査自体に影響がないものもありますので、きちんと主治医に確認しておくことが重要です。

【チタンってどんな材料?】
これまででチタンでできた一般的なデンタルインプラントは、MRI検査を受けられることはご理解いただけたかと思います。チタンは金属ではありますが、磁性体ではないため、磁力を用いるMRI検査に悪影響を及ぼすことはありません。
またチタンには、顎の骨と結合しやすいこと、人体に馴染みやすく安全性が高いこと、金属アレルギーのリスクがとても低いこと、 耐久性が高いが高いなどの特徴があることから、歯科医院でのインプラント治療によく用いられるようになりました。
このように安全なチタンですが、注意しておかなければならないことは、多くはありませんが、チタンにアレルギーを持っている方もいらっしゃるということです。
つまり「金属アレルギーの可能性が全くないというわけではない」ということです。
チタンにアレルギーがないか分からずに心配だという方は、事前にパッチテストなどの検査を受けておくことがいいでしょう。
【インプラント治療をしていることでMRI検査が断られてしまったら】
インプラント治療をしていても、チタン製のものであればMRI検査は受けることができます。
しかしながら、インプラントを勘違いされていたりして断られてしまうこともあるかもしれません。そのような場合の対応をご説明しておきます。
①上部構造のみを外す
インプラントが入っているということで断られた場合は、インプラント治療を受けられた歯科医院で上部構造を外してもらうとMRI検査を受けることができます。
骨に埋め込まれているインプラントの本体が、チタンなどの磁力を持たない金属である場合、被せ物の部分の上部構造のみを外すことでMRI検査が受けられます。磁石を使っていないタイプのインプラントオーバーデンチャーも同様です。
ただ、これはスクリュー固定式のインプラントに限られます。セメントで固定しているインプラントの場合は上部構造を外すことはできませんのでご注意ください。インプラントを外すように指示をされた場合には、インプラント治療を受けた歯科医院で上部構造のみを外してもらうのがいいでしょう。
②チタン製のインプラントであることを伝える
デンタルインプラントが金属製であるからとのことでMRI検査を断られた場合は、チタン製であることを伝えましょう。画像検査をする医療スタッフであれば、チタン製の医療機器がMRIに悪影響をもたらさないことを知っているので対応してくれることでしょう。
③歯科医師に相談する
自分が入れているインプラントが分からなかったり、どのようなものか忘れてしまった場合、MRI検査を受けていいか分からない場合は、インプラントを埋入した歯科医院に尋ねるのが一番早いでしょう。インプラント治療を受けた歯科医院・歯科医師であれば、使用したインプラントについて詳しく知っていますし、MRI検査を受けても問題がなければ、その安全性などを担当の先生に伝えてくれるはずです。
あやふやなまま自己判断してしまうと、思わぬ事故につながることも十分にあります。MRI検査を受ける前には、自己判断だけでなく、トラブルを防ぐためにも事前に歯科医師に相談することも重要です。

【OCEAN歯科からのメッセージ】
インプラント治療を受けていても、基本的にはMRI検査は受けることができます。しかし、まれに例外はありますので、自己判断ではなく歯科医院で確認するのがいいでしょう。
歯科のインプラントとMRI検査の関係について困っていたり、相談したいことがあればお気軽にスタッフまでお声がけください。
2024年2月21日
歯ぐきに何か「できもの」ができたことはないでしょうか?
ニキビのようなもので、最初は口内炎かな?とか気のせいかな?と思っていても、プクッと膨らんでいるのに気づくはずです。
これは「フィステル」というもので、歯ぐきにできてしまったできもののことです。
今回は、このフィステルについて、できてしまう原因から治療法に至るまでをご説明していきます。
【フィステルって何?】
フィステルとは、歯ぐきにできるできもので、日本語で「瘻孔(ろうこう)」と訳せるものです。内歯瘻(ないしろう)やサイナストラクトと呼ばれることもある症状です。見た目は、お顔にできるニキビに似ていますが、その中身は全く異なります。一般的なニキビと同様に、黄色く見えるかもしれません。それは膿(うみ)がたまっているからです。
その膿がどこから発生したかということが一番の問題です。

【口内炎とは違うの?】
結論から言うと、口内炎とフィステルは全く違うものです。
その原因から具体的な症状に至るまで、さまざまな違いが見られます。
フィステルの原因は、主に歯や歯ぐきの中に存在していますが、口内炎の多くは、歯ぐきの表面に細菌感染が生じたものです。鋭い食べ物や歯ブラシで歯ぐきを傷つけたり、入れ歯のパーツなどで歯ぐきを傷つけることによって口内炎ができます。
そのため、口内炎では強い痛みが生じやすくなっていますが、だんだんと傷が治っていくとそうした症状も消えていきます。もちろん、口内炎の原因となる入れ歯や矯正装置による物理的な刺激が原因となっている場合は、それらを適切に調整することが必要です。
口内炎が再発し続けないように、正しい調整をしていかなければなりません。
【フィステルの原因】
フィステルが歯ぐきにできる原因はさまざまなものがあります。
歯ぐきにできたできものは、あくまで膿の排出場所でしかありません。元をたどると、必ず感染源となるものが存在しています。
以下に、主な原因を詳しく説明していきます。
①虫歯が進行してしまった
虫歯が進行するとどうなるでしょう。小さかった虫歯がどんどん大きくなって、歯の神経まで感染が広がり、歯の根っこの中にも汚染が進みます。その状態を放置していると、歯の根っこの中部の細菌や汚れが歯の根の先に漏れ出て、膿のかたまりを形成します。専門的には根尖性歯周炎と言いますが、フィステルはその症状の一部と考えられます。
②歯の根っこが折れてしまった(歯根破折)
なんらかの原因で歯の根っこが折れてしまった場合もフィステルができることがあります。
外傷を受けたり、歯ぎしりによる力によっても歯の根っこが割れることがあり、フィステルの原因となることがあります。
歯の根の割れた部分で細菌感染が起こり、その影響が歯ぐきにまで広がるのです。
③根管の中が再び感染してしまった
過去に歯の根の治療(神経の治療)を行った歯が再び感染してしまうことによって、フィステルが形成されることがあります。
④歯を打撲した(転んで打った)
スポーツなどをしている時や転んで歯を強打した際、その場では特に症状がなくても、後にフィステルが形成されることがあります。これは歯を打った際の強い衝撃によって、歯の神経に炎症が生じた結果です。
「歯が折れたり欠けたりせずに良かった」と安心しているかもしれませんが、見た目には何の損傷も受けていないのにも関わらず、神経と血管で構成されている歯髄(しずい)には炎症が起こ流のです。何もせずそのまま放置することで、細菌感染が生じるケースもあります。
そうなると、むし歯を重症化させた時と同じように、フィステルが歯ぐきに形成されます。
【フィステルを放置するとどうなるの?】
フィステルは歯ぐきのできものもありますが、それと同時に、瘻孔と呼ばれる穴でもあります。
ですので、たまった膿は気づかなくても定期的に排出されています。
そのため、一時的に症状が自然と改善したからといって安心して何もせず放置していると、症状がどんどん悪化していきます。根本的な原因が解決していないからですね。
フィステルの原因は、上でご説明しましたように膿が排泄されている部分ではありません。ほとんどが感染した根管やその周囲の炎症によるものです。
根本的な原因を取り除かずに、大丈夫だろうとフィステルを放置すると、痛みや腫れといった症状が強くなるだけでなく、最悪の場合は原因となっている歯の抜歯をしなければならないケースも少なくはありません。
一見良くなったからと安心は禁物です。
フィステルができたら、すぐに歯科医院でチェックしてもらうのをおすすめします。
【フィステルを治療するには?】
フィステルの治療は、その原因に応じて異なります。
以下に、一般的な治療法をご紹介していきます。
①歯の根っこの治療(根管治療)
むし歯が歯の神経にまで達した場合や、一度神経の治療をした歯などに行う治療方法です。
根管治療をしっかりと行うことで、歯ぐきの腫れや炎症、フィステルの症状を改善したり予防することが可能になります。歯の根の中の感染部位の清掃をして、神経の代わりとなる薬を詰めて終了となります。この治療法は、歯の保存と痛みの軽減に非常に効果的な方法です。歯の根の治療を行った後は土台を作って被せ物をつけていきます。

②歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)
歯の頭(上)ではなく、根っこの方(下)からアプローチして、フィステルの原因となっている細菌や汚染物質を取り除く治療法です。歯の頭の方からアプローチする根管治療が行えない、あるいは根管治療による効果が認められない場合に限って行います。上記の治療がうまくいかなかったり、根っこが治療しにくい形をしているときなどに用いる方法です。
麻酔をして歯ぐきをメスで切開して、歯の根っこの先端と膿の塊を外科的に摘出する処置となるので、通常の歯の根っこの処置とイメージは異なります。
③ヘミセクション
ヘミセクションとは、下顎の奥歯のような根っこが2本ある歯の片方だけを外科的に切除する方法です。根の治療でも治癒する傾向が見られないことが条件です。歯の根だけでなく、歯冠(歯の頭の部分)も半分、取り除くことになります。歯を丸ごと抜くのではなく、感染源となっている歯根側だけ切除するので、奥歯としての機能をある程度は残すことができます。
③抜歯
①~③の治療が難しい場合や歯の根っこが折れてしまっている場合、その歯を残すと症状がさらに悪化してしまう場合など、どうしても歯が残せない理由がある場合に行います。
歯を抜くのに抵抗がある方もいらっしゃるとは思いますが、周りの歯や口の中の健康を守るためには必要な処置となります。放置することでますます状態は悪化しますので、早めに決断するのをおすすめします。
【OCEAN歯科からのメッセージ】
フィステルは歯ぐきにできるできものですが、お肌にできるニキビのようには治療することはできません。フィステルの原因となっている感染源をしっかり取り除くことによって治ります。単に「歯ぐきのニキビ」という感覚で軽視していると、歯を失うことになるだけでなく、感染がさらに広範囲に広がるリスクも生じるため、十分にご注意ください。
血液サラサラのお薬を飲んでいるときに注意すること
2024年2月13日
健康上の問題から、医科の病院にかかっていていろんな薬を飲んでいることもあると思います。ご自分が飲まれている薬について、どのような効果があるかをしっかり把握されているでしょうか?
薬の中には、血液がサラサラになる作用があるものもあります。全身の健康のためにその薬を飲んでいる場合でも、歯科治療の際には特に気をつけなければならない場合もあります。
今回は特に、その薬の作用と歯科治療に際して注意するべきことについてご説明していきましょう。
【血液サラサラの薬ってどんなもの?】
血液をサラサラにする薬は抗血栓薬(こうけっせんやく)というもので、血をサラサラにしたり、血小板が働きにくくなるために血が固まりにくくする薬のことです。実際に血液をサラサラにする薬を服用されている方は、脳梗塞・心筋梗塞・不整脈・心臓手術後などの患者さんが予防や治療のために飲んでいる方でしょう。

【血のかたまりができるとどうなるの?】
皆さんのからだは至る所に血管が巡っています。手を少し切っても、口の中の粘膜を少し傷つけても簡単に出血しますよね?その血管をふさいで詰まらせてしまう血のかたまりのことを血栓といいます。
血管の中にこの血栓ができてしまうと、血管が詰まって循環の不全が起こる血栓症という病気になってしまいます。血栓が脳に飛ぶと脳梗塞、心臓に飛ぶと心筋梗塞、肺に飛ぶと肺塞栓症(エコノミー症候群)となります。これらは一度は聞いたことのある病気ではないでしょうか?
血栓症の原因には下の3つがあります。
①血管によるもの
動脈硬化によって血管が固くなってしまうと、血液の流れが悪くなり血栓をできやすくなります。
②血流によるもの
飛行機などで長時間同じ姿勢をしていること等、血液の流れが悪くなることによって起こるもので、肺塞栓症(エコノミー症候群)などが代表的です。
③血液によるもの
通常より固まりやすい血液では血栓ができます。高血圧・糖尿病・高脂血症などの慢性疾患により、血栓が作られやすいです。ピル(女性ホルモン剤)も血液を凝固しやすい成分が含まれるため、血栓を引き起こす原因になることがあります。
【血液をサラサラにする薬の種類】
血液をサラサラにする薬は、大きく分けて、2つに分類されています。
それは、抗血小板薬と抗凝固薬というもので、病気により使い分けられています。
具体的な商品名は下の通りですが、聞いたことのある名前もあるのではないでしょうか?
①抗血小板薬
・バイアスピリン®︎、バファリン81®︎、パナルジン®︎、チクロピジン®︎、プラビックス®︎、プレタール®︎、ペルサンチン®︎、アンギナール®︎、アンプラーグ®︎、エパデール®︎、ロトリガ®︎、ロコルナール®︎、ドルナー®︎、プロサイリン®︎、オパルモン®︎、プロレナール®︎、エフィエント®、ブリリンタ®
②抗凝固薬の商品名
ワルファリン®、プラザキサ®、イグザレルト®、エリキュース®、リクシアナ®
【血液をサラサラにする薬を飲んでいる患者さんが注意すること】
どのような病気のためにどのような薬を飲んでいるかを正しくお伝えください。血液をサラサラにする薬を飲んでいると歯科の治療に注意が必要になる場合もあります。
もしも、歯科医院のスタッフに何も伝えないまま抜歯などの出血する処置をした際に、血が止まらなかったりして危険だったりとさまざまな問題があります。
もしも血液をサラサラにする薬を飲んでいる患者さんが抜歯をする必要があるときには、適切な止血処置を行う必要があります。もしもの時の出血に備え、しっかりと準備して抜歯などの処置を行和なければなりません。
また必要に応じて、血圧や脈拍等を確認しながら行うこともあります。
このように、薬を飲んでいることによって、いろいろなことを考えなければなりませんが、面倒だからといってご自身の判断によって薬を中止することは危険です。ですから、勝手に判断をして中止することは、絶対にしないでください。
かかりつけ歯科医院での抜歯が難しい場合は、総合病院や大学病院の口腔外科で抜歯を行ったりとご紹介をします。
【飲んでいる薬は歯科医院に報告をしましょう】
初めての歯科医院を受診する場合には、問診票などで飲んでいる薬などを記入してもらいますので、どのような薬を飲まれているか歯科医院も把握することができます。しかし、歯科医院にずっとかかっていて、途中から医科の病院で何らかの薬を処方された場合、歯科医院は把握することができません。ですので、血液サラサラの薬だけでなく、何か新しい薬を処方された場合は歯科医院のスタッフに教えてください。
普段、治療中に何気なく使用している麻酔薬や処方する薬の中には、医科で出された薬との飲み合わせや処置上の注意を必要とすることもあります。どのような薬であれ、個人的に判断してしまうのは危険です。

【OCEAN歯科からのメッセージ】
医科の病院から指示された薬を飲んでいても、歯科治療とは関係ないだろうと思っていた方もいるのではないでしょうか?どのような薬であれ、歯科医院スタッフへお伝えください。
くれぐれも自己判断で薬を飲んでいるのに何も言わずに歯科治療を受けたり、医科の先生に確認なしに薬を中止するようなことはやめましょう。
服用している薬をお伝えいただくことで、全身の状態を含めて歯科医院が状態を把握することもできます。大きなトラブルにならないためにも新たな薬を飲むようになったら、スタッフまでお伝えください。
「TCH」がもたらすお口のトラブル
2024年2月6日
無意識に歯を接触させる癖というものがあります。
専門的にはTCHといい、Tooth Contacting Habitの略で上下歯列接触癖というものです。
そんなことしてないよと思うかもしれませんが、意外にしている人が多いものです。
私たちは毎日、食事でかんだり飲み込んだり、会話をしたりなどで歯を接触させています。その接触する時間というのは瞬間的なもので、合計しても1日20分にしかならないと言われています。つまり、この20分以外で歯を接触させる必要はありません。
ところが、何かに集中している時や震えるように寒い時などはどうでしょう?
無意識に歯を接触させていることはないでしょうか。その他にも歯を接触させてしまうようなシチュエーションはあると思いますが、このような状態を長く続けてしまう癖をTCHといいます。
すごく弱い力で歯を接触させていたとしても、TCHがある場合は歯や歯ぐき、顎の関節や周りの筋肉に余分な力を加え続けていることになります。
【TCHはどんな時にしていることが多い?】
歯ぎしりや食いしばりもTCHの一種と考えていくとイメージしやすいかもしれません。
厳密には、もう少し軽い症状のことを示しますが、パソコンやスマートフォンを見ていたり、操作してる時などにも起こりやすいです。また、コンピュータゲームや勉強や読書をしている時も多いでしょう。あとは、下を向いて集中するような料理、工作、手芸などをしている時も多いかもしれません。また、緊張する場面でもよく起こりやすいと言われています。人前で発表しなければならない時や苦手な人と会うときは無意識に行なっていることも多いでしょう。
【TCHがあるときはどうなっているの?】
TCHがあるときは、顎を動かす筋肉が縮んで、歯や歯ぐき、顎の関節に力がかかり続けることになります。その加わっている力は軽く触れている程度の力から、グッとかみしめるような力までさまざまです。しかし、本人は無意識で行っているため、いつTCHが出ているかに気づきません。
【TCHによって起きる症状】
以下の症状はTCHだけが原因で起こる症状ではありませんが、TCHがあると悪化すると考えられています。
・顎関節症
・歯がしみるなどの知覚過敏症状
・歯がすり減る
・歯が欠ける
・歯がグラグラする
・歯の根っこにヒビが入る、歯の根っこが折れる
・詰め物がとれる、詰め物が割れる
・入れ歯が合わなくなる、入れ歯が壊れてしまう
・歯周病が悪化する
・むし歯が進行する
・頭痛がする
・肩が凝る

【TCHがあるかを確かめる方法】
TCHがあるかはご自分ではなかなか気づけません。
セルフチェックする方法をご紹介しますので、チェックしてみましょう。
このチェックをするときは、背もたれが垂直な椅子に座って行いましょう。背筋を伸ばして座り、正面を向いている状態でやってみてくださいね。
①まずは、目を閉じて上下の唇を軽く接触させてみましょう。
この時、唇を強く合わせないように気をつけてください。
上下の歯はどの状態になっているでしょうか?
しっかりかみ合っていたり、前歯だけがあたっている、奥歯だけがあたっている場合はTCHがあると判断できます。どこあたってなければ、TCHはないと言えるでしょう。
②目を閉じて、上下の唇を軽く合わせた状態にしてください。
そして、意識して上下の歯がどこにもあたらないように離しましょう。
歯と歯があたらない場合は、広く離す必要はありません。
この時にどんなふうに感じるでしょうか?
何も気にならない方はTCHはないと考えていいでしょう。
もしも、唇が閉じているのに歯が離れているのは違和感があったり、この状態を5分以上続けるのは無理だなと感じたり、歯を離そうとすると同時に唇も離れてしまう場合はTCHがあると考えていいでしょう。
③目を閉じて唇を軽く合わせてください。
上下の歯を軽く接触させてみましょう。
この時、どのように感じるでしょうか?
何も気にならなかったり、この状態でも5分以上いられるという方はTCHがありと考えていいでしょう。もしも、歯を接触させていることに違和感を感じたり、10~20秒経過したら顎や口の周りがなんだか疲れるなと感じる場合はTCHはありません。
【TCHがある場合、ない場合】
TCHがないときは、そのままの状態を維持していけばいいでしょう。
しかし、もしもTCHがある場合はできるだけ歯の接触を避けるようにする習慣をつけていく方がいいでしょう。無意識のため、なかなかやめようと思っても難しいところがありますが、減らすための方法をお伝えします。
TCHは病気ではありません。そのため、今すぐに医療機関で治療を受けなければならないというものでもありません。
しかし、無意識に行なっているものですので、意識してやめようとしてもうまくいきません。反射的に歯を離すといった行動をとるような習慣を身につけるのが一番効果的でしょう。
まずは、歯を接触させるということが、からだにとっていい状態ではないことをよく理解しましょう。その次に、TCHに気づいた時には、接触している歯をすぐに離すという行動を身につけましょう。「歯を離す」と書いた紙などを家の中のいろんなところに貼るのも効果的です。スマートフォンのリマインダーに設定して、定期的に思い起こすのもいいかもしれません。TCHは無意識にしているので、その紙やリマインダーを見た瞬間に歯を離してリラックスすることを心がけましょう。
このようにしていると、歯を接触させていることに自分でも気づくようになってきます。そうすると、紙やリマインダーを見ずとも歯を離すようになれます。もしも歯が接触していても、それに気づくまでの時間が今までよりも短くなるでしょう。最終的には、歯の接触に気づく前に無意識に歯を離せるようになっていきます。

【OCEAN歯科からのメッセージ】
今回は、上下の歯が接触するTCHについてご説明しました。
多くの方によく見られる習癖なので、十分に注意してください。
もしもTCHの症状の悩まされている方は、スタッフまでお気軽にご相談ください。TCHを単なる癖だと思っていると、思いもよらない深刻な症状が現れる場合もあります。少しでも気になる点があれば早めにやめるようにしていくのがいいでしょう。