入れ歯が合わなくなる原因とその対処法について
2023年4月26日
こんにちは。OCEAN歯科クリニックURAYASU 歯科衛生士の佐藤です。
毎日使っている入れ歯がなんとなく合わなくてかみにくい、違和感があるなど、入れ歯に関する不具合を感じている方もいるかもしれません。
今回は、入れ歯が合わなくなってしまう原因と、その対処方法についてご説明していきます。
【入れ歯はどのように作るのか?】
何かしらの理由で歯を失っても、見た目を美しく保って(審美性)、食事などでかむ機能などを回復されるために、入れ歯(義歯)治療という選択肢があります。
入れ歯を作成するためにはいろんな手順があります。
まずは、歯科医師による精密な診査と診断が必要です。その後、その診断に基づいて、型取りをして入れ歯を作成していきます。しかし、その時点で入れ歯がピッタリ合うわけではなく、患者さんの口の中でかみ合わせをチェックしたり、強く当たって痛いところがないかなど、細かくチェックしていく必要があります。見た目にも調和しているかを確認していきます。
その後にしばらく使用していただいて不具合がないかも用心深く確認していく作業が必要です。
このように、患者さん一人ひとりの口の中の状態にぴったり合うものを、一つひとつオーダーメイドで作っていき、それを調整して完成となるのです。
このように精密に口の中を再現して、それに合わせた入れ歯を作るため、ある程度の時間が経つと入れ歯が合わなくなってくることがあります。
では、なぜぴったりと合っていた入れ歯が合わなくなってしまうのでしょうか?
【入れ歯が合わなくなる理由】
①歯を支えている顎の骨の量が減ってしまうあまり一般的には知られていないことかもしれませんが、実は、人の口の中は常に変化していて形が変わっているのです。特に、高齢になってきたり、糖尿病などの全身疾患をお持ちの場合は、骨が痩せてきてしまいます。これは、骨の新陳代謝のバランスが崩れていくことによります。
では、骨が減ってくるとどうなるでしょう。
今まで違和感なく使えていた入れ歯の調子が悪くなると感じる方が多くなります。それは、入れ歯と歯周組織の間に隙間ができてしまい、入れ歯がガタつくなどの症状が出て、合わなくなってしまいます。
②摩耗することにより、入れ歯がすり減ってしまった
食べものをかんだりすりつぶしたりするたびに、入れ歯は少しずつ摩耗していきます。
それは短い期間では気付かないくらい少しずつですが、長い期間、毎日入れ歯を使っていると、そのすり減りが顕著になり、かみ合わせが合わなくなるなど不具合が生じてきます。
その頃には、見た目にも歯がすり減ってきたのが分かるでしょう。
③汚れが付くことによって、入れ歯が変形してしまった
入れ歯は自分の歯ではないからとお手入れをしないでおくと歯垢(プラーク)が付着し、やがてそれが歯石になってくっついてしまいます。特に、入れ歯の粘膜と接する部分(ピンク色の部分で、床と呼ばれる部分)に歯石がついてしまうと、それが原因で入れ歯が変形し、合わなくなってしまいます。また毎日の入れ歯のお手入れを放置してしまうと、プラーク内の細菌が増殖し入れ歯の素材を変質させ、変形につながることもあります。
自分の歯ではなくても、入れ歯も自分の天然の歯のように清掃し、メンテナンスを続けることが大事になってきます。
【合わない入れ歯を使い続けるとどうなる?】
入れ歯が合わなくなったにも関わらず「少し違和感はあるけれど、まだ使えるから」「新しいものにするにはもったいたい」「歯医者にいくのが面倒だ」などの理由で、合わない入れ歯を使い続ける方がいらっしゃいます。このように入れ歯が合わないまま使用を続けるのは、本当におすすめしません。
合わなくなった入れ歯を使い続けることで、以下のようなことが起こってくる可能性があります。
・発音しにくくなり、話しにくくなる
・会話で聞き取ってもらえないことが増える
・口の中に痛みが生じる
・頭痛がする
・入れ歯が外れやすくなる
・食事の時にかみにくくなる
・お口の周りにしわができる
・肩こりが生じる
【入れ歯が合わない時はどうしたらいのか?】
①入れ歯を清潔で、きれいな状態にする入れ歯が合わなくなる原因のひとつに「入れ歯の汚れ」があります。
特に毎日のお手入れをきちんとされていなかった方などは、入れ歯専用のブラシや洗浄剤などを使って、徹底的にきれいな状態にしてみましょう。
ここで気をつけなければならないことは、過度に力を入れてゴシゴシと磨くのではなく、丁寧に磨くことを心がけましょう。力いっぱい磨いてしまうと表面に傷がつきますし、最悪の場合は破れたりと破損につながってしまいます。
③歯科医院で入れ歯のチェックをする
入れ歯を作ったかかりつけ医は、もともとの入れ歯の状態をよく分かっています。
ですので、入れ歯を今の口の中に入れ、どのような不具合があってかみにくいのか、合っていないのかをチェックすることで、入れ歯の状態が良くなる可能性があります。
必要に応じて調整や修理を行うと、また以前のようにピッタリと合う入れ歯になるかもしれませんし、あまりに合っていない場合は作り直す場合もあるでしょう。
どちらにせよ、きちんと一度歯科医師に診てもらい、入れ歯の状態を確認してもらうことが1番の問題解決方法です。
③義歯安定剤(入れ歯安定剤)を使用する
「入れ歯は毎日しているので汚れが原因ではないから」と、ご自分で市販の入れ歯安定剤を使用して調整される方も多いと思います。ドラッグストアなどでもテープタイプ、粉末タイプ、クリーム(ペースト)タイプなど、さまざまな状態の入れ歯安定剤が売られています。
一時的には症状が改善するかもしれませんが、長期的にみるとあまりおすすめはしません。
根本的にどのように合ってないかをきちんと見極めていかないと、ずっと痛みや違和感が続くことになってしまいます。
かかりつけの医院で入れ歯の調整をしてもらうことが、結局は1番早く、入れ歯が合うことにつながるでしょう。
【OCEAN歯科からのメッセージ】
このように、入れ歯は一度作ったからといって、その後は何もしなくてもずっとかめるものではありません。毎日のお手入れは必要ですし、自分が歳を重ねることで変化する口の中に合わせて調整していく必要もあります。
少しでも違和感があれば調整して、少しずつ合わせていくことができますので、お気軽にご相談ください。
親知らずについて
2023年4月21日
こんにちは。OCEAN歯科クリニックURAYASU 歯科衛生士の佐藤です。
本日は、いつもたくさんのお問合せをいただく“親知らず”についてご説明します。
親知らず(おやしらず)は口の中で最も奥にある歯で、第三大臼歯(智歯)とも呼ばれます。
親知らずは1番手前の前歯からから数えて8番目にある歯で、永久歯の中で最後に出てきます。
永久歯は通常15歳前後で生えそろいますが、親知らずは10代後半から20代前半の親が知らないうちに生えてくることからその名前がつきました。
すべて生えそろうと上下で4本になります。
必ずしも親知らずが誰でもあるわけではなく、中には親知らずがもともとない人もいます。
あるかどうかの確認のためには、顎全体の状態が分かるパノラマレントゲンを撮影をする必要があります。
【親知らずは抜いたほうがいい?】
親知らずが生えてきたからといって、すべてを抜く必要はありません。
抜いたほうがいい親知らずと抜かなくてもいい親知らずがあります。
【親知らずを抜いた方がいいケース】
①痛みや腫れがある
親知らずは永久歯の中でも一番奥にあり、とても歯みがきが難しい場所にあります。 そのため、虫歯や歯周病にもなりやすく、痛みや腫れが出やすくなってしまいます。
親知らずがみがきにくい理由の一つに、生えている場所が1番奥でみがきにくいのに加えて、ほっぺたが邪魔して歯ブラシの向きや角度が難しいため、歯ブラシがなかなか届かないこともあげられます。
また親知らずが生えてくる方向ですが、真っ直ぐに生えてこないことも多く、斜めや横向きに生えてきて、頭が少ししか出ていないこともあります。
このように、親知らずは歯磨きがしづらいため虫歯や歯周病になりやすい歯となっています。
親知らずが痛い=虫歯になっているんじゃないか?と思われる方も多いですが、親知らずの場合は必ずしも虫歯だから痛みが出ているとは限りません。
親知らずがまっすぐに生えてこないと、前の歯との間にすき間ができ、汚れが溜まりやすくなってしまいます。それにより、細菌が増え、【智歯周囲炎】という炎症を起こしてしまいます。
(【智歯】=親知らず)
智歯周囲炎になると、親知らずの周りの歯ぐきに炎症が生じ、親知らずのあたりに痛みや歯ぐきの腫れを伴います。 さらに炎症が広がると、あごの骨や筋肉の中に膿がたまり、より強い痛みや腫れ、さらには喉の痛みやお口が開けづらくなったりします。
智歯周囲炎は埋まっていない親知らずでも、上の歯との噛み合わせの刺激で起こる場合があります。
②歯並びに悪影響が出ている
親知らずは斜めや横向きに生えてくることが多くあります。
変な向きに生えてきた親知らずは手前の歯をグイグイと押して、気づかない間に歯並びに悪影響を与えることがあります。
最近、前歯などの歯並びが変な感じがするときは親知らずが後ろから押してきているのかもしれません。
③手前の歯を溶かしている
斜めや横向きに生えてきた親知らずが手前の歯を押して、その歯の根っこを溶かしてしまうことがあります。
④腫瘍や嚢胞の原因になっている
親知らずが原因で含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)などの嚢胞や腫瘍ができる可能性があります。
【親知らずを抜かなくてもいいケース】
親知らずが真っ直ぐに正常に生え、痛みや腫れもなく、きちんとかみ合わっている場合には抜歯をする必要はありません。
何も症状がない親知らずを放っておいたらどうなる?
今は特に症状がないけれど、横向きに生えていたり埋まっている場合は注意が必要です。
もしもこのような状態のまま放置していると、親知らずを抜いた方がいいケースでご紹介したような状態になる可能性があります。
必ずしも同じような状態になるわけではありませんが、心配な方は親知らずの状態を歯科医院で一度確認された方がいいでしょう。
【親知らずを抜くときに合併症はありますか?】
親知らずの抜歯をすると、いくつかの合併症が生じる可能性があります。
これらの合併症は、リスク自体を下げることができますが、必ずしも0%にはできません。
・痛みや腫れが出る場合があります
親知らずの抜歯後、一時的な痛みや腫れが出る場合があります。
腫れは一週間ほど続くこともありますので、抜歯のときは、会食などの大事な予定がない時がいいでしょう。
痛みには痛み止めを処方して対応いたしますが、スケジュールも体調も調整して予定を組まれてください。
・感覚麻痺が残る可能性があります
下顎の親知らずの抜歯の場合、親知らずの位置によっては【下顎管】という管の中にある太い神経(下歯槽神経)がとても近いことがあり、処置中にその神経を傷つけてしまうと下唇に感覚麻痺(しびれ)が残る可能性があります。
※このように神経と親知らずが近接している場合、当院で抜歯するのではなく、口腔外科にご紹介することもあります。口腔外科は親知らずの抜歯などを専門で行なっており、設備や器具なども揃っているため患者様も安心して処置してもらえます。
他にも
- 親知らずの大部分が骨の中に埋まっている
- 親知らずの根っこが大きく曲がっている
- 親知らずと骨が癒着している
などの場合は、処置の時間も長く、患者様にもご負担がかかることが予想されるため、口腔外科にご紹介いたします。
【親知らずの抜歯は保険が効くの?】
親知らずの抜歯は、基本的に保険適用となっています。
抜歯手術のみの料金に別途、痛み止めや抗菌薬などのお薬代が必要です。 また、術前の検査として顎全体を見ることができるパノラマX線検査や、必要であればCT検査が必要になる場合があります。
親知らずを残していて良いこと
真っ直ぐきれいに生えている親知らずは、きちんとかみ合っていればそのまま使えますし、他にも利用価値はあります。
例えば、隣の歯が何らかの理由で失われた場合はその代わりになることもできます。
移植(むし歯や歯周病などで失ったところに違う歯を移し入れる方法)をしたり、矯正治療で移動させたりもできます。
また、失われた部分にブリッジをする場合は、土台になる歯(支台歯)としても使うこともできます。
このように親知らずを大切な歯のひとつとして役立てる選択肢もあります。
【OCEAN歯科からのメッセージ】
親知らずは必ずしも抜く必要はありません。
しかし、智歯周囲炎などさまざまな問題の原因になる可能性があります。そのため、親知らずが生えてきたらすぐに抜歯した方が良いと考える人も多くいます。
しかし、親知らずを抜歯するかは、それぞれの口の中の状態や生え方、神経との近接具合などを考慮して決めていきます。
特に、下顎の親知らずは大事な神経の近くに生えているため、生え方によっては顎の骨を削って取り出すような場合もあります。そのため歯科医院での抜歯ではなく、大学病院や専門の口腔外科をご紹介することも多くあります。
抜歯の希望があっても、状況によってはすぐに抜歯を行えない場合もあるため、なるべく早めに受診されることをおすすめします。
自覚症状がなくても、抜歯をした方がいいと判断された場合は、時間に余裕があり、炎症が起こっていないときに抜いておくと安心です。
痛みなどが出る前に、自分の親知らずの状態について、歯科医院で調べてみましょう。
神経を抜いたのに歯が痛む理由
2023年4月15日
むし歯が重症化すると、歯の神経を抜く「抜髄(ばつずい)」という処置を行います。むし歯によって細菌に感染した歯の神経は、残すことは難しいですし、そのまま放置すると歯の痛みがどんどんと強まってしまいます。また、症例によっては神経を抜いた歯であるのに、再び痛くなることもあります。神経をとってしまったはずなのにどうして痛むのだろうと不思議に思われている方もいるかもしれません。
今回は神経を抜いた歯が痛い原因や治療法について、ご説明していきます。
【神経を抜いた歯が痛くなるのはどんなとき?】
「神経を抜いた歯が痛い」時、その症状はケースによっていろいろと異なります。
以下のようにさまざまな症状を示すことがあります。
①食事したり、カチカチとかみ合わせると痛い
食事中、食べ物をかんだ時に歯やその周囲に痛みを感じることがあります。
一般的に、虫歯というのは、かんだりしていなくてもジンジンと痛みますので、そのような症状とは少し違うのが分かるかと思います。かんだ時の痛みも、激痛が走るのか、鈍い痛みや違和感なのか、それぞれ違いがあります。
②歯ぐきが腫れている
神経を抜いた歯の周りの歯ぐきに、腫れがみられることがあります。歯ぐき自体が痛いこともあれば、歯ぐきが膨らんでいたり、違和感があることもあります。
このような腫れの症状は、いろんなケースがあります。
③歯に違和感がある
ズキンとしたり、強い痛みではないけれど、なんとなく歯に違和感がを感じるのであれば、何らかの異常がある可能性があります。歯の神経を抜いているから大丈夫なはず、などと思わずに、一度歯科医院で検査を受けるのをおすすめします。
【神経を抜いた歯なのになぜ痛みが出るの?】
神経を抜いたのに、歯が痛かったり、歯ぐきに違和感や不快感などが生じるのであれば、次のような原因が考えられます。
①歯が割れている
かんだ時に、歯にズキンと鋭い痛みがあるときは、歯の根っこが折れているかもしれません。歯を強くぶつけたり、神経を抜いた後、補強するために付ける土台によって、歯の根っこに負担がかかってしまった場合などに起こることがあります。
歯がどのように割れているかによって対応は異なりますが、基本的には抜歯になります。抜かずにそのまま放置すると、歯ぐきやその周りの骨にまで炎症を引き起こし、状態はどんどん悪化します。
②かみ合わせが合っていない
かみ合わせが合っていないと、神経を抜いた歯でも痛みや違和感を感じることがあります。人間のかみ合わせというのは、髪の毛一本入っていても分かるくらい繊細なものです。かみ合わせが少しでも合っていなかったり高かったりすると、その歯に負担がかかり、歯の根っこの周りの組織にまで刺激が加わります。そのため、歯そのものが痛んでるのではなく、歯の根っこの先やその周りの組織の部分で痛みを感じているのです。
③歯周病による痛み
神経を抜いた歯は、むし歯によって歯の痛みが生じることはありません。しかし、歯周病による痛みは発生します。むし歯をいくら治療しても、歯や歯ぐきのケアがおろそかでは歯周病は進行してしまいます。歯周病が進行すると、歯ぐきに炎症が起こって痛みや腫れなどの症状を引き起こします。この症状は、むし歯による痛みとは違うので、比較的分かりやすいかもしれません。
④神経を抜いた部分に問題がある
歯の神経を抜いた後、歯の根っこの神経が入っていた部分(根管)をきれいにお掃除する治療をしていきます。根っこの神経が入っていた部分(根管)を、針のような細い器具を使って汚れを除去し、きれいに形を整え、薬剤で消毒・殺菌していきます。この治療はもともと難易度は高く、保険診療での成功率は50%程度といわれています。根管の形態によっても、それぞれ難易度が変わってきます。器具が届きにくい形をしているものもあります。このように、何らかの理由で炎症反応などが起きた場合は、神経を抜いた歯が痛む主な原因のひとつになります。
⑤根管の中に膿が溜まっている
根管の中に膿が溜まっている場合も、歯に痛みを感じることがあります。歯の根の中の病変ですが、痛みを感知しているのは歯の神経ではなく、歯の根っこの周りにある組織です。治療としては、根管の中を細くて繊細な器具を使ってきれいにお掃除する処置をしていきます。
もしも、そのまま放置してしまった場合は、歯の根っこの先から細菌など出て、新たに病気を発症します。
【神経を抜いた歯が痛い場合の治療法】
神経を抜いた歯が痛い場合の治療法には、いくつかの選択肢があります。
①神経が入っていた管(根管)のお掃除
根管治療が不十分で、再度、細菌による感染や痛みの再発などが生じている場合は、自費による精密な根管処置をするのもひとつの手です。
自費による治療にはなりますが、時間や使える器材・お薬に限りがないため、治療の精度が高く再発のリスクが低くなります。抜歯をしたくない方、質の高い治療を受けたい方、歯を長持ちさせて一生ご自身の歯で食事を楽しみたい方はおすすめです。
根管というのはとても細く、暗く、複雑に入り組んだ構造をしています。標準的な治療ではなく、歯科用顕微鏡であるマイクロスコープを用いた精密根管治療なら、視野を拡大できるだけでなく、根管内もライトで明るく照らせます。そのため、腐敗した神経など汚染物質の取り残しも少なくなります。根管内がきれいに清掃され、痛みも自然と消失し、歯の根っこの周りの症状も徐々に改善されていくことでしょう。
②歯周病治療
神経を抜いた後の痛みが歯周病によるものであれば、歯周病の治療が必要となります。
状態により対応方法はさまざまですが、歯ぐきに痛みや腫れがあったり、膿の塊がある場合は、かなり進行している可能性がありますので、一般的な歯周基本治療のみで改善することは難しい可能性があります。歯ぐきをメスで切開し、歯の根っこの歯石を取り除くなどの歯周外科治療も必要になるかもしれません。
③抜歯
歯の根っこが割れていたり、精密根管治療でも症状の改善が見込めなかったりする場合は、抜歯をする可能性があります。歯の根っこが割れていると、残念ながら、ほとんどのケースでその歯を残すことはできません。歯が割れている方向にもよりますが、根っこがが垂直的に割れている場合は、手の施しようがないこため、抜歯を余儀なくされます。
根管の治療は、歯を保存するためにとても重要ですので、状態によっては時間が長くかかることもあります。しかし、きちんと定期的に治療していくことがとても大事な処置ですので、最後まで頑張りましょう。ただ、どんなに精密に根管治療をしていても、状態が悪い場合は抜歯になることもあります。
【OCEAN歯科からのメッセージ】
このように、歯の神経をとっても、治療後に歯が痛むようなケースもあります。
上記のように、歯の根っこが破折していたり、噛み合わせの異常、進行した歯周病や根管治療の不良の可能性もあります。そのまま何もせずに放置すると、どんどん症状は悪化していきますので、症状があったらすぐに歯科医院へお越しください。
歯ブラシの保管方法
2023年4月8日
こんにちは。OCEAN歯科クリニックURAYASU 歯科衛生士の佐藤です。
当院では予防歯科に注力し、通院してくださる患者様のお口の健康を守るために、歯みがき指導に力を入れています。
大人になってからは歯みがきの仕方を教わる機会がないですし、子どもも流れ作業でブラッシングをしている方が多いです。
本日は、歯を守るために大切な歯みがきに使用する歯ブラシの保管方法についてご紹介します。
保管方法を間違えると汚れが溜まって、かえって口の中に悪影響を及ぼす危険性があります。毎日使う歯ブラシは、口の中を健康に保ってくれる大事なパートナーです。
ぜひ、保管方法や交換時期にも気を配りましょう。
【歯ブラシにくっつく細菌】
口の中には何百種類もの細菌がいます。私たちは毎日歯をみがいて、口の中のプラークや食べかす、細菌を洗い落としています。そのため口の中をあっちこっちをみがく歯ブラシは、使うたびに口の中のむし歯菌や歯周病菌をはじめとする細菌がくっついて汚れてしまいます。歯みがきが終わって、どれだけ丁寧に歯ブラシを洗ったとしても細菌は残ります。1回の歯みがきで100万個近くの細菌が歯ブラシに残っているという報告もあります。
保管の状態が悪く、不潔になってしまった歯ブラシをそのまま繰り返し使っていると、歯ブラシの中で細菌が繁殖してむし歯や口臭の原因にもなってしまいます。
このようなことを防ぐために、歯ブラシについた細菌が増えないようにすることが大切です。
【歯ブラシを清潔に保つ】
歯ブラシについた細菌をゼロにすることはできないので、増やさないコツを考えていきましょう。
①歯ブラシをよく洗う
使った後は洗ってるよと当たり前に思っている方がほとんどだと思いますが、意外ときちんと洗えていないことがほとんどなのです。
1番いいのは、水道を流しっぱなしにして洗う方法です。
コップの中で洗った場合に比べて、圧倒的に細菌数が減ることが分かっています。
また、強めの流水で歯ブラシの毛束の部分を洗うと細菌の数がぐんと減ることも研究結果として出ています。
そんなに流しっぱなしで洗うなんて、と思われるかもしれませんが、歯ブラシをきれいにすることはとても大切なことなので、しっかり汚れは洗い流していきましょう。
歯ブラシの根元の汚れは取れにくいので、食べかすや歯みがき粉なども残っていないかをよく確認しながら指を使ってしっかり洗っていきましょう。
②洗った後の乾燥
歯ブラシを洗った後、よく乾燥させることが重要です。
毛先を下にしてコップの中に入れたりしていませんか?そうすると、歯ブラシの毛先が乾かずに細菌が繁殖しやすい状態になってしまいます。
また、洗面台の収納の中に入れてしまったり、ユニットバスの中など乾燥がうまくできないところで保管するのをやめましょう。歯ブラシにキャップをして保管をするタイプもあるようですが、乾燥までに時間がかかるものはおすすめしません。
乾燥をしっかりさせるために、まずはタオルやティッシュなどのペーパーでしっかりと水分をとりましょう。
③歯ブラシの保管
コップなどに立てるなどして乾燥させましょう。場所は、風通しがよくてよく乾燥しやすいところがいいでしょう。でも、同じコップなどに家族みんなの分を入れるのはやめてください。細菌は濡れた歯ブラシの中で生きていますので、細菌がついた歯ブラシの毛先同士が触れてしまうとむし歯や歯周病菌がうつり、家族内で細菌がうつってしまいます。
お子さんなどにしっかり歯みがきをさせてむし歯にならないようにしているのに、歯ブラシからむし歯などを感染させてしまうのはもったいありません。
④歯ブラシの交換時期
歯ブラシはいつまでも同じものを使っている方も多いのではないでしょうか。同じ歯ブラシを長い期間使っていると細菌は多くついています。また古くなった歯ブラシは、歯ブラシの毛に細菌が入り込んでしまうので、洗っても洗っても細菌が落ちなくなっています。
歯ブラシの毛の植え込み部分に歯みがき粉がたまっている場合も早く交換しましょう。歯みがき粉の成分のうち保湿剤が含まれているものがありますが、歯みがき粉が残ったままだとその保湿成分のため乾燥しにくい状態になっています。これも乾燥がうまくできずに細菌が繁殖してしまう原因の一つです。
「歯ブラシの毛先が広がってきたら交換する時期」とよく言われていますが、人によって歯ブラシをするときの力が変わってきますので一概には言えません。ですが、1ヶ月に1回を目安に交換していくのがいいでしょう。
⑤歯ブラシ以外の補助器具の期限
デンタルフロスや歯間ブラシなどは明確な使用期限は決められていません。しかし、使えるからと何度も繰り返して使うのはおすすめしません。できるだけこまめに交換して、新しいものを使いましょう。
【OCEAN歯科からのメッセージ】
口の中にはたくさんの細菌がいます。そこをきれいにする歯ブラシやその他の清掃器具にも多くの細菌がついています。せっかく口の中をきれいにするのですから、その道具もきれいに扱っていきましょう。
歯ブラシの保管方法はもちろん、歯の磨き方やその他の補助的清掃用具(フロス、歯間ブラシ)の使用方法についてもご説明しますので、ぜひOCEANにご来院ください。心よりお待ちしております。