歯の数が足りない?多い? ~乳歯の「癒合歯・癒着歯」と永久歯の「先天性欠如」~
2026年2月28日
お子さまの歯を仕上げみがきしているときに、
「この歯、ちょっと大きくない?」
「左右で歯の形が違う気がする…」
そんな小さな違和感を覚えたことはありませんか?

実はその“気づき”が、乳歯の癒合歯(ゆごうし)・癒着歯(ゆちゃくし)、あるいは 永久歯の先天性欠如 を早期に見つける大切なサインになることがあります。
これらは決して珍しい状態ではありません。
しかし、早めに知っておくことで
- むし歯のリスクを下げる
- 生え変わりをスムーズに管理できる
- 将来の歯並び・かみ合わせのトラブルを防ぐ
といった、大きなメリットがあります。
今回は、保護者の方が「知っておくと安心」なポイントを中心に、癒合歯・癒着歯と先天性欠如についてご説明していきます。
【癒合歯・癒着歯とはどんな歯?】
癒合歯・癒着歯とは、本来は別々に生えるはずの歯が、発育の途中でくっついてしまった状態をいいます。
見た目には「1本の大きな歯」に見えることが多く、保護者の方が仕上げみがきの際に気づくケースがほとんどです。
● 癒合歯(ゆごうし)とは?
癒合歯は、2つの歯の“芽(歯胚)”が
エナメル質や象牙質といった歯の中の部分で結合している状態です。
結合の程度によっては、
- 歯の内部の神経(歯髄)までつながっているタイプ
- 象牙質までがくっつき、神経は別々のタイプ
など、いくつかのパターンがあります。
そのため、外から見ただけでは「どこまでくっついているか」は判断できません。
● 癒着歯(ゆちゃくし)とは?
癒着歯は、歯の根っこの表面を覆っているセメント質という部分だけでくっついている状態です。
歯の内部(象牙質や神経)は別々のことが多く、
生え変わりのタイミングで自然に外れることも、まれにあります。
● 見た目の特徴
癒合歯・癒着歯には、次のような見た目の特徴がよく見られます。
- 隣の歯より 横幅が明らかに広い
- 歯の中央に 縦の溝や線 がある
- 左右の歯と比べて 形が違う
- 1本だけ 大きく目立つ
特に 下の前歯 に多く、
1歳半健診や3歳児健診で指摘されることも少なくありません。
「見た目が変だから悪い歯なのでは?」と心配されることがありますが、
癒合歯・癒着歯があること自体は異常ではありません。
大切なのは、その歯の特徴を理解し、適切なケアと管理を行うことです。
【どうして歯がくっつくの?】
癒合歯は、生まれる前の歯が作られる非常に早い段階で起こると考えられています。
歯は、胎児の時期に「歯胚(しはい)」と呼ばれる歯のもとから作られます。
この歯の芽(歯胚)が形成される時期や位置のわずかな違いが影響している可能性は指摘されていますが、どのような要因が直接の原因になるのかは、現在の医学ではまだはっきり分かっていません。
特別な病気や体質があるわけではありません。
【癒合歯・癒着歯で気をつけたいポイント】
癒合歯そのものが問題を起こすわけではありませんが、
次の点には特に注意が必要です。
① むし歯になりやすい
癒合歯・癒着歯で最も重要なのが、むし歯リスクです。
くっついた部分には、
- 深い溝
- 段差
- フロスが通りにくい部分
ができやすく、どうしても汚れが残りやすくなります。
どれだけ丁寧にみがいていても、
- ブラシの毛先が届かない
- 汚れが押し込まれてしまう
といった理由で、むし歯ができてしまうことがあります。
予防のポイント
- 仕上げみがきでは 中央の溝を意識
- 定期的な フッ素塗布
- 必要に応じて シーラント(溝を埋める処置)
特にシーラントは、削らずにできるむし歯予防処置として有効です。
② 永久歯が「1本しかない」ケースがある
癒合歯があるお子さまの約半数で、
その下に控えている永久歯が2本ではなく1本、もしくは完全に欠如していることがあると報告されています。
これは 見た目だけでは絶対にわかりません。
必ずレントゲンでの確認が必要です。
③ 歯並びに影響することがある
癒合歯は、2本分が完全に合わさるわけではなく、
多くの場合「1.5本分程度」の幅になります。
その結果、
- 永久歯の生えるスペースが不足する
- 歯列がデコボコになる
- 前歯がねじれて生える
- かみ合わせのバランスが崩れる
といった問題につながることがあります。
④ 見た目を気にしやすい
前歯に癒合歯があると、左右差が目立ちやすくなります。
小さいうちは気にしなくても、小学生、思春期になると、見た目を気にするお子さまも増えてきます。
早い段階で「どういう歯なのか」を説明し、必要に応じて将来の対応を考えておくことが大切です。
【永久歯が生まれつきない「先天性欠如」とは?】
次に、永久歯の先天性欠如についてお話しします。
先天性欠如とは、永久歯が生まれつき存在しない状態です。
- 乳歯がなかなか抜けない
- 片側だけ永久歯が生えてこない
- 生える順番が明らかに遅い
こうした場合、先天性欠如が原因のことがあります。
実は、10人に1人程度 に見られる、決して珍しくない状態です。
【なぜ永久歯がないの?】
先天性欠如の原因も、明確には解明されていません。
現在考えられているのは、
- 遺伝的な影響
- 歯胚の形成過程での変化
- 胎児期の環境要因
などが複合的に関与しているという説です。
【欠如しやすい歯の場所】
特に先天性欠如が多いのは次の部位です。
- 下の前歯
- 上の側切歯(前から2番目)
- 第二小臼歯(前から5番目)
- 親知らず(最も多い)
これらの歯が左右どちらかだけ生えてこない場合は、欠如の可能性があります。
【先天性欠如で起こりやすい問題】
- 歯並び・かみ合わせへの影響
永久歯がない部分には、本来あるはずの歯が存在しません。
そのため、
- すきっ歯
- 周囲の歯が倒れ込む
- かみ合わせがずれる
など、歯列全体に影響が出ることがあります。
② 乳歯が長く残る
永久歯がない場合、乳歯は抜けずに残ることがあります。
ただし乳歯は、根が短い、エナメル質が薄いなどの理由から、成人期になるとグラグラする、むし歯になりやすい、折れやすいといったトラブルが起こりやすくなります。
③ 将来の治療計画が必要
欠如の本数や位置によっては、
- 矯正治療でスペースを閉じる
- スペースを残して将来の治療に備える
- 成人後にインプラント・ブリッジを検討する
など、長期的な視点での治療計画が必要になります。
【ご家庭で気づきやすいサイン】
次のような点に気づいたら、一度ご相談ください。
- 歯の数が左右で違う
- 1本だけ大きい歯がある
- 歯の中央に深い溝がある
- 永久歯が片側だけ生えてこない
- 乳歯がいつまでも抜けない
【歯科医院での確認方法】
癒合歯や先天性欠如は、レントゲン検査で確認します。
必要に応じて、定期的な経過観察や成長に合わせたタイミングでの再評価を行う必要があります。
【癒合歯のむし歯予防】
フッ素塗布、シーラント、仕上げみがき指導を組み合わせ、癒合歯でも安心して成長できるようにしていくこと亜が重要です。
【矯正医との連携】
永久歯の欠如がある場合は、治療のタイミングが非常に重要です。
矯正治療のことも考えながら、今は様子を見るべきか、いつ介入すべきかを成長に合わせて判断します。
【将来を見据えた治療計画】
永久歯の数に問題がある場合は、
- 幼少期
- 学童期
- 思春期
- 成人期
と、長いスパンで考えることが大切です。
「今できる最善」と「将来の選択肢」を両立させることが重要になってきます。

【OCEAN歯科クリニックからのメッセージ】
癒合歯・癒着歯も先天性欠如も、早く気づけば、しっかり対策ができる状態です。
仕上げみがきの中で、「ちょっと気になるな」と感じたら、お気軽にご相談ください。



