「よくかめる」にはワケがある
2024年11月8日
みなさん、普段の食事でよくかめているでしょうか?
「なんとなくかみにくい」という方や「かみ合わせが悪くてしっかりかめていない気がする」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
よくかめるには、かみ合わせが大きく関係してきます。今回はよい歯並びとかみ合わせについてご説明していきます。
【よい歯並びとかみ合わせ】
歯並びがよく、かみ合わせもよければ食事の際に効率よくかむことができるというのは、ほとんどの方がイメージできるのではないでしょうか。
では、一体どのような歯並び・咬み合わせであれば、食べものをしっかりかむことができるのでしょうか?
その特徴をまずはご説明していきます。
特徴としては、次の5つです。
①おおらかなU字型の歯並び
日本人はアジア人の中でも歯が比較的大きいのです。その大きな歯に適した歯列がU字型なのです。
上顎や下顎を口の中から見たときにV字のように尖っているのではなく、きれいなU字を描いているのがよい歯列です。U字の場合は、前歯や奥歯が飛び出したり倒れこみなどはありません。
②上下の歯並びの真ん中が一致している
鏡を見ると上下それぞれの前歯の真ん中が分かるでしょうか。その真ん中が上下でほぼ一直線になっていることと、その歯の真ん中と顔の真ん中が一致していることが大切です。
③前歯でうどんやそうめん、サンドイッチが無理なくかみ切れる
前歯の噛み合わせが良くないと、うどんやそうめんなどの麺類、サンドイッチなどがうまくかみ切れません。ものをかみ切るのは前歯の役割です。その役割をきちんと果たすには、歯を普通にかみ合わせたときに、上の前歯が下の前歯に、水平・垂直方向で約2ミリずつかぶさっているのが理想的です。
これが前歯を普通にかみ合わせても空間が空いていたり、逆に下の前歯が全然見えないくらい上の前歯が被っていたりすると良いかみ合わせとは言えません。
④上の1本の歯が下の2本の歯の間にかみ込む
歯並びを横から見てみると、理想的な歯並びというのは左右両側の犬歯から奥の臼歯までの歯が、上あごの歯1本に対して、下あごの歯2本の割合でバランスよくかみ合っている状態になっています。これは「一歯対二歯(いっし・たい・にし)の咬み合わせ」といいます。
上の1本の歯が下の2本の歯の間にかみ込む(下の1本の歯が上の2本の歯の間にかみ込む)という状態です。上下左右の奥歯が隙間なくしっかり咬み合っていることもポイントです。
奥歯のかみあわせは鏡などで見てもご自分ではよく分からないこともあるでしょう。ご家族同士で相互に見てみると分かりやすいかもしれません。
⑤厚みのある肉も左右の奥歯でしっかりとかめる
奥歯には、食べ物をすりつぶすという役割があります。左右の奥歯でものがかめると、厚みのある肉もしっかりかんですり潰すことが可能になります。左右どちらでも変わりなくかめることも重要です。左右のどちらか片方でだけかんでいる場合、かむことによる自浄作用がなくなりますので、むし歯や歯周病のリスクが高くなります。
【よくない歯並びはどんな感じ?】
上記の5つの特徴を持った歯並びは理想的なかみ合わせと言えます。
では、次によくない歯並びについても知っておきましょう。専門的にいうと、よくない歯並びは「不正咬合(ふせいこうごう)」といいます。
不正咬合になる原因としては、顎や歯の大きさといった遺伝的なものと、悪い習慣などによって後天的になってしまったものとに分けられます。
よくない状態をそのままにしておくと、何が問題かというとまずはうまくかめないなどと機能面での問題が起こりやすいのはもちろんですが、歯並びが悪いということでうまく笑えなかったり、笑顔に自信がもてなかったりする方もいらっしゃるかもしれません。歯並びコンプレックスがあると、うまく笑えなかったり、話すときに気になってしまうことから人間関係なども消極的になりがちです。また、話すときの発音が聞き取りにくかったり、不明瞭になりやすい可能性もあります。また、歯をしっかり食いしばることができないために、自分が持っている力を発揮できず、運動能力の低下にもつながるとされています。
なお、不正咬合の状態や程度は人それぞれです。少しのガタつきから出っ歯だったり、歯がデコボコしているなど、複数の問題を抱えていることも少なくありません。
以下に、その代表的な不正咬合をご紹介していきます。
①前後的な問題
・でこぼこ(叢生)
みなさんのイメージ通り、歯がでこぼこに生えたりしてガタついている状態です。
歯の大きさに対して並ぶ隙間が足りない場合、歯はでこぼこ(捻れるか、重なる)、あるいは前に突出する形となります。特に前歯のでこぼこは、一般的にも気がつきやすい歯並びではないでしょうか。八重歯もその一種であり、犬歯が飛び出したような状態です。
・受け口(下顎前突)
通常のかみ合わせは、奥歯でしっかりとかみ合わせた時に、上の前歯が下の前歯を覆っているようになっています。もしも、下の前歯が上の前歯より、連続して3本以上前側にある咬み合わせであれば受け口になっているといえます。下の歯は、上の歯のかぶさりがないため先端から根もとまですべて見えている状態です。
・出っ歯(上顎前突)
上の前歯が出ているかみ合わせです。上の前歯や上顎そのものが前方に出ていたり、下顎が後退している状態など原因は様々です。顎の骨に問題がある場合と、歯だけが前に出ている場合とがあります。
②左右的な問題
・交叉咬合
通常、上の歯は下の歯を覆っています。それが逆になっている咬み合わせのことです。
奥歯に交叉咬合があると、歯の真ん中も一緒にずれていることがあります。
・すきっ歯(空隙歯列)
歯と歯の間がつまっておらず、隙間があるような状態です。原因としては、歯そのものが小さい場合もありますし、歯と顎の大きさのバランスが合っておらず、歯に対して顎が大きいことなどによっても起こります。
他にも、歯が顎の骨の中に埋まって出てこない「埋伏歯(まいふくし)」や、もともと歯の本数が足りない「先天性欠如歯」があることが原因で起こる場合もあります。
③上下的な問題
・過蓋咬合(かがいこうごう)
上の前歯が下の前歯に深くかぶさっている咬み合わせのことです。
下の前歯が上の前歯に隠れてしまって少ししか見えていない場合や、全然見えていないこともあります。
・開咬(かいこう)
奥歯をしっかり咬み合わせても、上下の前歯が咬み合っておらず、隙間ができてしまう状態のことです。開咬であると、前歯で食べ物をかみ切ることができません。見た目にもすぐに気づいたり、食事の面でも支障があるためすぐに気づく方も多いかみ合わせのひとつです。
かみ合う歯が少ないため、顎関節症が発生しやすくなります。
【OCEAN歯科からのメッセージ】
以上にご説明したように、歯並びとかみ合わせについてはよいものと悪いものが明確に分かれています。よい歯並び、かみ合わせであれば効率的に食べ物を咀嚼することができますし、むし歯や歯周病、顎関節への負担も軽減します。しかし、悪い歯並び、かみ合わせであると、効率的にかむこともできませんし、様々な不具合が出てきます。ガタガタの歯並びであればブラッシングがしにくいため、むし歯、歯周病にもなりやすいですし、その他の不正咬合でも顎関節などにも支障をきたします。
歯並びのよい・悪いを見極めるポイントさえ分かれば、自分でも鏡を見ながらある程度の確認は可能になります。ご自分や家族の歯並びをチェックしてみるのもいいでしょう。もしも悪い歯並び・かみ合わせに当てはまったり、気になる箇所があるようならお気軽にご相談ください。