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麻酔薬の効きやすさ

2024年5月25日

歯科医院で処置をする際に必要となってくる麻酔薬。治療時の痛みを堪えて治療するのは大変ですので、痛みを伴う治療の場合は必ず行います。麻酔はいつ行っても効果は同じだろうと思われるかもしれませんが、その効きやすさには同じ人であっても状態に応じて異なります。

今回は麻酔の効きやすさの違いについてご説明していきます。

 

【麻酔薬はどのように効くのか?】

歯科治療をするためには、麻酔薬を効かせて痛みがない状態で処置を行う必要があります。痛みのある状態で治療していくのはかなりのストレスであるため、そのままの状態では治療をすることができません。そのため、治療をする際には麻酔を十分に効かせていく必要があります。

では、麻酔薬というのはどのように効いていくのでしょうか。

実は、麻酔薬というのは、歯に痛みを伝える神経を直接狙って麻酔の注射をしているわけではないのです。麻酔を効かせるためには、まずは麻酔薬を歯ぐきに注射していきます。注入された麻酔薬は、歯ぐきから歯槽骨と呼ばれる顎の骨の中に浸透していきます。歯は顎の骨の中に埋まっていますから、浸透してきた麻酔薬が歯の根っこに到達して、そこでようやく歯の神経に麻酔が効き始めます。このように、麻酔を打った部位と実際に効果が現れる部位が同じではなく離れています。そのため、麻酔の注射をしても、もしも麻酔薬を注射した部位から歯に痛みを伝える神経までのルートで何かしらの障害がある場合は麻酔が効きにくくなってしまうのです。

では、どんな場合に麻酔が効きにくいのでしょうか。次に、麻酔薬が効きにくくなる障害についてご説明していきましょう。

 

【どんな時に麻酔薬が効きにくいのか?】

麻酔を使うタイミングというのは、2種類あります。

ひとつは痛みなどの症状が強くて、麻酔をしないと治療ができない場合です。

もうひとつは、抜歯やむし歯の治療のように、処置の前は症状がなかったり強くなくても、処置をする際に痛みが強く出ることが予想される場合です。

痛みがある場合というのは、強い炎症を伴っている状態です。そのようなとき、組織は酸性に傾いています。麻酔薬はアルカリ性ですので、炎症を起こしている酸性の組織に麻酔薬を作用させてもそれが中和されてしまいます。その結果、麻酔の効果が薄れてしまうのです。

つまり、炎症が強いほど組織は酸性に傾いていて、麻酔薬の効き目が出にくくなってしまいます。

「違和感を放置していて、だんだんと痛くなった。もう我慢ができないからどうにかしてほしい。」と来院される方がいらっしゃいます。しかし、そのような場合は炎症が強いことが多く、最も麻酔が効きにくい状況です。そのため、その日に処置をせず、消炎鎮痛薬などを処方して炎症がある程度治ってから処置を行います。

 

【骨の質によっても麻酔の効果が違う】

麻酔薬の効きやすさは、炎症以外にもさまざまな条件によって異なります。実際には、骨が薄い人と厚みがある人では効き方に差があります。また、骨密度が高かったりするのも麻酔薬が浸透しにくい一つの原因です。

骨の中というのは2層の構造になっていて、表面は緻密で硬い皮質骨、中の方は疎な海綿骨でできています。硬い皮質骨に対しては麻酔薬は浸透しにくいため、この皮質骨が厚い場合は麻酔が効きにくいかもしれません。上顎に比べて下顎は骨が厚いため、下の歯の方が麻酔薬がなかなか効きにくい傾向にあります。特に下顎の奥歯などは、とても分厚い骨に覆われているため麻酔が効きにくいのです。

歯の神経は顎の骨の中を通り、歯の根っこの先から入り込んでいますので、骨の外から麻酔を効かせようと思うと骨が厚いほど緻密であるほど麻酔が効きにくいということです。

親知らずは口腔内でも、1番硬く分厚い骨に覆われています。そのため「下顎の親知らずを抜歯するときに麻酔が効きにくかった」というのは1番麻酔の効きにくい場所であるためであり、比較的起こりうることなのです。ですので、親知らずに違和感があったり、いずれ抜こうと思っている方は、できるだけ炎症や痛みが強くなる前に処置を受けることをおすすめします。

 

 

【飲酒の習慣や内服薬がある場合】

普段からお酒を飲む量が多かったり、抗うつ薬や鎮痛剤を常用している場合なども、麻酔が効きにくくなります。麻酔薬などの化学物質は、肝臓で分泌される酵素の働きにより分解されます。お酒に含まれるアルコールや注射、内服薬に含まれる成分も、肝臓で分解されている化学物質です。そのため、普段からお酒を飲む量が多かったり、抗うつ薬や向精神薬、鎮痛剤を長期間服用している方は化学物質を分解する酵素が増えて、分解速度が速くなります。

歯科治療時に注射した麻酔薬も体内で速く分解されるため、通常よりも効きにくくなってしまいます。このように、薬によっても麻酔薬の効果に変化が出ることもありますので、抗うつ薬や鎮痛剤に限らず、常用している内服薬がある場合は、お薬手帳を常備して受診されるのが望ましいでしょう。

また、以前麻酔が効きにくかった経過がある人、麻酔でアレルギー反応が出た経験がある人は、治療前に歯科医師にご相談ください。

 

【その他の理由】

麻酔薬の種類と患者さんの体質などの相性も少なからずあります。麻酔薬の種類によって効きやすかったり、効きにくかったりする場合もあります。

また、歯科医院での治療に不安があり、緊張している場合は麻酔が効きにくいことがあります。

以前、治療で痛い経験をしたりトラウマがあるような方は、治療に対して不安が強くなると、それほど強く感じない痛みに対しても敏感に感じてしまうことがあります。

意識するほど痛みに敏感になるため、麻酔前に深呼吸したり、できるだけリラックスするようにしましょう。このような場合は歯科医院のスタッフに、治療に対する不安やトラウマを予め話しておきましょう。可能な範囲で緊張を和らげたり、配慮をすることもできます。

その他の麻酔が効きにくくなる理由として、体調不良や睡眠不足などが挙げられます。このようなときは、麻酔が効きにくかったり、普段感じないような違和感を感じることがあります。無理して麻酔を受け処置をすることによって、普段は起こり得ないような思いがけない症状が出ることもあるかもしれません。

麻酔が効きにくくなり麻酔量が増えたり、麻酔後に気分が悪くなることもあるので注意しましょう。体調が悪い場合は無理せず、体調を整えてから後日、治療を受けることをおすすめします。

 

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

このように、麻酔薬というのはいつでも誰にでも同じように作用するものではありません。その方の体質や炎症の状態、体調によっても作用の効果が異なるのです。

歯科の麻酔は全身に効くのではなく局所に効くものです。しかしながら、麻酔の効果にはさまざまなことが影響してきますので、十分に配慮していく必要があります。

もしも何か気になることがあれば、処置の前に必ずご相談ください。

乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきたら

2024年5月18日

乳歯が少しグラグラしてきたと思っていたら、乳歯が抜ける前にその後ろや横から永久歯が生えてきてびっくりされた経験はないでしょうか?

「乳歯は成長とともに時期がくれば自然と抜けて、新しく永久歯に生え変わるもの」と思っている方も多いかもしれません。しかし、実際には、乳歯が抜ける前に永久歯が生えてくるケースもあります。今回は、乳歯が抜けないのに永久歯が生えてきてしまったらどうすればいいのか、そして、歯並びにはどんな影響があるのかについてご紹介します。

 

【乳歯が抜けて永久歯が生える仕組み】

まずは乳歯が抜ける仕組みについてご説明します。

乳歯は、おおよそ6才頃から徐々に永久歯へと生えかわり始めます。乳歯はある程度の年齢になったから抜けるのではありません。乳歯が抜けるには、乳歯の下にある永久歯の成長が関係しています。

顎の骨の中には永久歯の卵というべきものが埋まっています。これは乳歯の下にあるのですが、レントゲン写真で確認することができ、顎全体のレントゲン写真を撮ることで、全ての乳歯と将来生えてくる永久歯の状態を見ることができます。

卵のような状態であった永久歯が成長ととも大きくなると、その上にある乳歯の根っこを少しずつ溶かし始めます。この結果、乳歯は根っこが少しずつ短くなってグラグラし始めます。その状態が続くと乳歯が抜けて、その下から永久歯が顔を出しくるのです。

 

【乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきたらどうしたらいいの?】

乳歯が抜ける前に永久歯が生えてくるというのは、実は珍しいことではありません。一番最初に生え変わりが起こる下の前歯は、グラグラしているのに抜けず、乳歯の後ろから重なるように永久歯が生えてくることがよくあります。

一番初めに生えてくる永久歯がそのようなことになったら、どうしていいか分からない保護者の方も多いかもしれません。乳歯も抜けないし、永久歯の位置もおかしくなってしまうのではないか?と心配なことでしょう。この場合、乳歯のグラグラの程度(動揺している程度)によってすぐに歯科医院を受診した方がいいのか、経過観察をしていてもいいのかが決まります。

もしも乳歯がかなりグラグラしているのであれば、様子をみていても大丈夫なケースがほとんどです。このような場合は、しばらくすると乳歯が抜け落ちることが大半です。乳歯が抜けた後のスペースに向かって、後ろから生えてきた永久歯が舌で押されてきて移動します。生えかけの永久歯の位置はそこで決定しているのではなく、萌出とともに変わってきます。ですので、乳歯のスペースがあけば、永久歯はそこに動いていきます。

しかし、乳歯がグラグラしていない場合や多少グラグラしていても、すぐには抜ける気配がないのなら歯科医院に相談に行きましょう。永久歯が生えてきたのに乳歯がまったくグラついていない場合や永久歯が生えてきて数ヶ月経っても乳歯が抜けない場合は、そのまま放置はせずに歯科医院を受診した方がいいでしょう。このように乳歯がなかなか抜けないケースでは、永久歯の卵がある位置が乳歯の真下ではなく、ズレた位置にある可能性があります。その場合はいくら待っても乳歯の根っこが溶けることはありません。そのため、乳歯は自然には抜けない可能性があります。

 

 

【抜けない乳歯をそのまま放置すると何が問題?】

永久歯が生えてきても、乳歯が抜けないままで長期間放置しておくとどうなるのでしょうか?歯の数が多くなっただけでしょうか?

実際には、歯の数が通常より多いだけではなく、問題が起こってきます。これはどこの部位の永久歯にでも起こる可能性があります。

①永久歯が虫歯になりやすい

乳歯と永久歯が重なって生えている状態では、すぐ横や後ろにある乳歯が邪魔になり、永久歯を満足にみがくことができないことがほとんどです。歯というのは生えたばかりが一番むし歯になりやすい状態です。そのため、生え始めの時期にうまくブラッシングすることができないと、生えたての永久歯がむし歯になるリスクがとても大きくなります。

②歯並びが悪くなる

乳歯が抜けず、そのまま永久歯が生えてきたのに長期間放置することで、永久歯は正しい位置に動いてこなくなります。乳歯のそばで、重なるように永久歯が生えてきても自然と永久歯が正しい位置に移動するのは、あくまでも永久歯が生え始めた早い段階で、乳歯が抜けた時に限ります。

もしも永久歯が生えてからも年単位で乳歯が抜けなかったような場合は、数年後に乳歯を抜歯したとしても、この時点で歯並びが乱れている状態であり、そのまま自然には改善されない可能性が高くなります。このことからも分かるように、永久歯への生え変わりのタイミングというのはきれいな歯並びにとって重要になるのです。

 

【乳歯がとても早く抜けてしまった場合は大丈夫?】

乳歯が長らく口の中にあり続けるのも問題ですが、逆に乳歯がむし歯になったりして治療を受け、本来抜ける時期よりも早い段階で抜けてしまっていた場合なども注意が必要です。このようなケースでは、歯がなくなった部分を埋めようとするかのように、隣の歯が倒れてきて移動してくることがあります。結果として、あるべき乳歯の分だけのスペースが歯列になくなり、永久歯が本来生えるべき正しい場所に生えることができなくなってしまいます。

 

【永久歯への生え変わりをチェックするタイミング】

それでは、乳歯から永久歯に正しく生え変わるためにどのようなことに気をつければいいのでしょうか。もちろん、毎日のご自宅でのケアの時に保護者の方が気をつけて見ていくことも重要です。しかし、保護者の方が気づかない時や分からない場合もあります。

乳歯から永久歯への生え変わりをきっかけに、歯並びが悪化してしまうことがあるため、乳歯が永久歯へと生え変わるタイミングには、歯科医院での口の中のチェックを定期的に行うことをおすすめしています。歯科医院での定期検診によって、適切な時期に抜けないままであった乳歯を抜歯して、正しい位置に永久歯が生えてくることもできます。

 

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

乳歯が抜けなくてもいずれ抜けるだろうと思っていた方も多いかもしれません。しかし、乳歯は永久歯が正しい位置に生えてくるようにガイドしてくれる役割でもあります。乳歯が適切な時期に抜けて、その後に永久歯が生えてくるのは決して当たり前ではありません。何らかの原因によって乳歯が残り、永久歯が生えてこれない状態にならないよう、定期的に観察していくことが重要です。ぜひ定期検診をうまく活用して、正しい永久歯への生え変わりに導いていきましょう。

歯科でのレントゲンとCTの違い

2024年5月11日

歯科医院で撮影するレントゲンとCTですが、何がどのように違うかご存知でしょうか?

いずれも目に見えない内部組織を撮影するということは同じですが、撮影する目的や写すのが得意な分野、被曝する量、費用の面などで様々な違いがあります。今回は歯科医院で撮影するレントゲンの種類やCTについてご説明していきます。

 

【歯科医院で撮影するレントゲン】

①パノラマエックス線写真

顎全体の撮影をすることができ、口の中を全体的に、ある程度把握することができます。初めて歯科医院にかかるときや、治療後などからしばらく期間があいて口の中の変化が予想される場合などに撮影します。口の中全体の状況を知ることができるため、一部分だけでなく全体的な口腔内の状態をご説明することが可能になります。

それでは、歯科で撮影するのはパノラマエックス線写真だけでいいのでは?と思われるかもしれませんが、この撮影が全てがに対応しているというわけではありません。口腔内全体の様子を診るのには適していますが、一部分を細かく写し出したい場合には②に示すデンタルエックス線写真の方が適しています。むし歯など細かい部分に関してはデンタルエックス線写真を利用することになります。

 

 

②デンタルエックス線写真

歯科医院で撮影するメインのレントゲン写真です。皆さんもむし歯などを詳しく調べるために、小さなフィルムを口の中に入れて撮影したことがあるのではないでしょうか?

この小さなフィルムで撮影するものをデンタルエックス線写真と言います。このレントゲン写真の特徴は、診たい症状のある歯に焦点を絞って撮影しているので、細かい部分までしっかりとクリアに写し出されています。パノラマエックス線写真では分からなかったむし歯や歯周病の状態などがより詳細に分かるため、正確な診査・診断ができ、適切な治療計画を立てて治療を進めていくことができます。

レントゲン写真では、硬い部分は白く、柔らかい部分は黒く写ります。金属でできた詰め物や被せ物は放射線を通さないので真っ白に写ります。一方で、むし歯になった部位というのは歯の質が柔らかくなるため、その部分が黒く写りむし歯だと判断ができるのです。その他にもデンタルエックス線写真では細かい部位まで歯がどのような状態になっているのかを把握することが可能です。

 

【レントゲンだけでなくCTを撮影する理由】

2種類のレントゲン写真についてご説明してきましたが、口の中全体と細かい部分が分かるなら歯科治療にはこれらのレントゲン写真だけで全て分かるのでは?と思われるかもしれません。しかしながら、レントゲン写真では全てが平面的に写るため、縦方向の疾患や症状を見ることはできません。つまり2D(二次元)的に写るので、3D(三次元)のように立体的な構造というのは分からないんですね。

一方でCTは、立体的に撮影することができます。人間の構造は立体ですので、そのまま内部の状態がどのようになっているのかを写し出すことが可能になります。CTを撮影することで、病巣がどこにあるのか、骨の内部はどのようになっているのか、歯と骨の関係なども含めていろんなことが分かるのです。レントゲン写真に比べて、CTはイメージがしやすく患者様の目から見てもわかりやすい画像で表示されます。

 

【レントゲンとCTは何が違うの?】

レントゲンとCTのどちらもエックス線を使用して撮影していきます。通常のレントゲン写真は一方向からエックス線をあて、体の中を2次元的に画像にしたものです。それに対してCTでは、からだの周りからエックス線をあて、3次元的に画像にするため、より詳しく状態を把握することが可能になります。両者の大きな違いは「二次元で平面的」なのか「三次元(3D)で立体的」かの違いです。

歯科でいう「レントゲン」とは①パノラマエックス線写真と②デンタルエックス線写真のことを指し、CTと区別されています。

 

【CTについて】
CTとは「Computed Tomography」の略であり、日本語では「コンピューター断層撮影」と訳されます。CTはからだの周りに多数の方向からエックス線を照射して、からだから通り抜けてきたエックス線をを機械で読み取り、画像として表示します。また、その画像を重ね合わせることで立体的な画像(三次元な画像)を作り出すこともできます。その結果、まるでからだの内部を見ることができるような立体的なイメージの像を表示することができるのです。

歯科医院では、レントゲンを撮影した上でもう少し詳しい情報を知る必要がある場合にだけ、CTを撮影していきます。通常のむし歯の治療やかみ合わせの状態確認などはレントゲンだけで行います。CT撮影を必要とされるのは、インプラント治療を行う前の診断や骨の状態の確認、歯の根っこの治療における診断、お子さんであれば歯が変な方向に生えてきそうな場合の位置関係の把握などにも使用します。縦方向だけではなく、水平方向も正確に判断できるCTを使用することで、正確な診断と治療を行うことが可能になります。

また、口腔外科で顎関節の手術が必要な時なども詳しく調べる必要があるため、CT撮影を行うこともあります。

 

 

【OCEAN歯科からのメッセージ】

正しく診査・診断をするためには、症状や将来的な予測をするためにもレントゲン写真やCTを使い分けていくことが重要です。レントゲン写真よりも詳しい情報が知りたいときにはCTを、むし歯がどのような状態なのかといった部分的な情報を知りたいときにはレントゲン写真をというように、患者様の状態に応じて使用していきます。最適な診査を行なって、適切な治療をしていきましょう。

金属アレルギーがある場合の詰め物・被せ物

2024年5月4日

金属アレルギーをお持ちの方は、腕時計やアクセサリーなどの身に付けるものには気をつけていらっしゃることでしょう。女性の方だとピアスで皮膚がかぶれたりしたりすることで気づくこともあるのではないでしょうか。金属アレルギーは肌につけるものだけでなく、口の中に詰めるものや装着するものも例外ではないため、歯科治療においても気をつけていかなくてはなりません。

今回はそんな金属アレルギーがある人の詰め物・被せ物治療についてわかりやすく解説します。

 

【銀歯が金属アレルギーの原因になる?】

歯科で使う金属には、保険診療と自費診療で使うものがあります。特に保険診療で使っている金属の中で、皆さんもご存知の銀歯があります。

むし歯を治療した後に銀歯を装着することはご存知でしょうが、その銀歯も金属アレルギーの原因になり得ます。昔は、そのようなことはあまり懸念されることはなく当たり前のように銀歯を装着していたかもしれませんが、最近では銀歯で金属アレルギーを発症するケースも認められるようになってきています。そのため、歯科医院側としても十分な注意を払うようになりました。

これをお読みの方の中には「銀歯が口の中に入っているけど何の症状もでてないから大丈夫」と思っている方もいるかもしれません。しかしながら、何十年と銀歯が入っていても突然歯科金属アレルギーを発症することがあるのです。もちろん、治療をした後すぐに反応が出る方もいらっしゃいますが、お口の中の金属は少しづつ溶けています。時間と共に溶け出した微量な金属がからだに蓄積されて、その人の許容量を超えてしまうとアレルギー反応を起こしてしまうのです。

 

【銀歯ってどんなものでできているの?】

「銀歯」は主に金銀パラジウム合金という金属でできていて、強度が強いため歯科の保険診療にて多く使用されています。金銀パラジウム合金の中にはさまざまな金属が含まれていて、具体的には銀や金、銅、亜鉛、インジウム、パラジウムなどによって構成されています。これらの金属のうち、ひとつでもご自分のからだにとってアレルギーとなるような金属があれば、金属アレルギーを発症しかねません。

金属アレルギーの場合、銀歯を装着してすぐに発症することもありますが、使用していく中で銀歯の金属イオンが溶け出してアレルギー症状が現れるケースが多いといえます。ご自分で何の金属にアレルギーがあるのか分かるケースであればいいのですが、分かっていない場合、少し時間が経ってからアレルギーの症状に気づくこともあるでしょう。

 

【歯科治療による金属アレルギーの症状は?】

歯科治療後に現れる金属アレルギーの症状は、ネックレスやピアスのような金属アレルギーとは違い、触れている部分が赤くなったり痒くなったりというような分かりやすい症状ではありません。

歯科治療によって金属アレルギーが起こった際の症状は下記のようなものが挙げられます。

 

①口内炎・舌炎

お口の中に炎症が起こりやすくなり、口内炎が頻繁にできたり、舌に痛みを感じたりする場合があります。

 

②味覚障害

金属アレルギーによって味蕾(舌の表面にある味を感じるための器官)に異常が生じるため、食べ物や飲み物の味を感じにくくなる場合があります。なんとなく味が変に感じるようになった場合には、金属アレルギーの可能性もあるかもしれません。

 

③口元・顔などがただれている

唇や舌をはじめ、お顔などがアレルギー反応でただれてくることがあります。

 

④アトピーのような症状

全身の様々な部分にアトピー性皮膚炎と同じような症状が出ることもあります。

 

⑤掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

手のひらや足の裏などに水ぶくれができたり、膿が溜まったりする掌蹠膿疱症を稀に引き起こすことがあります。

 

⑥頭痛・肩こりなど(不定愁訴)

頭痛や肩こりなど、原因がはっきりしないのになんだか身体の調子が悪く感じるようになることがあります。

 

【金属アレルギーがある場合の対処法】

歯科治療で詰め物や被せ物に金属を使用した場合は簡単には取りはずせません。

そのため、もしも今現在、金属アレルギーがあると分かっているならメタルフリーの材料を使用した治療がおすすめです。メタルフリーの治療とは、名前の通りに金属の材料を全く使用しない治療法です。

具体的にはセラミックやジルコニアなどの非金属の材料を用いて治療していきます。詰め物・被せ物を非金属材料のみで作ると、当然ですが金属アレルギーのリスクがゼロとなります。金属アレルギーが判明している方は、銀歯ではなくセラミックなどを選ぶのがいいでしょう。この際、歯科用プラスチックであるレジンのみを使うという選択肢もあります。しかし、レジンはセラミックなどと比較して、審美性や機能性、耐久性に劣ることから、第一におすすめすることはあまりありません。ただ、経済性を最も重視するのであれば、レジンが最適といえるでしょう。

セラミックやジルコニアは陶材の一種で、劣化や変色がしづらい歯科材料として知られています。見た目は天然の歯のように透明感やツヤがあり、ご自身の歯の色に合わせて色調を細かく調整することも可能ですので、審美性にも優れています。また表面の性状はツルツルしていて汚れがつきにくく、口の中での適合性も高いため虫歯の再発を起こしにくいです。
機能性・審美性ともに優れてい材料であり年詰め物や被せ物にはセラミックやジルコニアもよく選択されます。

ご自分が金属アレルギーの可能性がある時は、口の中に入っている金属の詰め物や被せ物を除去してみるのもいいかもしれません。非金属の材料にすることでアレルギーの症状が治る可能性があります。

 

 

【金属アレルギーを調べるには?】

金属アレルギーかどうか分からず心配な場合は、検査をすることで調べることができます。

最も代表的なものはパッチテストです。

背中に金属を含ませた試薬を貼って、2日後にそれを剥がし皮膚の反応をみます。その後も、貼ってから日数をあけて経過と反応をみるので、数回通うことになります。検査する金属の種類は医療機関によりますが、15~20種類の金属を検査するところが多いのではないでしょうか。

金属アレルギーを調べる検査には、パッチテストの他に血液検査もあります。

このように検査により事前に金属に対するアレルギーが分かっていれば、その種類のものを避けることができます。 もし気になっているようであれば、皮膚科やアレルギー科などで検査することができるのでぜひ行ってみてください。

【OCEAN歯科からのメッセージ】

歯科治療における金属アレルギーは皆さんのイメージと同じだったでしょうか?

歯科治療と金属アレルギーの関係はまだまだ分からないことも多く、研究や調査が続けてられている段階です。
メタルフリー治療の研究も今なお進められており、アレルギーが出にくい素材の開発も行われていいます。金属アレルギーが心配でメタルフリーのセラミックやジルコニアの治療に興味があるという方は、ぜひスタッフまでご相談ください。

初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。

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    10:00~12:30 14:00~19:00
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OCEAN歯科クリニック URAYASU
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